見出し画像

2024年3月13日、日本株式市況




――――――――――――――――――― 3月13日 (水) ――
◆国内経済
 ・春闘集中回答日
 ・2月投信概況 (15:00)
◆国際経済etc
 ・英国1月月次GDP (16:00)
 ・ユーロ圏1月鉱工業生産指数 (19:00)
 ・米国MBA住宅ローン申請指数 (20:00)
 ・米国週間石油在庫統計 (23:30)
 ・米国30年国債入札
【海外決算】
[米]ダラーツリー<DLTR>/[欧]アディダス、インディテックス、フォルクスワーゲン
◆新規上場、市場変更 など
 〇名古屋電機 <6797> [名証M]:東証S上場


 前日の欧州株市場では主要国の株価指数が総じて強い動きで、独DAXと仏CAC40は揃って過去最高値を更新。このリスクオンを引き継いだ米国株市場ではNYダウ、ナスダック総合株価指数、S&P500指数いずれも上昇、良い流れで東京市場に順番が回ってきた。米株市場ではハイテク株比率の高いナスダック指数の上昇率が高かったが、この日は全体相場を俯瞰するというよりはマーケットの視線は一点に集中、米画像処理半導体大手のエヌビディア<NVDA>に注がれていた。そうしたなか、エヌビディアは久々に咆哮し7%高という高パフォーマンスで株価を切り上げている。 

 最近の東京市場ではエヌビディアの値動きに日経平均がリンクしているといわれるほど株価の相関性が高かった。とすれば、きょうは半導体セクターの主力株を中心に鮮烈な戻り足がイメージされるところだったが、半導体やAI関連は前日に先食いで良いところを見せてしまっていた銘柄も多く、きょうは買い一巡後に値を消すものも少なくなかった。相場の波紋は時々刻々と変化して、なかなかリアルタイムで波動を捉えるのは難しい。

 もちろん、エヌビディア効果で気を吐いた銘柄もある。とりわけエヌビディアに追随する形で気勢を上げたのは、前日にも取り上げたさくらインターネット<3778>だ。前日はストップ安ウリ気配のまま引けたが、打って変わってきょうは朝方から買い注文が殺到、カイ気配でのスタートとなった。ネット証券大手の話では「前日に追い証に絡む投げ売りが出切った状態で、きょうは機械的な売り注文は鳴りを潜めた。米株市場で半導体やAI関連株が出直ったのもグッドタイミングで素直に切り返す形となった」という。前場は売り買いが交錯し上下に不安定な値動きを続けたが、後場中盤以降はストップ高カイ気配で張り付いた。

政府要請があったとはいえ、企業の想定以上の賃上げへの取り組みは、市場関係者に半ば驚きをもって受け止められ、これは同時に来週18~19日に行われる日銀金融政策決定会合で、マイナス金利解除の可能性が高いという思惑が改めて強まることになった。「デフレ脱却という言葉はもはや過去の遺物と化し、既に賃金インフレの引き金を引いた可能性がある」(中堅証券ストラテジスト)という声すら聞かれた。この期に及んでマイナス金利継続など不条理の極みという認識が広がっても不思議はなく、「来週の決定会合は、むしろ解除後の日銀の政策方針(利上げ時期)に焦点が当たる」(同)というやや先走った見方も出ている。


<6239> ナガオカ 1345 +110
大幅続伸。本日の立会外取引で、発行済み株式数の7.1%に当たる50万株の自己株式取得を実施している。従業員に株式報酬として交付する株式へ充当することを取得目的としている。大株主であるハマダグループが自社株買いに応じたもよう。短期的には1株当たりの価値向上につながるほか、24年6月期の配当予想も従来計画の23円から30円に引き上げると発表しており、株価はポジティブな反応が優勢に。

<7739> キヤノン電子 2362 -190
大幅反落。スペースワンが本日打ち上げた小型ロケット「カイロス」初号機が、打ち上げ後に爆発したと伝わっている。日本の民間ロケットで初めて、人工衛星を宇宙空間の軌道に投入する計画であったもよう。同社はスペースワンへの出資企業の一社であり、カイロスロケットに駆動系や電子制御に関わる部品の一部を供給もしている。打ち上げ失敗による失望感が強まる展開となっているようだ。

<4005> 住友化 314.5 +3.3
続伸。前日にはDX戦略説明会が開催されているもよう。市場・知財データの分析やR&D におけるスクリーニングなどに関してDX戦略を実行しているもようで、とりわけ、設備管理の効率化は短期から中期的な業績貢献が大きくなる見通しのようだ。国内6工場のシステム刷新などで数年内に保全コストの約3割削減を目指し、数10億円規模の損益改善要因となるもよう。大幅下落した株価水準からの見直しの動きにつながった。

<2459> アウン 248 +50
ストップ高。新サービス「SEOガイド」の提供を開始したと発表している。充分な対応リソースがなくても簡単に導入可能、長年にわたるノウハウの蓄積、同社通常提供サービスの数分の1のコストなどといったと特徴があるようだ。また、多言語にも対応し、海外向け対策にも有効となるもよう。企業のSEO対策の重要性が高まる中、今後の業績寄与に対する期待が先行する形に。

<8035> 東エレク 37390 +880
反発。半導体関連まちまちな中で相対的に堅調。SMBC日興証券では投資判断を「2」から「1」に、目標株価も25000円から42000円に引き上げ。短期的に同製造装置セクターはダウンサイドリスクに留意すべき必要もあるが、同社は同セクターのコア銘柄、個別でのシェア向上期待からも選好すべきと。エッチャーと成膜装置の成長が今後も業績をけん引、25年3月期営業益を4230億円から5530億円に増額した。

<3778> さくら 6620 +1000
ストップ高。前日まで連日のストップ安となり、ここ3営業日での下落率が45%にまで達していたことから、短期リバウンド狙いの動きが優勢になっているようだ。足元での急落のきっかけとなったのは米エヌビディアの株価下落だが、前日の米国市場では押し目買いによってエヌビディアは7%超の上昇となっており、関連銘柄と位置付けられる同社株のリバウンド材料とされている。

<3443> 川田TECH 9620 +600
大幅反発。前日に業績・配当予想の上方修正を発表している。24年3月期営業利益は従来予想の74億円から78億円、前期比55.2%増に引き上げ。鉄構セグメント及び土木セグメントにおいて設計変更交渉が想定以上に順調に進んだもよう。第3四半期決算発表時に続く上方修正となる形に。年間配当金も第3四半期決算時に240円から300円に引き上げていたが、今回はさらに330円にまで引き上げ。

<2695> くら寿司 4585 +180
切り返して続伸。前日に第1四半期決算を発表、営業利益は17億円で前年同期7億円の赤字から黒字転換、通期計画24億円に対する進捗率も72%に達している。市場コンセンサスも上振れとみられる。既存店売上の改善や粗利率の上昇などで日本セグメントが大きく回復している。直近で好決算期待が先行していたことから出尽くし感も先行したが、売り一巡後は好実態をストレートに評価する動きが強まっているようだ。

<3770> ザッパラス 534 +80
ストップ高比例配分。前日に第3四半期決算を発表、累計営業益は2億円となり、前年同期比5.3億円の損益改善。通期予想は従来の2.5億円から2.9億円に上方修正した。自社占いプラットフォーム「cocoloni 占い館」や、メディア露出で注目度の高い占い師監修のコンテンツが堅調に推移。また、発行済み株式数の2.48%に当たる30万株を上限に自社株買いも発表、取得期間は3月15日から7月31日まで。

<6966> 三井ハイテク 9167 -763
大幅反落。前日に24年1月期決算を発表、営業利益は181億円で前期比19.8%減となったが、3月5日に上方修正を発表済み。一方、25年1月期は210億円で同15.9%増の見通しとしているが、中計での目標値は330億円であったため、失望売りが先行しているようだ。中計目標値との比較では、需要減少に伴って電子部品事業が大幅な下振れとなっている。なお、25年1月期配当金は前期比12円増の84円を計画。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?