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ロジカルシンキング:論理的は倫理的か?

科学的で論理的な思考は、論理学の文脈ではしばしば「推論」と呼ばれます。一般的には数学と深く結びついている論理学ですが、数学は推論を実施する学問であり、一方で論理学は推論自体に焦点を当てて研究する学問です。心理学がヒトの実際の思考を探求するのに対し、論理学はどのように思考すべきかに焦点を当てています。
論理的思考や推論は、良いか悪いか、正しいか正しくないか、妥当か妥当でないかを評価し、批判し、統制する行為とみなすことができます。これは倫理的であり、道徳的な行為の一環であると言えるでしょう。
             『アブダクション  著:米盛裕二』から要約

要約文を、EBPの文脈で新しい介入方法を検討する医療者たちの具体的な行動を例として考えてみましょう。

医療者はパーキンソン病の患者に対するアプローチを試みる前に、彼らは慎重に吟味を行い、実際に介入を試してみてから批判的な検証を行います。そして、その結果に基づいて介入の継続を検討するのです。推論には判断があり、判断するには道徳的な要素が伴います。これらの行動は医療者たちの自己統制的で慎重な営みを反映しているだけでなく、同時に、患者さんに有益なことをしよう、危険なことを避けようとする道徳的な観点からも評価できる道徳的行為だと考えられます。 

この観点から見れば、論理性は倫理に通じる非常に重要な要素であると言えるでしょう。推論と道徳的な行為が結びつくことで、より健全で社会的に有益な結論や行動が生まれることが期待できます。

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