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僕たちはあの日家族になった 1



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颯斗:よ!

○○:おハ…

颯斗:"お"しか聞こえてないぞ。

○○:朝無理…

颯斗:相変わらず寝起き弱いな 笑




颯斗とは同じ産婦人科で1日違いで生まれてからの幼馴染

そこから現在の高2になるまで運が良いのか悪いのか一度も違うクラスになった事はない


昔ながら言い方をすればツーと言えばカーの仲だ




颯斗:そういえば昨日○○の家忙しそうだったな。

○○:?

颯斗:まだ思考停止してんのか? 笑

○○:いや昨日なんかあったっけ…

颯斗:でかい引っ越しトラック止まってただろ

○○:あー あったねそんな事。

颯斗:なんで他人事なんだよ!
最初○○が引っ越すかと思ったんだぞ!

○○:ハハッ ないない。
颯斗に言わないでいなくなったら呪われそうだしそれはない。

なんか父さんが再婚したんだよウチ。

颯斗:お!あのパパがやっとか。




○○を産んだのが原因で母親は亡くなった


それは約16700分の1の確率の事


そこから父は17年間男手1人で○○を育てていた








○○:仕事しながらよく育ててくれたって感謝してるよ。

颯斗:その言葉パパに言ってやれ。
号泣するぞ?笑

○○:言うわけないだろ、恥ずかしいし…苦笑
俺からしたら再婚に何も言わないのが最大限のお返しだよ?

颯斗:それで新しいお母さんはどんな人なんだよ。

○○:ほとんど喋ってないけど…父さんが決めたんなら良い人なんじゃない?

颯斗:また他人事だな。

○○:母親がいる生活に慣れてないんだよ

なんなら颯斗のママの方が俺の母親って感じがするし。

颯斗:それ絶対新しいママに言うなよ?

○○:言わねえよ。

颯斗:でも1人の割にデカいトラックで来たなその人。

○○:あ〜それ1人じゃないからだわ。

颯斗:?

○○:オレ妹出来た。それも2人。

颯斗:マジ?苦笑

○○:マジ。






1年後







??:起きて!遅刻する!

○○:……………

??:ねえってば!

○○:…ウル…サイ……


ピピッ        ピピピッ     ピピピピッ



カチッ



○○:ハァ…なんで毎回アラームより早く起こしにくるんだよ……蓮加…



一年前に出来た1人目の妹 蓮加

うるさいガキ、以上…なんだけど
言い方を変えれば社交的で誰とでも仲良くなれるスゴいやつ



蓮加:家出る4分前にかけるアラームって意味あるの?

○○:俺はギリギリまで寝てたいの…

蓮加:そんなんでよく女子にモテるよね…

○○:う〜ん……才能?


バチッ


○○:イタッ

蓮加:もう起こしに来ないから!



ガチャン



○○:一度も頼んでね〜




蓮加には1年では伝わらなったが4分前というのに○○なりの考えがある



1分で制服に着替えて30秒で顔を洗う

後の2分は移動に費やされ…そして



○○:おはようございます。

○母:おはよう。



新しいお母さんには申し訳ないが残りの30秒の使い方はこれではない



チ〜ン



○○:(行ってきます)



生みのお母さんの仏壇に手を合わせる事だ




○○:行ってきます。

○母:いってらっしゃい。気をつけてね?

○○:ありがとうございます。




玄関に着くとピッタリ4分




○○:ハァ…眠い…



靴を履いていると後ろから



??:おはようございます…

○○:…あ〜…さくらおはよ…



もう1人増えた妹 さくら

蓮加が妹らしい妹なら
さくらは姉らしい姉

普段から大人っぽくてさくらといる方が○○としては落ち着けた

でも一年経っても○○が新しいお母さんに対して敬語が抜けないように
さくらも○○に対して敬語が抜けなかった




さく:いつも通りの時間ですね。

○○:だよね…なのに…ハァ…

さく:蓮加ですか?

○○:妹ちゃんに起こしに来なくていいって言い聞かせてくれないかな?

さく:…すみません。ボソ

○○:ごめん…さくらが悪い訳じゃないのに。言いすぎた本当にごめん。

さく:…大丈夫です。

○○:そっか…それじゃまた学校で。

さく:はい。



さくらが後ろ手に何か持っていたが


○○は2人より先に家を出る



向かうのはのはもちろん学校

人工芝のサッカーコート2面を完備するこの高校は全国有数のサッカー強豪校だ




○○:朝だからって動きおせ〜よ。

部員:はい!すみません!

颯斗:笑

○○:なんだよ。

颯斗:1番朝弱い○○に怒られる部員達が可哀想だな〜って 笑

○○:チンタラやるなら朝練来ないで家で寝てろってんだよ。その方が体にプラスだろ。

颯斗:お前が偉そうに…笑
俺は○○が毎日朝練に来るのにまだ慣れないわ。

○○:俺だって来たくない!
でも仕方ないだろ…毎朝蓮加が起こしに来る恐怖から寝坊出来なくなったんだから。

颯斗:妹出来たのはある意味良かったな。

○○:…うるさいだけだろ。

颯斗:さくらちゃんも?

○○:さくらは良い子だよ?
蓮加がおかしいだけ。

颯斗:そんな事言ってるけど俺は蓮加ちゃんに感謝してるけどね。
お前1人いるだけで練習の雰囲気変わるから。




○○は日本代表のアンダーカテゴリー常連で年代別の階段を着々と上り続けている
OMF(トップ下)



○○という存在がいるだけで後輩達の動きはいつもと違う…らしい




○○:そんな事言って…颯斗1人でも問題ないだろ。




颯斗も県選抜常連にしてU-20の代表にもたびたび呼ばれるほどのCB
そして何よりこの150人近い部員を束ねるキャプテン


身長は187cmとデカい!


○○も178cmと小さくはないが颯斗によく身長の事でマウントを取られている





颯斗:んで…俺らいつまでこうやって喋ってる?



皆練習している

それなのにこの2人は監督の横でボールの上に座っていた




○○:ボールの上に座ってたの?
颯斗デカすぎて見えなかったわ 笑

颯斗:おい!

○○:笑

颯斗:○○立て…

○○:……冗談だって。

颯斗:グラウンド10周して来い。

○○:冗談だよね…

颯斗:俺…キャプテンだよ?ニヤ



この部は伝統的にキャプテンの権力がとても強い



○○:…監督〜助けて〜!

監督:………ドンマイ。



監督を超えるほどに…



○○:薄情者〜!

颯斗:ほら走る。




グラウンドを1人走らされてる○○

生徒が続々と登校してくる時間という最悪な時間にだ





蓮加:お兄ちゃんまた走らされてるだけど!笑

さく:馬鹿なんだよ…

蓮加:辛辣!笑
でも家ではぐーたらしてるお兄ちゃんがまさかすごい人だったなんて。
最初はびっくりしたよね。

さく:うん。

蓮加:そう言えば、今日こそはお兄ちゃんにちゃんと渡したの?

さく:…渡せてないよ。

蓮加:なんでよ〜
私が代わりに渡そうか?

さく:いいよ。また自分で食べるから。

蓮加:さくらだけじゃなくて私たちも太るの!

さく:ウッ…それ言わないで…








○○:トゥカ…レタ…


机に突っ伏して○○は唸っていた


颯斗:ハハハッ!

○○:俺が朝に動けないの知ってるだろ!

颯斗:知ってるからやらせたんだよ 笑

○○:こいつキャプテンにした奴だれだよ!!

颯斗:…お前だね。

○○:俺だ〜!




代々先代のキャプテンが次のキャプテンを指名する


それで指名されたのが○○だったが


「面倒なので、辞退します」


そう言って次点の颯斗がキャプテンになっていた




○○:あの時に戻りたい!

颯斗:戻ってどうすんだよ 苦笑
○○の事だからまた断るだけだろ?

○○:そうだけど…
俺、キャプテンって柄じゃないじゃん?

颯斗:自覚あるんだ 笑

○○:でも〜!



自分の選択を後悔していると隣の席に人が埋まる



美月:いつもいつも朝から元気だね〜

○○:うるせえ。




山下美月

颯斗の次に付き合いが長く小学校からの仲

出会いは……いつだっけ?




美月:私にそんな事言っていいの?ニヤ

○○:…なんだよ。

美月:今日の数学小テストだよ?

○○:!!

美月:どうせ忘れてたでしょ。

○○:美月様!ノート見せて下さい!

美月:い〜や〜だ♡

○○:……じゃあ颯斗。

颯斗:俺も数学は無理…でもさ

美月:颯斗シー!



美月と颯斗は目を見合わせてそう言うことねみたいな顔をした。



美月:颯斗には範囲見せてあげる。

颯斗:お!助かる!

○○:俺は〜!

美月:○○はファンの人にも見せて貰えば?

○○:お!確かにその手があった。




教卓まで行って○○は皆んなに聞こえるように




○○:数学ヤバいので助けてください!



世界の中心で愛を叫ばないが

教卓の前で自分の危機を叫んだ


すると


女子:よかったら///

女子:私も///


すぐに集まった



○○:ありがとう!マジ助かる!

美月:あんなので本当に集まるから凄いよね…

颯斗:だな。



スポーツニュースで将来有望な選手として取り上げられた事もあるほどサッカーが上手くて容姿もカッコいい

そりゃ人気者にもなる


まぁそれでも普通そんな奴は男子から疎まれたりもするが



男子:仕方ねーから助けてやるよ。

○○:おっ サンキュー!



男子と女子で対応を変えない○○は男子からも人気だった



○○:これで乗り切れる〜!





そして時は過ぎお昼






○○:おい!

美月:ん?

○○:テストなかったぞ。

美月:あれ〜今日じゃなかったっけ。笑

○○:……騙したな

颯斗:確かに美月も悪いけど、日頃から授業聞いてない○○が1番悪いだろ。

○○:ブー!

颯斗:いじけるな 笑
ほら、飯行くぞ。

○○:いく〜!美月は後で覚えてろよ!

美月:笑

○○:待って〜


2人は購買へと向かう








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コンクリートを挟んだ○○の下の教室





柚菜:さくちゃん一緒に食べよ!

さく:うん。

遥香:私もいい?

さく:もちろん!



机をくっつけて食べる場所を広げた



遥香:そういえば蓮ちゃんは?

さく:さっきまでいたんだけど…

蓮加:ただいま〜

さく:どこ行ってたの?

蓮加:トイレ。笑



2人は2年生
○○からすると1つ下の学年



遥香:さくちゃん今日も…

さく:ある…

柚菜:太る〜!

さく:皆んなごめん…でも協力して!お願い!

蓮加:…それも今日で最後かな ボソ

さく:?




ざわざわ ざわざわ



遥香:なんか廊下うるさくない?



確かに昼になると基本うるさくなるが
今日はいつにも増してだった

その中心には



○○:よッ!

遥香:○○先輩///

柚菜:///

さく:お兄ちゃん///

遥香:先輩どうしたんですか?

○○:なんか蓮加が購買で俺の事待っててくれててさ。

さく:…蓮加?

蓮加:ニヤ



蓮加はピースサインでさくらに笑顔を見せた



さく:……蓮加もしかして。

蓮加:笑

○○:さくらが俺の弁当持ってるって。

さく:…やっぱり。



オドオドしながらさくらは可愛い巾着袋に入った弁当箱を○○に渡した




○○:これお母さんが作ってくれたの?

さく:え!?

蓮加:弁当あるって事以外話してないよ…ボソ

○○:ん?違うの?

さく:いや……そうなんです!
ママが○○にって。

○○:そっかお母さんの弁当美味しいし嬉しいんだけど… 苦笑



実は過去に弁当はもういいと○○から断った過去がある


なぜなら



○○:キャラ弁か…男だと少し恥ずいんだよね 苦笑



既に机の上に広がっているさくらと蓮加の弁当を見る


そこには女の子2人を育てた手腕が発揮されていた



さく:そ…それなら大丈夫です!

○○:ん?本当?



巾着から取り出した弁当を開けると



カパッ



○○:本当だ!肉に米に…肉。笑



女性が作ったとは思えないぐらい男の心を掴む弁当だった



○○:これはお母さんに感謝だな。
さくらも持って来てくれてありがとう。
もちろん蓮加も!

蓮加:///

○○:それじゃ食う時間なくなるから行くね!
じゃあね!



○○は廊下で待つ颯斗と共に去って行った



さく:……ハァ…

蓮加:なんで自分が作ったって言わないの!

遥香:本当だよ!
この2週間アレを食べ続けた私たちの気持ちも乗せて伝えるべきだって!



2人に詰め寄られるさくら


もう1人いたはず?



柚菜:○○先輩カッコ良かった〜///




○○のいた廊下を眺めてるよ





さく:だって…不器用だし茶色だけの弁当だし

蓮加:相手はお兄ちゃんだよ?

さく:だからだよ嫌われたら逃げるとこないもん。

蓮加:現にお弁当喜んでくれたよ?

さく:それは…ママの弁当だと思ってるから…

柚菜:先輩良い香りだった〜///

遥香:柚菜は少し黙ってようか…笑





新しく出来た家族の形が形成されるのはまだまだ先







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サッカー部の部室で昼寝ご飯を食べる2人





颯斗:俺の購買のパンと違って○○のは美味そうだな。

○○:いいだろ〜笑
美月に加担した颯斗には一個もあげないけどね〜

颯斗:それママの久しぶりの弁当だろ?
そんな弁当食えねぇよ。



弁当箱から箸でおかずを取り出して颯斗に見せた



○○:この唐揚げとか手作りっぽいよね。

颯斗:愛されてんな。

○○:苦笑


その片栗でコーティングされた唐揚げを食べると



○○:ん?


口に入れた瞬間○○は顔をしかめた


颯斗:どうした?



唐揚げの中を颯斗に見せた



○○:ナマ 笑

颯斗:笑

○○:味は美味しいし問題ないか。笑






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1日の授業も終わる


太陽が傾く夕方



この時間になってやっと○○は本当の意味で目覚める



○○:颯斗ボールが俺の事呼んでる!

颯斗:呼んでねえし、それ本気で言ってたら頭おかしいと思われるぞ!

美月:部活?

颯斗:そう。

○○:美月も久しぶりに来る?

美月:私はいいよ。




高2まではサッカー部のマネージャーをしていた美月だが3年になると受験の事もあり辞めていた




○○:残念…そう言えば美月は忙しいんだったな…

美月:うん…ごめん。

○○:まぁ気分転換したい時に遊びに来いよ
俺らも美月がいた方がいいプレー出来そうだし。

颯斗:だな。

美月:2人ともありがとう///






グラウンドに行くと朝とは違い○○はちゃんと練習しておりチーム練を終え個人練をしていた


その練習量は朝練を含めた同級生や後輩の練習量を凌駕している






颯斗:ハァハァ…

○○:バテるの早いな〜笑

颯斗:……ハァ…相変わらず余裕だな…

○○:こんなの普通でしょ?

颯斗:そんな訳ないだろ!
代表でもお前以上のサッカーバカに会ったことないわ。

○○:俺もない 笑




体力差だけじゃなく技術にも差があった


GK有りの1on1で今日は一度も颯斗は○○のボールを奪えずネット揺らされまくったのだ




○○:そんなんで本当にCBか?

颯斗:…クソッ。



それを囲むように他の部員そして



美月:………………



図書室での勉強を終えた美月がこのレベルの違う闘いを見届けていたが


そんな練習にも終わりが来る




監督:今日はもう終わり!

○○:え〜!

監督:照明もタダじゃないの。




既に照明が点いて数時間が経っていた

これ以上点けていると監督の自腹になるらしい



○○:でも…

監督:そんなに練習したいなら朝やれ!

○○:それは無理な相談です。

監督:起きれないもんな。

○○:…はい。

監督:そしてそれを見逃してやってる俺の言う事は?

○○:絶対です!



「お疲れ様でした」




部活も終わり家路に着く
同じ方向の○○と颯斗は途中まで一緒に帰る





颯斗:……マジ悔しい…

○○:悔しかったら俺より練習しろ〜笑

颯斗:お前より練習してたらサッカー選手どころか人間辞めさせられんだろ。

○○:ハハッ

颯斗:それに○○の事だからこの後も…

○○:来る?

颯斗:帰るわ!





暗くなり何も見えない住宅地から少し離れた公園

ゴールと同じような長方形の壁に1人ボールを蹴り続ける


その壁の4隅は黒くなっていてどれだけ当て続けられたか分からないほどだった





○○:ハァハァ…まだまだ… 


チリン


その音を鳴らした自転車を押して
練習していた○○の方に歩いて来る人物が1人


○○:ん?

美月:変わらないね。

○○:美月かよ…

美月:かよって何よ!

○○:こんな遅い時間に何してんだ。

唯一の取り柄の顔は可愛いんだから、輩に絡まれんぞ?

美月:それ褒めてないから。

○○:そりゃ褒めてねぇからね。




少しの時間睨みあったが




美月:フフッ

○○:なんだよ…

美月:ほんとに変わらないね○○は。

○○:ガキのままだって言いたいのかよ。

美月:ううん。羨ましいなって。



そう星空を見ながら答えた美月に



○○:……受験そんなに大変か?

美月:……うん。



いつも口論ばかりの2人だがこういう時は違った



○○:俺って馬鹿だし受験の受の字も知らないけど…
美月が辛そうにしてると俺も辛くなるし笑ってれば俺も笑える。

だから…なんて言うか美月は1人じゃないから

美月:…………ありがと。




ギュ



美月は汗まみれの○○に抱きついた



美月:いつもこういう時だけ優しいよね?

○○:それ褒めてる?

美月:褒めてる!




○○の胸で辛さを含んだ涙を流した後




美月:1人じゃないって安心できた。
受験頑張るね!



そう言って自転車に乗って去って行った




○○:そういえばあいつ何しに来たんだ?苦笑




美月のせいで練習を続ける空気ではなった○○は家に帰る




○○:ただいま〜

蓮加:おかえり〜

○○:お出迎えご苦労!

蓮加:いえいえ 笑


廊下を通り部屋に一回荷物を置いてリビングに行く



○○:ただいま帰りました。

○母:おかえり。

○○:あ!



○○は部屋にダッシュで戻り鞄から巾着袋を取ってまた戻ってきた



○○:お母さんお弁当ありがとございました。

○母:……あ…うん。

さく:///



それを聞いていたさくらの顔は少しずつピンク色に染まっていた



○○:すごい美味しかったです!



カパッ

弁当箱を開けるお母さん



○母:完食ね!

さく:///

○○:はい。
このお弁当ならまた食べたいです!



さくらの顔はピンクから真っ赤に変わっていった


そして違う意味でもう1人顔が赤くなった




○母:このお弁当なら?

○○:!!

○母:前のは?

○○:いや……キャラ弁は…少し…年齢的に

○母:さくらが作った弁当が私の弁当の方よりッ……ハッ!

さく:ママのバカ!!

○母:ごめん…

○○:??



さくらは自分の部屋に駆けて行ってしまった




○○はお母さんから事情を聞き
2週間前から作り続けていたが渡せず仕舞いでやっと今日渡せた事を聞いた



○○:そんな事になってたなんて…苦笑

○母:さくらってば作ってる時から顔赤くしてるの。可愛いでしょ?

○○:可愛いですね。
俺、ありがとうって言ってきますね。

○母:お願い。
私が謝ってたってのも言っといてくれる?

○○:わかりました。




コンコン 



○○:さくら?



すると返事だけがドアの向こうから聞こえる



さく:………聞いたんですか?

○○:うん。

さく:……どう思いました?

○○:嬉しかったよ 笑


ガチャ


さく:本当!?



扉を勢いよく開けて飛び出してきた



○○:可愛い妹が愛情込めて作ってくれたんだから当たり前でしょ。

さく:………ウルウル

○○:そんな不安だったの?

さく:…うん…私…料理上手くないから…

○○:そっか…それ聞いたら更にさくらの事好きになった。

さく:っ///

○○:得意じゃない事に挑戦してでも俺を喜ばそうとしてくれてさ。

さく:うん… 

○○:その思いはちゃんと届いたから。



ギュ


さく:お兄ちゃん!

○○:ん?

さく:今日は…い…一緒に寝て欲しい///

○○:いいけど………そうだ!




ガチャ



○○:蓮加?

蓮加:ん?

○○:隣聞こえてた?

蓮加:…うん。

○○:この家壁薄いからな〜苦笑

蓮加:さくらと寝るんでしょ?

○○:うん。

蓮加:ならなんで来たの!?

○○:蓮加を誘いに。

蓮加:は!?

○○:流石に兄妹とは言え高校生2人で寝るのはヤバいだろ?

蓮加:そ…そう?

○○:だからもう1人を誘いに来た。笑

蓮加:私がいたら…さくが…

○○:蓮加が俺を購買で待っててくれなきゃ
弁当食べられなかったし、さくらの思いも分からず仕舞いだった。

だから蓮加にも感謝してる。

蓮加:私はただ…さくの弁当を食べ続けるのが嫌だっただけで…

○○:弁当作り続けるのは止めなかったのに?

蓮加:…………

○○:ほら、行くよ。



ギュ


○○は蓮加の手を引く


蓮加:///

○○:可愛いな。笑



頭をポンポンっとした



蓮加:し…仕方ないから今日だけは一緒に寝てあげる///



蓮加を連れてさくらの部屋に戻る



○○:ゲスト連れてきちゃった 笑

さく:蓮加?

蓮加:ごめん…お邪魔だよね…

さく:ううん。3人で寝よ!




狭いベットに肩と肩を寄せ合ってギリギリ3人は寝れた





○○:……俺が真ん中って…なんか申し訳ないんだけど

さく:これが1番いいの!

蓮加:うん。

○○:さくらは壁側だからいいけど…蓮加なんて

蓮加:じゃあ///


ギュ〜


蓮加は真ん中の○○に抱きつく


蓮加:こうやって寝れば落ちないよ?

○○:///

蓮加:流石にここまですれば恥ずかしがってくれるんだ 笑

○○:なんか…色々当たってますからね///

さく:プク!


蓮加の目線を受けていた○○だが逆サイドから更に強い目線を受けていた



○○:どうした?

さく:さっきギュってした時は今みたいに顔赤くしなかった!

○○:それは…

さく:ないから?胸がないから?

○○:……違います。

さく:今の間!

○○:誤解なんだけど……いま何言ってもダメな気がする…

さく:許して欲しい?

○○:許すもなにも…


ギュ〜


さく:これで許す///

○○:///

さく:ヘヘッ 笑
恥ずかしがってる!

蓮加:それは今も私の胸が当たって…

○○:もう胸の話しやめようね!!



………スゥ………スゥ…




この美人2人に抱かれてるこの状況下で
普通の男なら寝れない


でもこの男は普通じゃない




○○:……スゥ…スゥ…

さく:寝ちゃったね。

蓮加:うん。




2人は○○に抱きついたまま姉妹で話していた




さく:蓮加も○○の事好きなのに…色々と協力させてごめん。

蓮加:ううん。

さく:好きって認めた!笑

蓮加:お兄ちゃんとして……って逃げる言い方もできるけど…

私は別に隠してないもん///
ただ私は勝機が見えなきゃアタックしないだけ。

さく:蓮加は頭いいね…私にそんなの出来ないや…

蓮加:私はそんなさくが羨ましいけど。

さく:どうして?

蓮加:だって本来の好きを相手に伝える行動ってさくらの方だと思うから。

さく:遠回りばっかりだよ?

蓮加:確かに。苦笑
それでもたどり着くか分からないゴールだとしても前に向かおうと道は歩んでる。

私なんて立ち止まったままなんだから。

さく:…………

蓮加:そろそろ寝よ。

さく:うん…




同じベッドの上3人の1日が終わった

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