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部分最適が全体最適とは限らない 3月29日 Why Management Science Fails to Perform マネジメント・サイエンスの陥穽

今日のテキストは、『マネジメント-課題・責任・実践』>40章 経営者と経営科学>経営科学が実績を上げられない理由(1973年版 下巻218〜219ページ)より。

今日も #ドラッカー #365の金言  からスタートしましょう。

本日 #3月29日 金曜日 のテーマは
#Why_Management_Science_Fails_to_Perform (経営科学が実績を上げられない理由)
#マネジメント・サイエンスの陥穽

経営科学とは何でしょう?wikiによれば、

 経営科学(または経営科学)は、機関、企業、政府、その他の種類の組織に関連する複雑な問題を解決し、戦略的決定を下すための広範で学際的な研究です。経営、経済、ビジネス、エンジニアリング、経営コンサルティング、その他の分野と密接に関連しています。数学的モデリング、統計、数値アルゴリズムなど、さまざまな科学研究ベースの原則、戦略、分析方法を使用し、複雑な意思決定問題に対する最適またはほぼ最適な解決策に到達することにより、合理的で正確な管理決定を制定する組織の能力を向上させることを目的としています。

 経営科学者の任務は、合理的、体系的、科学ベースの技術を使用して、あらゆる種類の決定に情報を提供し、改善することです。経営科学の技術は、ビジネスアプリケーションに限定されるものではなく、軍事、医療、行政、慈善団体、政治団体、またはコミュニティグループに適用できます。経営科学の学者の規範は、行政、財務、微積分、情報などの管理の特定の分野またはサブフィールドに仕事を集中させることです。

https://en.wikipedia.org/wiki/Management_science を自動和訳より


 経営科学の応用は広範囲に及んでおり、さまざまな業界にわたって貴重な洞察とソリューションを提供し、最終的にはより効率的で効果的な意思決定プロセスを促進します。

wikiより

とあるものの、経営科学はうまくいかなかった、というのが今日のドラッカーの評です。

 しかし、経営科学は、企業経営そのものについては、すなわちリスクを作り出し、リスクを負い、意思決定を下すという職務については、ほとんど仕事をせず、組織立った思考も払わず、重視もせずにきた。経営科学全体を通じて見ると、文献も実務も、その重点は、原理原則にではなく技法に、意思決定にではなく仕組みに、成果にではなく用具に、そして何よりもまず全体の業績にではなく部分の能率に置かれている。
 これは、技術的な観点から見る限り、すべて優れた仕事である。しかし、だからこそ危険なのである。技術の仕事や職能別の仕事に関する限り、(経営科学という)新しい用具は、試行錯誤や、切り貼り的な昔からの用具よりも、遥かに強力である。それだけに、間違って使われたり不注意に使われたりしたら、害を与えることになるに違いない。

同書、220ページより

 製造やマーケティング、財務といった個別具体的な分野に限っては、科学的な分析と実践は効果的であるものの、企業全体への貢献、という点では疑問が残るとドラッカー。

 すべて本当のシステムの特徴の1つは、ミサイルの制御装置のような機械的なシステムであれ、樹木のような生物的なシステムであれ、企業のような社会的なシステムであれ、その内部構成が相互依存的であるということである。したがって、その構成要素の一部が改善されたり、特定の1つの機能が能率的になったからといって、システム全体も改善されるとは限らない。事実、システム全体も改善されるとは限らない。事実、システム延滞としては、そのためにかえって害を受け、あるいは破壊されてしまうことさえある。

同書、219ページより

#部分は全体があってはじめて意味をもつ
#全体の成果をあげるためには手を抜いたほうがよい活動はありますか 。

#それは何でしょうか

 部分最適と全体最適とは異なります。トップマネジメントは、企業組織の全体最適を目指して経営しているわけですが、現場のマネジメントは、自分の担当する部分を改善することに懸命になります。現場のマネジメントは、己の部署・商圏・責任範囲内の最適化を目指します。しかし、それが、トップマネジメント的にどうか?というと疑問のケースもある、ということです。

場合によっては、トップマネジメントが目指す全体最適と現場の部分最適とが相反する場合も生じることも。

 例えば、カーディーラーにおける、販売部門と補修部門において起こる摩擦です。販売部門は新車をできるだけたくさん売りたい。それでコミッションを稼いでいるからです。一方で、補修部門は、補修しながら長く乗り続けてほしい。メンテナンス料で稼いでいるからです。

お客としては、同じ組織から別々のメッセージが届くことがあります。
営業部門からは「そろそろ新車に買い替えましょう」、
補修部門からは「長く永く乗り続けるために、メンテナンスにいらしてください」。

お客としては「どっちなんだ?!」と惑い、時には怒りに繋がり、もうこのディーラーとの付き合い止める、と顧客離脱にもつながりかねません。

それぞれの部署は「部分最適」のため、お客にアプローチしているわけですが、カーディーラーの企業として「全体最適」にならない、というケースです。

こうした問題が起こらないよう、カスタマーサポート部門が販売部と補修部との利害関係を調整して、全体最適を図る、という解決策を取ることが必要です。

このようなことは、多くの現場で起こっているのかもしれませんね。
そんなことにないよう午後からもやっていきましょう。

今日もお読みくださり、ありがとうございました。ご相談ごとなどありましたら、お気軽に匿名のマシュマロなどでどうぞ。良い週末を!

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