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太る原因はMONALISA?

私は今、【自律神経と代謝】について調べている。
どうやら視床下部がその中心となって、代謝における様々な生理作用を担っていることがわかった。

その中でMONALISA仮説というものがある。なかなか痩せれない人はもしかしたら、この仮説に当てはまるかもしれない。どういうものか見ていこう。


① 活動量の低下が原因

1991年にアメリカのジョージ=ブレイが、交感神経の活動低下と肥満の間に密接な関係があると提唱した。それが”Most obesities known are low in sympathetic activity”(直訳:大部分の肥満は交感神経の活動低下による)の頭文字をとって”MONALISA”仮説と名付けられた。今ではこの仮説は強く支持され、MONALISA症候群として認知されている。

つまり昼は活動し、夜は寝るという規則正しい生活をしている人と比べて不規則な生活をしている人は太りやすいという説だ。

さらに長年の運動不足やそれに伴う筋肉の萎縮、さらにダラダラとした生活による交感神経の活動低下が代謝異常を引き起こし、肥満が加速するという。
運動をする、しないに関わらず日頃から活動的な人は交感神経活動が活発である。
ちょこちょことまめに動く人の方が、交感神経のスイッチが入るので痩せやすい。


こういう生活は交感神経の活動が低下する


そして年齢による問題もある。自律神経の働きのピークは20〜30代でそれ以降は活動が徐々に低下してくるため、それも太りやすい原因となる。


② キーワードは【レプチン】

先述したが自律神経と代謝は、視床下部がその働きを統括しており、食事や体温調節、ストレス対策においても適切なホルモンを届ける役割を果たしている。

その視床下部に作用して満腹感を感じさせ摂食を抑え、エネルギー消費をもたらし、体重を適正に保つというダイエットするにはうってつけのホルモンがある。それが【レプチン】だ。(語源はラテン語でLeptos=痩せる)

レプチンは肥満細胞(白色脂肪細胞)から内分泌されて血中から脳へ移る。脳の視床下部腹内側核(VMN)というところに満腹中枢およびレプチン受容体がある。そしてその受容体にレプチンが結合する。そうすることで満腹感を感じると同時に交感神経活動が促進される。

交感神経活性の促進により、副交感神経(摂食中枢)を抑制して摂食を抑える。それとともにβ3アドレナリン受容体を介して、白色脂肪細胞での脂肪分解と、肩甲骨の内側に多いとされる褐色脂肪細胞からの熱放散を促進する。
(UCP1はATPを合成せずにエネルギーを熱として放散するタンパク質)

まとめるとレプチンはVMNに作用し、食欲を抑えると共に脂肪を分解・燃焼させるダイエットするには最高のホルモンなのだ。


体重調節における自律神経の役割

さらにレプチンはVMNに作用して骨格筋での糖の取り込みを促進する作用もある。レプチンがVMNに作用し、骨格筋に関わる交感神経の活動が高まり、交感神経末端からノルアドレナリンが分泌されて、骨格筋内にあるβ2アドレナリン受容体が活性化。すると筋肉での糖の取り込みが促進される。
つまり血糖の安定化にもレプチンは重要なのだ。


③ 自律神経の反応が低下している

自律神経は食欲やエネルギー代謝に深く関わり、体重をキープするのにも重要ということが分かった。

そして自律神経は体の活動とリンクしているため、座ることが多くなった現代人の自律神経の反応性は低下していると言われている。それに加え不規則な生活をしていれば、レプチンが作用しにくくなり過食や肥満につながることは必至だ。

過剰な運動は必要ない。ちょっと動くの積み重ねが大切だ。自宅や職場でのストレッチや簡単な自重トレーニングが自律神経の反応を正常にし、レプチンの生理作用にもつながる。

我々の体には素晴らしい機能が備わっている。それを活かすためにも、適度な運動と規則正しい生活は欠かすことが出来ないのだ。

今、読んでいる小説から一節。
「人は時に、健気に生きているだけで、誰かを救っていることがある。」


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