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【ウェイトベルト】の使用について考える。

こんにちは。Dice Trainingです。
岩手県でトレーニング指導を生業にしてます。
アメリカ留学中にNSCA CSCSを取得。
留学中のインターンシップも含めると、
トレーニング指導に携わって20年以上になります。

僕は専門学校の非常勤講師もしています。
生徒の1人が、カバンの中に
ウェイトベルトを入れていて。。。。
(トレーニング、頑張ってる生徒です。)

そこから、教室内はウェイトベルトの話題に。
生徒たちの意見や反応と、
僕の個人的な見解を話していきたいと思います。

「ウェイトベルトってつけたほうがいい?」

「トレーニングするときは、
 いつもベルトつけたほうがいい?」

という質問をすると、
生徒たち、全員の答えはNO。

「どんな時ならつける?」

という質問をすると、
・MAX測定をするとき
・低回数、高重量のセットを組んだとき
という答え。

「なぜ、ウェイトベルトをつける?」

という質問に対しては、
・腹腔内圧を高めるため
⇨背骨のサポートをして、高重量を挙げるため。
⇨背骨のサポートをして、怪我を予防するため。
みたいな答え。

基本通りの答え。
勉強してるなって感じです。

「でも、それ、ほんと?」
と聞くと、黙っちゃうんですよね。。。

ちょっと意地悪な質問ですけどね(笑)
でも、ここから先が理論的に答えられると、
より信頼が得られます。

先行事例(論文等)を調べたり、
いろいろ経験したことを話せると、
説得力のある答えが出せる。
=お客様から信頼を得られやすくなる。

生徒たちの場合、
経験はこれからですが、
先行事例などを調べる習慣がつけばと思っての意地悪な質問でした。

”ウェイトベルト利用”の先行研究から学ぶ

ということで、先行事例をもとに、
ベルトの有用性なんかを見ていければと。

以下の内容は、

”A Review of the Efficacy of Weight Training Aids”
著者:Church, James B. PhD; Allen, Tara N. MS; Allen, Gregory W. MS
掲載雑誌:Strength and Conditioning Journal:
(June 2016 - Volume 38 - Issue 3 - p 11-17)

を参考しています。

ウェイトベルトは今やトレーニングギアの定番。
スポーツショップやネットで簡単に購入できます。

●ウェイトベルトの使用率

調査によると、
習慣的にウェイトトレーニングしている人
”27%”がウェイトベルトを使用しているとのこと。
ざっくり、4人に1人はベルトユーザーってことです。

そして、ベルトユーザーの中の、
22%の人が、パフォーマンス(挙上重量)が上がった。
90%の人が、怪我の発生率が下がった。

と答えたそうです。

●ウェイトベルトを使用すべき状況

一般的に、ウェイトトレーニング中は、
より重たいものを上げようとすると、
より腹圧が高まっていきます。

この高まっていく腹圧が、
背骨の安定性を高めていきます。

ウェイトベルトの活用は、
腹圧を強制的に上げる
ことができるわけです。

実際、ウェイトベルトの使用は、
背骨や周辺筋肉にストレスがかかり、
損傷しやすい状況となる、
”80%1RM以上の重さ”
を扱う時に推奨
されています。

※MAXがわからない人は、
”ギリ6〜8回が挙がる重さ”
と考えてください。

”軽い重量を用いて、回数が多い”
トレーニングする時までベルトを使うと、
背骨をサポートする体幹部を
弱めてしまう結果になるため、
ベルトの使用はオススメできません。

●実際、使用重量は上がる?

実際に挙上重量は上がるのか?
厳密な比較をしたリサーチ結果はありませんが、

「MAX測定の結果が10kg程度、アップする」
とはよく言われています。

直接的なリサーチではありませんが、
筋電図を用いて
”体幹周辺の筋肉の活動”
を計測した研究があります。

・脊柱起立筋の活動が高まる
・腹筋群の活動が高まる
・大腿四頭筋の活動が高まる
・ハムストリング群の活動が高まる

といった結果が報告がされれいます。

それぞれの研究結果は、
・運動様式(エクサササイズの種類)
・使用重量
・挙上回数
などがバラバラなので、
一概に”使用重量があがる”
と簡単に言えない部分もあります。
”特に大きな変化はない”
という研究結果もあるそうです。

しかし、個人的な印象としては、
ベルトを用いることで、
体幹部周辺の筋肉の活動が高まり、
”挙上しやすい状況”
ができる
ことは間違いないと言えます。

ベルトの圧迫による腹腔内圧の上昇
背骨へのサポート力が高まる
という点と合わせて、
パフォーマンス向上(MAX重量の更新)
は間違いがない印象
です。

●実際、怪我の発生率は下がる?

怪我の発生率に関しても、
多くのレポートがあります。

これらレポートを見ると、
ベルトの有無による怪我の発生率は、
・変わらない。
・ベルト有りの方が、若干、発生率が低い。
という報告
になっています。

ベルト使用者の90%が、
「怪我の発生率が低くなった。」
と、答えていましたが、
ベルトユーザーの主観と、
リサーチの結果には乖離
がありますね。

ベルト着用することによって、
背骨のサポートがしっかりして、
正しい姿勢を保持することが容易になる。
つまり、
・エクササイズテクニックの未熟さ
・体幹部分の弱さ
をベルト着用よって、補うことができる。

また、ベルト着用して得られる
”安心感”のようなものから、
いつもよりも積極的にトレーニングができる。

など、肉体的、かつ精神的なサポートが、
怪我の発生率が下がったと感じる要因と思います。

でも、怪我の発生率を下げるかもしれない、
ウェイトベルトの使用で、
怪我をしてる人もいます。

ウェイトベルトの
・材質
・形状
・サイズ
・留め具
などは、
さまざまなバリエーションがあります。

自分に合ったものを選びましょう。
特にサイズと材質による硬さは、
実物を確認した方がいいです。

オーバーサイズなものだと、
肋骨部分に当たってしまい、
骨折した話なんかも聞きます。

(付け方の問題もあるかもしれませんが。。。)

ウェイトベルト使用に関する個人的見解

ベルトの使用が、
”腹腔内圧を高める”
ことができるという
メリットは確かにあります。

”勝手にお腹に力が入っている状態”
その分、背骨をしっかりサポートする。
結果、動作中の姿勢が保ちやすくなる。
結果、高重量のトレーニングができる。
この点は、事実です。

一方で、”怪我予防”の観点だと、ベルトの有無で
怪我の発生率はそこまで変わらない。

僕の個人的な意見としては、

「・軽い負荷で正しいエクササイズスキルを身につける。
 ・背骨へのサポート力を上げるために、姿勢保持のための筋力強化。
 をクリアしてから、
 ウェイトベルトに頼らなくても、
 高重量でのエクササイズ実施ができるようにする。」

です。

背骨に負荷がかかるエクササイズ
(スクワットなど)
は、体幹強化のエクササイズになりえます。
姿勢を保持する筋肉たちが
しっかり発達することで、
トレーニングのパフォーマンスが上がるし、
腰痛予防などの期待
もできます。

僕自身、普段のトレーニングでは、
ウェイトベルトは使用しません。
85〜90%1RMくらいの挙上重量でも、
ウェイトベルトは着用しません。
(大体、4〜6回がギリ挙がる重さです。)
着用するとしたら、
MAX測定の時くらいかな。。。

重さには拘っていきたいですが、
単純な挙上重量増加を追うのではなく、
体幹部の強化も同時に考える。
ここに優先順位を置きます。

まとめ。

僕個人はトレーニング中に
ベルトは使用しません。
基本的な指導の時も、
ベルトの使用はすすめません。

理由は、
「姿勢保持のための筋肉群も
 同時に作用させたい」

からです。
ベルトなしでのトレーニングの方が、
より機能的、効率的と考えます。

日常生活で考えても、
あんなゴツいベルトをつけることはないですよね。
多くのスポーツの場合も、
競技中にあんなベルトはしないです。
なるべく普段と同じ状況で
トレーニングをしたほうが、
パフォーマンスを日常に落とし込めます。

もちろん、ウェイトベルトの使用は、個人の自由。
どこに優先順位を置くかで判断してほしい。
例えば、
・パワーリフティング(ギアあり)に挑戦しているから。
といった、競技と同じ条件でトレーニングするのはありです。
他にも、
・着けていることで、集中して安心してトレーニングが継続できる。
といったメンタル的なサポートが得られ、
それにより継続的にトレーニングができるなら、
それはそれでいい
のかなとも思います。

ただ、使用する際は、正しく使用してください。
たまに単なる”飾り”みたいな感じで、
ベルトをつけてる人をジムで見かけるので。。。。

腹圧を高めるために、
実際、ものすごく締め付けます。
”1人で締めたり弛めたりできないくらい”
きつく締めます。
また、きつく締めるためにも、
自分の体にあったサイズや材質のものを選んでください。

オーバーサイズだったり、
ベルトの材質が硬すぎる場合、
人によっては、”思わぬ怪我”になることもあります。。。。

自分が何を優先するのか。
これによって、ベルトの使用を決定してください。
また、もし使用するのであれば、
試着してから選びましょう。
結局、身につけるもの。
自分の体にあったものを購入です。

最後に、繰り返しになりますが、
「腹筋群も同時に鍛える!」
という人は、ベルトなしで、
自分で姿勢を保持しながら、
高重量に挑戦です!




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