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「今(1989年)から20年後には、大企業や政府機関など、今日の典型的な大組織では、経営管理者の階層は半分以下に、経営管理者の数は3分の1以下になるだろう」とドラッカー。実際、日本の組織はどうなった? 6月2日 A Successful Information-Based Organization 情報型組織の成功例

1989年に発刊された #ドラッカー の 『 #新しい現実 』で、20年後に管理職が3分の1になる、という予言は、2023年の現在、実現しているでしょうか?

6時です。おはようございます。
今日も #ドラッカー365の金言  から1日をスタートさせていきましょう。

ドラッカーは、1969年ごろより知識労働者が増え、従来のピラミッド型の産業組織からフラットな階層構造の情報型組織へと移行を予測していました(1989年刊『 #新しい現実 』)。

今(1989年)から20年後には、大企業や政府機関など、今日の典型的な大組織では、経営管理者の階層は半分以下に、経営管理者の数は3分の1以下になる。

同書、299ページ

さて、わが国の場合、どうだったのか?

国勢調査で管理職人数推移を追うことができます。
管理職=管理的職業従事者とは

就業者のうち、会社役員、企業の課長相当職以上、管理的公務員等をいう。

総務省「労働力調査」の定義

なんと管理者数はドラッカーの予言通り半減となりました。

○管理職割合の推移

 戦後日本の高度成長の中で、1次産業のシェアが縮小し、企業の経済活動がさかんになるにつれて、管理職の活躍分野は拡がっていった。特に、1960年代の躍進は目覚ましく、職業中分類で見ても1960年代後半には最も増加率が大きい職業区分だった(図録3500)。図の管理職割合の推移を見ても、1960年代は特に上昇幅が大きかった時代となっている。その後、1970年代も上昇を続け、1980年には4.7%のピークをしるした。

 ところが、1980年代以降は、管理職割合は、長期的な低下傾向を示すようになった。2005年にはピーク時の約半分である2.4%にまで低下しているのである。こうした長期傾向には以下のような要因が働いたと考えられる。

a.ハイテク化、コンピューター化、IT化、ネット化などの管理技術の向上によって管理が合理化・効率化し、管理職の必要人数が縮小

b.管理職が専門分化するピラミッド型の大企業組織の時代から職業が多様化し専門職が横につながる自律分散的な社会システムへの移行

 1980年以降の動きを見ると、時期的には、1980~85年と1995~2005年に2つの時期に特に管理職割合が大きく低下した。前者は「ハイテク・ブームの時代」、後者は「リストラの時代」に当たっており、それぞれ、前者はa、後者はbの側面が強かったのではないかと推測できる。

 リストラの時代には、折からの「失われた10年」と呼ばれた長期経済低迷の中で、会社に長く勤めれば、管理職に自動的に昇進し、給与水準も大きく上昇するというパターンの見直しが図られ(賃金カーブのフラット化については図録3340参照)、必要性の高くない管理職も大きく減らされたのであろう。2015年に管理職比率が再びやや上昇したのはリストラからの反動とも見られる。

 リストラの時代に大きく管理職割合が低下する直前の1995年と最近2015年の年齢別の管理職割合の図を同時に掲げた。男性について、1995年には、年齢とともに管理職の割合は高まり、50代後半には11.8%と1割を越えていた。ところが、2015年には50代後半でも6.8%と半分近くに低下している。

 2015年の管理職割合の対1995年倍率を男性の年齢別に算出して見ると、特に中高年中心に管理職割合が下がったのではなく、若い世代も下がっており、リストラは絶対数ではもともと多い団塊の世代が対象として大きかったであろうが、割合的には、年齢層に関わりなく進められたのではないかと思われる。

https://honkawa2.sakura.ne.jp/3142.html より

団塊世代の自然退職、製造業からサービス業へのシフト、特に、医療・福祉事業へのシフトを進めた国策の影響もあるのでしょうが、1980年におよそ270万人居たわが国の管理職数は、2020年どれほどになっているか?というと・・・

1980年:15歳以上就業者数55,778,235人中、管理的職業従事者数2,667,096人

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000007646829&fileKind=2 より

これに対して、2020年の管理職割合は・・・

https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2020/kekka/pdf/outline_02.pdf より

2020年:15歳以上就業者数65,468,436人中、管理職数1,355,162人。

https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2020/kekka/pdf/outline_02.pdf より

管理職比率 1980年 4.7% → 2005年 2.4% → 2020年2.1%

1980年就業者数が5578万人に対して、2020年は就業者数が6546万人とおよそ1000万人増加しているにもかかわらず、

管理職数は1980年から40年経過して2020年は135万人と半減。

同じく、管理職とも言える役員・自営業主数も比較してみましょう。
するとこちらは、

役員数は80万人増加しています。

1980年:2,322,975人→2020年3,134,199人

https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0000030012 (昭和55年)と https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003450620 (令和2年)

その一方で、自営業は476万人。これも半減。

1980年:自営業者937.9万人(雇人のある業主203.7万人 雇人のない業主734.2万人)

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000007646830&fileKind=2 より

2020年自営業者478.0万人(雇人のある業主106.4万人 雇人のない業主371.6万人)

https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003450620

1980年937.9万人 →  2020年478.0万人と40年でほぼ半減です。

我が国の場合、伝統的なピラミッド型組織からフラットな組織へ移行することは、中間職が独立して起業家となり、自営業主が増えて、というプロセスには至らず、管理職+自営業主は、雇用される側へと回ったように思います。

自営業467万人と管理職131万人、合わせて約600万人の役職者が減った結果、GDPはどうなった?

なんと、わが国のGDPは、
1980年255.7兆円 →   2020年には539.0兆円と
2倍以上のパフォーマンス!

1980年から2020年まで、途中バブル経済の好調さとその一方で「失われた20年」という長期間の不調もあり、40年という時間をかけて、日本企業は、組織をフラット化させ、非効率な経営をしていた自営業者を半減させる一方で、売上であるGDPを倍増させた非常に生産性の高い国家経済を作り上げたと言えるでしょう。

この点、ドラッカーが予見していたように日本経済においては、伝統的な組織がフラットな組織へと改革には成功した、と言えると思います。

(一方で、重税感や収入の伸びが感じられない長期のデフレ、そして、現在のインフレ、、、みたいは話はまた別の機会に。)

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