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伊那食品工業・塚越会長「利益は残ったウンチにすぎない」 ドラッカーは? 1月21日 Profit’s Function 利益の機能

#1月21日  
#Profit ’s_Function
#利益の機能


今日の #ドラッカー #365の金言 テキストは、1983年「フォーブス」誌掲載の記事「 #シュンペーターとケインズ 」より。1994年発行『 #すでに起こった未来 』の72ページに収められています。

「利益はうんこと同じ」と述べたのは、伊那食品工業の塚越会長。

売り上げや利益より大切なものがあり、利益は残ったウンチにすぎない。経営の目的は、全部の産業で一緒、地球上のあらゆる会社で共通です。人が幸福に生きること。ハピネスです。

この意味は、利益は経営の目的じゃない、ということ。
大好きなネッツトヨタ南国の横田相談役の言葉でもあります。


ドラッカーはなんと言っているか。

明日のためのコストである、と。

#今日利益を上げている事業が明日は金食い虫になる

 シュンペーターは、イノベーションこそ経済の本質、とくに現代経済の本質であるとした。その経済発展理論は、利益に経済的な機能を与えた。
 変化とイノベーションの経済にあっては、利益は、マルクスとその理論が言うような労働者から搾取した剰余価値ではない。それどころか、利益は雇用と所得の唯一の源泉である。シュンペーターの経済発展の理論は、イノベーターだけが真の利益を生み出すとした。ただし、そのイノベーターの利益は常に短命であるとした。
 しかも、シュンペーターの有名な言葉によれば、イノベーションとは創造的破壊である。それは、昨日の設備と投資を陳腐化させる。したがって、経済が発展するほど資本形成が必要になってくる。
 古典派経済学、会計学、株式市場が利益と称しているものは、純粋のコスト、企業存続のコスト、今日利益をあげている事業が金食い虫になるという明日のためのコストである。

(『すでに起こった未来』)

ACTION POINT
#今日の事業が陳腐化する明日のために
#イノベーションのための投資を今日してください

ドラッカーは、利益について

利益は、マルクスとその理論が言うような労働者から搾取した剰余価値ではない。

と記しています。

そして、「経済的成果を上げるのが企業体に特有な機能であり、寄与であり、企業体の存在理由である。経済的成果達成能力を高め、そして成果を上げるのが企業体の仕事である。」(「創造する経営者」序論より 太字は著者)


利益は目的ではなく、

利益は雇用と所得の唯一の源泉である。

利益は事業活動の原因ではなくて、その結果である、と。
そして、

 利益は事業がマーケティング活動やイノベーションや生産性向上を行った結果なのである。だが同時に、利益は事業活動の成果を測定することができるただ1つの尺度でもある。(中略)事業の第一の義務は、何よりも存続することである。言い換えれば、経営経済学の指導原理は、最大利潤の追求にあるのではなく、むしろ損失の回避にある。事業の運営には常に危険が伴うものであるから、事業は常にこの危険に備え、危険を補填するに足るプレミアムを作り出さなければならない。しかも、その源泉はただ1つしかない。それが利益である。

「現代の経営」 5 事業とは何か より

将来の事業経営危機を回避するための源泉が利益である、という考え方です。

これは、逆に言えば、将来の事業経営危機が回避できる資金があれば、利益を出す必要はない、ということです。それを実践しているのがAmazonです。

Amazonは、直近の決算で利益を出さなくとも、資金調達が可能で経営危機を回避できるほどの巨額の株価評価額があるため、オンラインプラットフォーム事業や倉庫業、サーバー事業などに思い切り資金を投じています。そして、さらに事業価値を高めているため、資金調達はますます有利にでき、イノベーション事業で他社をリードしています。

例えば、日本銀行や公共団体もそうですね。将来の資金減の心配はゼロ。刷ればいいから。利益や採算など考えなくても打出の小槌のように資金を生み出すことができるのですから。

ユニークなのが、「ろうきん(労働金庫)」という事業です。不思議なことに、利益を目的としない、と明示する金融機関です。

ろうきんは労働金庫法に基づいて、営利を目的とせず公平かつ民主的に運営されています。

https://all.rokin.or.jp/about/attitude.html ろうきんの理念・基本姿勢
より

「営利を目的としない」からこそ、パンデミック期にありながらも当期純利益が前年よりも増えています(2021年決算概況表より)。

営利を目的としない組織が利益を伸ばす、という逆説的で不思議な現象ですね。

「利益は労働者から資本家が搾取したものだ!」というかつての議論に洗脳された人も散見することもありますが、ほとんどのビジネスパーソンにとって個々の商談で得たい利益については、短期的取引、中長期的取引など企業経営の考え方と契約期間との間で考えるものでしょう。

現場に居ると、ついつい短期的利益の最大化を目標としがちです。そして、前例主義を踏襲して欲しい、という取引先からの引き受け難い要求との交渉に長時間かかったりご苦労されている方も少なくないと思います。

利益をどう考えるかは、そのまま経営哲学でもあります。今日もやっていきましょう。

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