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【学習におすすめの情報】著作権についてちょっと勉強してみる

みなさんこんにちは デジタルハリウッド動画教材開発の人です。
びっくりするニュースが出ましたね!

ミッキーは2024年にパブリックドメイン化、約1世紀にわたるディズニーと著作権との「三角関係」の歴史とは?
    <GIGAZINE 2023年12月19日 08時00分 記事より> 

「やったー!ミッキーマウスのキャラクターを商用利用できるぞ!」と喜ぶのは早いです。今回は、ミッキーマウスが初めて出てくるディズニーのアニメ「蒸気船ウィリー」の著作権保護期間満了に伴ってパブリックドメインになるだけで、この作品に出てくるミッキーマウスに限定されるようです。(なのでミッキーマウスのキャラクターなら何でもパブリックドメインではないということです そしてほかにも注意することはあるので、それはこの記事の下の方で・・・)

クリエイターとして仕事をするにあたって、デザインや素材の著作権に気を付けることは最も重要なことといっても過言ではないでしょう。

自分でデザインをすることはもちろん、素材としての写真・映像・ロゴ・文字のデザイン・文章・音楽などが該当すると思いますが、どのように著作権を意識しながら素材に向き合っていけばよいのでしょうか?

著作権とは?


それには、まず著作権 に関しての定義を学ぶ必要があります。

【著作権とは?】
創作者の
思想感情が表現された文芸・学術・美術・音楽などを著作物といい、創作した者を著作者という。その著作者が有する権利。また作品がどう使われるか決めることができる権利のこと。

wikipediaより

著作権に関しての議論は15世紀のヨーロッパまでさかのぼるほど長~い歴史があるものですが、創作者の思想・感情を何をもって証明するのか?がすごくあいまいで難しいですよね。私も正直わかりません。

クリエイターとしては

・著作権に抵触するか?を常に意識する
・絶対にこう!と言い切れないものではあるのであらゆる観点で考える

という2点が重要かなと思います。
なぜ“絶対”がないか?ということがわかる判例を2つご紹介します。

①Asahiロゴマーク事件

<参考サイトは以下をご覧ください>
https://www.hanketsu.jiii.or.jp/hanketsu/jsp/hatumeisi/news/199610news.html

日本のビール大手であるアサヒビール株式会社の「Asahi」という商標に似た文字のデザインでロゴをデザインしたとして、ある企業をアサヒビールが訴えたケースです。

(右)原告 (左)被告 のロゴ
(裁判所:https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/816/013816_option1.pdf)より

裁判所はアサヒビールの訴えを退けて「著作権的に問題ない」という判決をだしました。あの“超ドライ”なビールの缶にも印刷されている印象的なロゴに似せても問題ないという判決は、かみ砕いてお伝えすると、「文字のデザイン自体には、作者の思いや感情の表現が含まれているとは言えないから」ということが理由らしいです。

私としては、ロゴの文字のデザインをした作者が、超ドライなビールが代表的な企業であることをイメージできるシャープな感じを表現した商標にしたい!という思いをデザインに込めていたとしても、「文字だから似ちゃうこともあるし、文字は文字だから表現に思想や感情は入らないよね」で片づけられたら、文字のデザインをする人には、著作権はあってないようなものだということなんですかね?と思っちゃいますが、裁判所の判断は問題ないということでした。

みずみずしいスイカ事件

<参考サイトは以下をご覧ください>
https://www.hanketsu.jiii.or.jp/hanketsu/jsp/hatumeisi/hyou/200208hyou.html

これは、写真に写ったスイカのレイアウトが酷似しているということで原告が被告を訴えた裁判です。

(左)原告(右)被告のスイカ写真
(裁判所:https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/428/012428_option1.pdf)より

写真としては、スイカを切って並べた感じは同じですから、「まぁ大体こんな感じのイメージにはみんなするよね?」とは思うのですが、これは原告の著作権違反の訴えが認められたケースです。
判決の理由は、かみ砕いて説明すると、「撮影の対象物(ここではスイカ)とその周りのモチーフとの組み合わせ、配置が制作者の創造的な表現に該当するから」らしいです。「うーん…偶然同じようにモチーフをレイアウトして撮影されただけだとしたら、被告はかわいそうだな…」と思っちゃいますね。

この2つの判例を見ても、
・作者の感情や思想が表現されているか?

があまりわからないのが正直なところです。

著作権以外にも、作品にはいろいろな権利が発生している

また著作権的に問題なくても、その周辺に著作者を保護するためのさまざまな権利があります。

意匠権

著作権が、個人の表現手法(絵画や音楽、写真、オブジェ)に対して
「工業上利用することができる(量産できる)」ものが保護対象
 ~物品の形状、模様、または色彩など~

何か商品のデザインを任された際、すでに世に出ている製品のデザインをマネすると違法になる恐れがあるということですね。

著作者人格権

著作物の公表時期や著作者の氏名の記載、著作物に対する無断の修正の禁止、著作物の名誉が害される使用の禁止 など

冒頭でお伝えしたパブリックドメインになったミッキーマウス”を、性風俗店の広告バナーのデザインに使ったら一発でアウトになりますね。ミッキーマウスはそんな使われ方を望んでないと思いますので名誉が害されます。Webやグラフィック制作にフリーの写真素材を使う際も、著作者からの「使用する際はコピーライトを入れてください」と注意書きがあれば、コピーライトを入れる義務があります。(コピーライトが入った写真素材は商用サイトに使いづらいですね)

著作隣接権

著作物の創作者ではないけれど、著作物の伝達に重要な役割を果たしている実演家、レコード製作者、放送事業者及び有線放送事業者に認められた権利だそうです。
著作者の死後、71年以上経過した曲(例えばクラシック音楽など)は、著作権保護期間が過ぎていますが、その演奏者には著作隣接権が適用されるので、自由に音楽を利用するのは違法になる場合があります。

色々な著作物に関しての権利が複雑に絡み合うため、判断が難しいです。

デザインする際・素材データの使用の際の注意ポイント

どこまでいっても”絶対”がないのが、司法の世界だと思います。
裁判所の判決によって黒が白に、白が黒になるわけですし、デザインは人が作るものなのでどこからがボーダーか?は裁判の結果次第な感じもします。明確に定義できないからこそ、クリエイターが注意すべきは以下3点かなと思います。

①兎に角いろいろなデザインを見てなんとなく記憶しておく

自分が作ったデザインを「あのデザインに似てるかも・・」と思えるだけでも、注意できますよね。権利侵害を回避できる可能性が増えます。
もちろん世の中すべてのデータを記憶することは物理的に無理なので、著作権に引っかかるポイントをしっかりと理解し、避けることが重要です。

②フリー素材使用の際は、使用範囲や規定をしっかりと読んで違反しないようにする

著作権フリー・商用利用可能 と書いてあっても、使用する際の条件があったりします。また海外の素材は、現地の国の法律が適用されるため、日本でOKでも、その国ではNGな使い方もありますので注意しましょう。 クリエイティブ・コモンズ・ライセンスというのもあります。 これは、インターネット時代の新しい著作権のルールで、素材や作品を公開している作者の条件に従えば自由に素材・作品を使ってもよいよ。というものです。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの素材や作品にもいろいろな種類があり、マークでわかるようにしてあります。使いたいと思うクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの素材や作品の条件を定義したサイトを見て勉強しておくとよいです 。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスジャパンのサイトをチェック
https://creativecommons.jp/licenses/

③結局はクライアントから素材をもらうかオリジナルの素材を自分で作る

クライアントからもらった素材ならライツの責任は回避できますね。それが難しければ自分で写真や映像、音楽の素材は作ってしまう(もしくはプロに権利譲渡込みで制作を依頼する)のが一番です。ただ依頼したクリエイターが誰かのデザインや構図をソックリまねした場合、後々トラブルになるケースがあるので、その部分の注意と契約書は交わしておいた方が良いかもしれません。

私も法律家ではないので、ここまでの記事で「お前そこは違うぞ!」という部分があれば随時教えてください~!(note修正しますので)

デジタルハリウッドの動画教材には著作権講座がある!

デジタルハリウッドの受講生の皆さんは、動画教材に”クリエイターのための著作権”という講座動画がありますので、しっかり著作権について学習できます。
著作権やその周辺の権利関連の理解、クリエイターが直面するケースを想定したケースワークなどもあり、とても分かりやすく著作権に関して理解できる動画教材なんですよ!

知的財産関連業務を得意とする弁護士であり、
デジタルハリウッド大学大学院の客員准教授でもいらっしゃる高瀬 亜富先生による講座です!

こういうところまで、クリエイターに必要な知識・技術にしっかりと
目を向けているのがデジタルハリウッドの動画教材!💪(自画自賛!)
著作権に関しての知識をつけた真のクリエイターを目指してください!

本日は以上です~

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