ハイドン:交響曲第45番嬰ヘ短調 「告別」

00:00 I. Allegro assai
05:34 II. Adagio
08:44 III. Menuetto: Allegretto
17:44 IV. Finale: Presto - Adagio

再生時間 28’’ 45'

ハイドンの交響曲第45番嬰ヘ短調「告別」(Hob.I:45)は、1772年に作曲された作品で、彼のもっとも有名な交響曲の一つです。この作品は、その独特な終楽章と、当時の宮廷楽団の状況に深く結びついたエピソードで広く知られています。

### 作曲の経緯と背景
「告別」交響曲が作曲された背景には、ハイドンが仕えていたエステルハージ侯爵家の宮廷での出来事が関係しています。ハイドンはエステルハージ侯ニコラウスの宮廷楽団の楽長を務めており、侯爵の命令で楽団は毎年、長期間にわたってエステルハーザ(現在のハンガリー)で過ごしていました。しかし、1772年のある年、夏が終わりに近づいても、侯爵はなかなか楽団を帰宅させませんでした。これにより、楽団員たちは家族と離れたまま長期間を過ごさなければならず、不満が高まっていました。

この状況を察知したハイドンは、侯爵に楽団員たちを帰宅させるよう間接的に訴えるために、「告別」交響曲を作曲しました。この交響曲の最終楽章には、楽団員たちが徐々に舞台を去り、最後には二人だけが残るというユニークな演出が取り入れられており、これが「告別」という名称の由来となっています。

### 楽曲の詳細
交響曲第45番は、全4楽章から構成されています。

1. **第1楽章:Allegro assai (嬰ヘ短調)**
- この楽章は、劇的で緊張感のある冒頭から始まります。嬰ヘ短調という調性は、当時の交響曲では非常に珍しい選択であり、ハイドンが意図的に暗く、憂鬱な雰囲気を作り出していることがうかがえます。動機の展開と調性の変化が巧みに組み合わさり、楽章全体に緊張感が漂っています。

2. **第2楽章:Adagio (A大調)**
- 第2楽章は、穏やかなアダージョで、明るいA大調に転調します。これにより、第1楽章の暗い雰囲気から一転し、楽曲全体のバランスが取れています。この楽章は静かな美しさを持ち、ハイドン特有の優雅さが感じられます。

3. **第3楽章:Menuet & Trio (嬰ヘ短調 - 嬰ヘ長調)**
- メヌエット楽章は再び嬰ヘ短調に戻り、厳粛で重々しい雰囲気が漂います。対照的に、トリオ部分では調性が嬰ヘ長調に変わり、明るさが加わります。この楽章の二面性は、ハイドンの音楽的な対比の技法を示しています。

4. **第4楽章:Finale: Presto - Adagio (嬰ヘ短調 - 嬰ヘ長調)**
- 最終楽章は、速いテンポのプレストで始まりますが、やがてアダージョに変わり、冒頭で述べたように、演奏者が一人ずつ退場する演出がなされます。この部分では、音楽が次第に薄くなり、最後には二人のヴァイオリニスト(ハイドン自身ともう一人)が弱々しく音を鳴らして終了します。この楽章は、楽団員たちの帰宅を暗示しており、ハイドンのユーモアと機知が光る部分でもあります。

### 「告別」交響曲の意義
「告別」交響曲は、単なる音楽作品としてだけでなく、ハイドンが楽団員のために侯爵に訴えかけた人間的な側面を反映した作品としても重要視されています。音楽的にも、形式的にも独創的であり、ハイドンの創造力とユーモアを示す典型的な例とされています。

この交響曲は、エステルハージ侯爵もその意図を理解し、後に楽団員たちを帰宅させることを決定したと伝えられています。このエピソードは、ハイドンが単に宮廷作曲家として働くだけでなく、人間味溢れる方法で問題解決を図ったことを示す興味深い逸話として知られています。

1962年にMercuryレーベルからリリースされたハイドンの交響曲第45番「告別」(Hob.I:45)の録音は、著名な指揮者アンタル・ドラティとロンドン交響楽団によって演奏されました。この録音は、ハイドンの音楽を忠実に再現しつつも、ドラティの独自の解釈が光る名盤として知られています。

### アンタル・ドラティ (Antal Doráti)
アンタル・ドラティ(1906年 – 1988年)は、ハンガリー出身の指揮者であり、20世紀を代表する指揮者の一人です。彼はバルトークやコダーイなどのハンガリーの作曲家たちと親しい関係にあり、特にバルトーク作品の擁護者として知られています。ドラティは多くの著名なオーケストラを指揮し、膨大な数の録音を残しましたが、特にハイドンの交響曲全曲録音プロジェクトは、彼のキャリアにおける大きな功績の一つです。

ドラティは、ハイドンの音楽に対する深い理解と、緻密でエネルギッシュな演奏スタイルで高い評価を得ました。彼のハイドン演奏は、古典的な形式を重んじながらも、鮮やかで躍動感に溢れた表現が特徴です。特に「告別」交響曲においては、その劇的な要素やユーモアを巧みに引き出し、作品の魅力を存分に伝えています。

### ロンドン交響楽団 (London Symphony Orchestra)
ロンドン交響楽団(LSO)は、1904年に設立されたイギリスの主要なオーケストラの一つで、世界的にも有名な団体です。設立以来、数々の著名な指揮者やソリストと共演し、幅広いレパートリーを演奏してきました。LSOは、伝統的なクラシック音楽だけでなく、映画音楽や現代音楽の分野でも活躍しています。

1962年の録音において、LSOはドラティの指揮のもとで、ハイドンの交響曲第45番「告別」を演奏しました。この演奏は、オーケストラの高い技術力と表現力を示すものであり、楽曲の複雑なニュアンスを見事に表現しています。特に、終楽章での楽員が一人ずつ退場するシーンでは、オーケストラ全体が一体となってハイドンのユーモアを伝え、観客に強い印象を与えます。

### 録音の意義
この録音は、ハイドンの交響曲を現代に広く知らしめるために大きな役割を果たしました。ドラティとLSOによる演奏は、歴史的な作品に新たな生命を吹き込み、リスナーに古典音楽の豊かさと多様性を伝えるものでした。この録音は、現在でもクラシック音楽ファンや研究者にとって重要なリファレンスとして利用されています。

また、Mercuryレーベルによる高品質の録音技術は、この作品の音響的な魅力を最大限に引き出し、当時の録音技術の最前線を示すものでもありました。このアルバムは、ハイドンの交響曲第45番「告別」の名演として、今もなお高く評価されています。

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