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2023年10月16日、日本株式市況


2023年10月16日


Nikkei Chart

16日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に続落し、大引けは前週末比656円96銭(2.03%)安の3万1659円03銭と、節目の3万2000円を下回った。中東情勢の緊迫や前週末の米ハイテク株安を受けた売りが終日優勢で、主力株はほぼ全面安となった。下げ幅は一時700円を超えた。

前週末13日の米株式市場でハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数が下落した。中東緊迫を受けた原油先物価格の上昇で、インフレが再燃するとの懸念が売りにつながった。東京市場でも主力の半導体関連などに売りが波及した。イスラエルのパレスチナ自治区ガザ地区における地上戦の準備が伝わるなか、情勢を見定めたいとして株式の持ち高を減らす動きが広がった。

午後に日経平均は下げ幅を拡大した。中東緊迫を背景とした株安がアジア市場にも広がり、日経平均先物にも断続的な売りが出た。リスク回避姿勢の広がりを映し、市場では「国内の機関投資家による下値での買い注文は、通常の下げ局面より少ない」(国内証券のトレーダー)との声があった。午前に円安・ドル高を背景に輸出関連などが下げ幅を縮小する場面もあったが、買いは続かなかった。

東証プライムの売買代金は概算で3兆3487億円。売買高は13億5453万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1605と、全体の9割弱を占めた。値上がりは191、変わらずは41銘柄だった。

16日の国内債券市場で長期金利の指標である新発10年物国債の利回りは前週末を0.005%下回る0.750%に低下(価格は上昇)した。中東情勢を巡る地政学リスクの高まりから相対的な安全資産とされる債券は買いが優勢だった。日銀の国債買い入れオペ(公開市場操作)も相場を支えた。

長期金利は0.745%まで低下する場面もあった。残存期間「5年超10年以下」を対象とした日銀オペでは、応札額を落札額で割った応札倍率が1.70倍と前回から低下し、売り意欲が後退した。先物中心限月である12月物の終値は前週末比8銭高の145円47銭と反発した。

超長期債は売りが優勢だった。日銀による早期の政策修正観測などで17日の財務省による20年債入札には一定の警戒感がくすぶる。新発20年物国債利回りは前週末と同じ1.525%で取引されている。30年債は0.020%高い1.700%、40年債は0.025%高い1.970%にそれぞれ上昇(価格は下落)した。

短期金融市場では東京金融取引所で無担保コール翌日物金利(TONA)先物の中心限月である12月物は前週末比0.002高い99.992となっている。大阪取引所のTONA先物は中心限月の12月物が前週末と同じ100.0000で終えた。

全銀協TIBOR運営機関が発表した海外円の東京銀行間取引金利(TIBOR)3カ月物は横ばいで、前週末と同じ0.02400%だった。


東京市場の下げ圧力はひと際強く、日経平均は大幅安で始まった後も先物へのスライス売りに引きずられ一貫して下値を切り下げた。もっとも、続急落で日経平均は3万2000円台を割り込んだとはいえ依然として3万1000円台後半に位置しているわけで、外野からの視線ではそれほど悲観的な地合いではないようにも見える。しかし、前週の繰り返しになるが、東証グロース市場の下げが酷い状況にある。これが今の個人投資家の体感温度に近いといえる。そして、これは早晩プライム市場にも飛び火する公算が小さくない。時価総額でみればグロース市場は確かに小規模だが、今の低迷ぶりはプライム・スタンダード市場に先行する「炭鉱のカナリア」である可能性が高い。沈黙するカナリアを前に強気姿勢を貫くことは、勝算なき蛮勇といえるかもしれない。

 投資主体別の売買動向をみると、9月第4週と10月第1週の外国人投資家の先物売りが際立っている。2週間合計でほぼ3兆円に達する。これは何を意味するのか。日本固有の悪材料で売りに動いたわけではなさそうだが、“バフェット効果”に酔いしれた季節は既に過ぎ去っていることを認識しておく必要がある。国内でこれから本格化する決算発表は上方修正に動く企業がかなり多いという観測があり、株式市場にとっては追い風材料と捉えられているが、「日経平均3万2000円台で既にそれを先食いしてしまった状態であり、一方で悪材料には目をつぶって織り込んでいない」(中堅証券アナリスト)という声もある。

 中東ではイスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの地上侵攻が迫っているとの観測が強い。今回の紛争は地理的には遠くの戦争でもネイサン・ロスチャイルド語録の「銃声が鳴ったら買い」というものではなさそうだ。イランが絡めば、投機的な動きも誘発して原油価格の上昇が再び懸念される。今の円安が輸入コスト上昇の増幅装置となることを考えればリスクオフの高波は遅れてやってくる。

中東の地政学リスクは引き続き不安定材料として横たわっている。地上戦への移行で戦線の拡大が懸念されており、ブルームバーグ・エコノミクスによれば中東で紛争が拡大すれば世界的なリセッション(景気後退)につながる恐れがあるとの見方もある。イスラエルはパレスチナ自治区ガザでの「大規模な地上作戦」を準備していることを明らかにしており、実際に地上侵攻すればイランの関与を招く可能性がある。一方で米国は、ここ数日にイランと非公式ルートで協議を実施しているようで、ブリンケン米国務長官は16日にイスラエルを再び訪問して協議を実施する予定。バイデン米大統領も、イスラエルのネタニヤフ首相との電話会談での招待を受けて、数日中の同国訪問を検討しているという。ひとまず、イスラエルの地上侵攻の動向を注視して見守る必要があろう

ローソン<2651>が発表した2024年2月期第2四半期業績は、営業収益が前年同期比11.1%増の5454.92億円、経常利益は同52.4%増の479.09億円だった。国内コンビニエンスストア事業において、前年に本格導入を開始した「無印良品」の導入店舗数は8月末日現在12484店舗となった。人流の増加に伴いカウンターファストフード、ソフトドリンク及び米飯の売上が伸長したほか、店内調理サービス「まちかど厨房」や化粧品などの売上が伸長した。

丸紅<8002>タイ化粧品に59億円出資、東南ア需要取り込み
キヤノン<7751>「ナノインプリント」実用化、半導体露光装置を発売

<2168> パソナ 1398 -123
大幅続落。先週末に第1四半期決算を発表、営業利益は22.3億円で前年同期比33.1%減となり、据え置きの通期計画160億円、前期比11.3%増に対して低調なスタートと受けとめられているようだ。新型コロナ収束に伴い粗利率の高い医療専門職種の派遣が縮少したほか、BPOサービスの事業成長に伴う人件費の増加なども負担になっているようだ。なお、もともと今期は下半期偏重の業績計画となっていた。

<4439> 東名 1972 -500
ストップ安。先週末に23年8月期決算を発表、営業益は16.5億円で前年同期比4.9倍となり、従来計画の13.6億円を上振れた。6月に電力需給約款の変更及びサービス料金体系の変更を行うなどリスクヘッジ策が奏功した。一方、24年8月期は19.8億円で同19.8%増を見込み、年間配当金も1円増の14円を計画。ただ、今期見通しは四季報予想などとの比較でサプライズ乏しく、出尽くし感が優勢に。

<6532> ベイカレント 4064 -700
ストップ安。先週末に上半期決算を発表、営業利益は155億円で前年同期比23.0%増となり、第1四半期の同22.7%増と同様な増益ペースが続いた。通期予想355億円は据え置き。コンサルタント数の増加、高稼働率の継続などで順調な業績の伸長が続く形に。ただ、決算サプライズは乏しく、短期的な出尽くし感につながる状況となった。中小型のグロース株を中心とした地合い悪化なども、本日は逆風に。

<3073> DDグループ 1419 -400
ストップ安。先週末に上半期決算を発表、営業益は16.7億円で前年同期比21.8億円の損益改善となり、従来予想の13.9億円を上振れた。通期予想は従来の22.5億円から29.5億円に上方修正。既存店売上の想定以上の好調や販管費抑制が進んだ。「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載も解消する。ただ、第1四半期決算発表後に株価は急伸、業績上振れは相当程度織り込まれており、目先の出尽くし感が優勢に。

<6199> セラク 1278 +75
大幅反発。先週末に23年8月期決算を発表、営業益は19.4億円で前期比2.2倍となり、従来計画の19.3億円に沿った着地に。一方、24年8月期は22.4億円で同15.2%増と連続増益見通しとし、年間配当金は前期比2.6円増の13円を計画する。順調な収益成長継続見通しを受け押し目買いなどが優勢となった。売上増を見込むほか、パートナー活用増や一次請け案件増で利益率の向上を想定しているもよう。

<6047> Gunosy 680 +32
大幅反発。先週末に第1四半期決算を発表、営業損益は1.8億円の赤字で前年同期比1億円の損益悪化、経常損益は5.2億円の赤字で同1億円の損益改善に。広告市況の影響で減収となったほか、広告宣伝投資の増額などから収益は悪化。持分法投資損失の縮小で営業外は改善。第2四半期については広告宣伝投資を一時的に抑制するもよう。決算サプライズは限定的であらためてsliceの成長期待などを高める動きに。

<2884> ヨシムラフード 1122 +44
大幅反発。先週末に上半期の決算を発表、営業利益は9.2億円で前年同期比4.8倍となり、6-8月期も4.1億円で同7.6倍となっている。通期予想15.7億円、前期比2.3倍は据え置いているものの、進捗率が高く上振れも期待される状況に。新規M&A企業の貢献や海外企業の回復で売上高が拡大し、不採算取引の停止や生産品目の削減なども収益率の向上に寄与しているもよう。

<7599> IDOM 825 +113
急騰。先週末に上半期の決算を発表、営業利益は71億円で前年同期比17.6%減となり、従来計画の75億円に沿った着地となっている。6-8月期は43.3億円で同28.8%増と増益に転じる形に。通期予想は従来の190億円、前期比1.7%増を据え置いている。ビックモーター問題の余波も中古車業界には警戒され、株価の低迷が続いていたことから、会社想定通りの業績回復確認で買い安心感が強まっているようだ。

<7453> 良品計画 1974 +161.5
大幅続伸で高値更新。先週末に23年8月期決算を発表、営業利益は331億円で前期比1.1%増となり、315億円程度の市場予想を上回った。また、24年8月期は480億円で同44.9%増を見込み、こちらも400億円程度のコンセンサスを大幅に上回る。国内での粗利益率改善や海外での不採算店舗閉鎖などにより、収益性が高まるともよう。楽観的との見方もあるようだが、想定以上の大幅増益見通しにインパクトが先行。


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