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2023年10月18日、日本株式市況


日経平均
Nikkei400

東エレクやレーザーテクなど半導体関連が買われた。日経平均の構成銘柄ではないが半導体設計のソシオネクスは18日、2ナノ(ナノは10億分の1)メートルの半導体開発で英アームと台湾積体電路製造(TSMC)と協業すると発表し、午後から急騰。ソシオネクスの大幅高を受け、他の半導体関連銘柄にも買いが広がった。

前日の米ハイテク株安の流れで日経平均は朝方には170円強下落し、心理的節目の3万2000円を下回る場面もあった。17日発表の9月の米小売売上高が市場予想を上回り、米経済の底堅さが意識された。インフレ抑制を目指す米連邦準備理事会(FRB)が追加の利上げに動くとの見方から、米長期金利は再び、4.8%台まで上昇した。国内債券市場でも長期金利が上昇し、第一三共などPER(株価収益率)が相対的に高い医薬品株の一角が売られた。中東情勢の緊迫化を背景にした原油高でインフレが再燃することを懸念する見方も根強い。

東証プライムの売買代金は概算で3兆3556億円。売買高は12億6170万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1184と、全体の6割だった。値下がりは582、変わらずは70銘柄だった。

18日の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは前日比0.025%高い0.805%で推移している。一時は0.815%と2013年8月以来、10年2カ月ぶりの高水準をつけた。17日発表の米小売統計が市場予想を上回り、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長引くとの見方が広がって国内債にも売りが出た。午後に入ると同じ時間帯に取引されている米10年債の利回り上昇が一服し、国内長期金利の上昇幅も縮小した。

日銀は18日、残存期間「5年超10年以下」と「10年超25年以下」の臨時の国債買い入れオペ(公開市場操作)を実施した。「5年超10年以下」では応札額を落札額で割った応札倍率が3.02倍、「10年超25年以下」は2.63倍だった。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也債券ストラテジストは「やや弱めの結果だったが、一定程度金利の上昇に歯止めをかける効果はあった」と指摘していた。

 中東情勢が気になって手がつかず、売りも買いもほとんど惰性という印象。とはいえ、日経平均は足もと3万2000円近辺の水準であり、5日・25日移動平均線のゴールデンクロスも目前ではある。決して弱い地合いとは言えないはずなのだが、当欄で繰り返しているように個人投資家はかなり苦戦しているというのが実情のようだ。全体指数では分からないが、個別株の傷み方が激しい。「同じフィールドであってもプレーヤーと観客席に座ってスコアボードを見ている人とでは、まるで見えている風景が違う相場である」(中堅証券ストラテジスト)という指摘が当を得ている。

 ただ、個別に材料が出たとはいえ半導体主力銘柄の一角であるソシオネクスが売買代金を急増させ、一時15%を超える大幅高を演じたのは福音といえるかもしれない。ソシオネクスは、ソフトバンクグループ<9984>傘下の英アーム及び半導体受託生産最大手TSMC<TSM>と2ナノメートルの半導体開発で協業すると発表した。今、話題の日の丸半導体会社ラピダスが北海道・千歳工場で、2027年までに最先端半導体の量産を目指す方向にあるが、これがいわゆる2ナノ世代の半導体である。ソシオネクスは今回の協業で2025年上期のサンプル提供を目標に掲げており、技術立国日本の半導体分野での復権の第一歩となるかが注目される。

 きょうは、ソシオネクスがビッグニュースで後場に値を飛ばす前から、半導体関連には流れが来ていた。アルゴリズム売買の介入も観測されているレーザーテック<6920>が無類の強さを発揮、年初来高値圏で強調展開を続けたほか、東京エレクトロン<8035>やディスコ<6146>、SCREENホールディングス<7735>といった半導体製造装置関連株も前場から頑強な値動きをみせていた。前日の米国株市場では、バイデン米政権が最先端半導体の対中輸出規制強化を発表し、これを嫌気してGPU大手のエヌビディア<NVDA>が急落するなど米半導体株への逆風が強まる矢先のタイミングだったが、東京市場では半導体株が思いのほか頑強な値動きを示したのは今後につながる光明といえそうだ。

国内の長期金利は一時0.81%を付け、約10年2カ月ぶりの水準になった。米長期金利が急上昇したことに加えて、30・31日に開く日銀金融政策決定会合で2023年度・2024年度の物価見通しを上方修正する公算が大きいとの報道が債券の売りにつながっている。関係者によると、生鮮食品を除くコアCPIの見通しは、23年度が2.5%から3%に、24年度については従来の1.9%から2%以上への引き上げが視野に入るという。日銀は、賃金上昇を伴う形での2%物価目標の持続的・安定的実現を目指しているが、植田日銀総裁は前回会合後の会見で、現状はまだ目標に至っていないと認識を示していた。今月の同会合で、これらの認識に変化が出てきているか、注目しておきたいところだ。

大建工<7905>は第2四半期業績予想の修正を発表。売上高は1140億円から1050億円、営業利益を28.0億円から5.8憶円に下方修正した。持ち家や分譲戸建を中心に新設住宅着工戸数が低水準で推移し、海外市場においては、MDFの需給は軟化傾向が続き、北米における木材製品の市況価格も依然として低調に推移した。

・不二越<6474>切削加工向けバリなし工具、新形状で振れ抑制
・ソニーG<6758>ソニー・ホンダモビリティ、車載アプリ開発環境提供、EV「アフィーラ」向け
・トヨタ自<7203>7工場11ライン停止、中央発條で爆発事故、部品供給滞る
・ニチコン<6996>V2Hなど成長の柱、来年3月に新製品投入
・三井物産<8031>インドネシアの食品卸に出資、商品開発・供給網を拡充
・SMC<6273>リニアモーターで流体制御装置バルブ駆動、開発・投入
・三菱重<7011>回収CO2の液化実証、温室ガス削減加速
・クボタ<6326>水道管更新計画策定、AIで業務大幅に軽減、新技術
・日立<6501>下水処理場プロ受注、フィリピンの水質改善
・トレックスセミ<6616>電圧変換器を開発、省スペース・高速応答
・パナソニックHD<6752>中国天泰と連携、快適な住宅設備環境を提供
・グンゼ<3002>メディカル増強、京都・綾部に新工場・開発施設
・住友大阪セメント<5232>三井住友建設とコンクリート橋の耐久性向上
・神戸鋼<5406>還元鉄でCO2を25%減、加古川の高炉で実証
・ニチレキ<5011>伊藤忠エネクスと物流・環境対策で提携、株式10億円分を相互取得
・三井化学<4183>アセトンなど値上げ、原料ナフサ高騰

<2918> わらべ日洋 2977 +173
大幅反発。野村證券では投資判断「バイ」を継続し、目標株価を3200円から3500円に引き上げている。9月上旬から稼働開始したバージニア工場では計画を上回る受注が足元で確認できており、順調なスタートを切っていると評価している。これにより、26年2月期に海外をドライバーとして増益モメンタムが加速する見通しは不変としている。同期の営業利益は25年2月期比23.5%増の85.3億円を予想。

<7899> MICS化学 444 +45
急伸。中本パックスが株式交換で同社を完全子会社化すると発表している。株式割当比率は1:0.28とされており、前日の中本パックスの終値をベースにすると、理論株価は461円となる。理論株価にサヤ寄せする動きが強まっているようだ。同社は1月30日付で上場廃止となる予定。

<3997> トレードワークス 1012 +150
ストップ高。乃木坂46など著名アーティスト運営会社を傘下に持ち、秋元康氏も特別顧問を務める「KeyHolder」、並びにファンダムの組成・運営を手掛け、実践的な運営のノウハウを有する「BEAMING」と、新たなファンド組成に向けた「ファンダム」企画の検証に向け業務提携契約を締結と発表。同社ではファンダムシステムの開発及び保守運用などを担い、業績インパクトが期待される展開に。

<2884> ヨシムラフード 1022 -50
大幅続落。8月29日以来の株価4ケタ割れに。ロシア検疫当局が16日に日本産水産物の輸入を一時制限すると発表しており、引き続き売り材料とされる形に。予防措置として中国の一時制限措置に参加するとし、足並みをそろえる格好になっている。ロシアによる日本産水産物の輸入量は限定的であるものの、ホタテ加工会社をM&Aしたばかりのタイミングであり、警戒感は強まりやすくなっているようだ。

<8798> アドバンクリエ 934 -86
大幅反落。前日に23年9月期の業績下方修正を発表。営業損益は従来予想の3.1億円の赤字から11億円の赤字に。22年9月期は20.6億円の黒字であった。円安による外貨建保険の解約・失効の増加、株高などを背景とした貯蓄性保険の解約・失効の増加などによって、解約率が想定を上回って推移しているもよう。第3四半期決算時には29.5億円の黒字から3.1億円の赤字に下方修正したが、再度の下方修正となる形に。

<6071> IBJ 640 +31
大幅続伸。発行済み株式数の2.04%に当たる80万株、5億円を上限とする自己株式の取得実施を発表。取得期間は10月18日から24年2月8日まで。資本効率の向上及び経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の実施並びに株主への一層の利益還元を目的としている。9月1日からは24年2月8日までを期限とした自社株買いを実施したが、10月17日までに上限株数を取得、今回はそれに続いての取得実施となる。

<9009> 京成 5500 +396
大幅続伸。1.6%の株式を所有する英投資ファンドのパリサー・キャピタルが、同社保有のOLC株一部売却を求めていることが分かったと報じられている。OLCと本業との相乗効果が薄く、資産価値が事業投資などに生かされていないと指摘しているもよう。11月1日に社長と会合する予定であるようだ。保有株売却に伴う株主還元の拡充などを期待する動きが先行とみられる。また、含み資産への関心もあらためて高まる形に。

<7552> ハピネット 2463 +204
大幅反発。前日に上半期業績予想の上方修正を発表した。営業利益は従来予想の31億円から47億円に引き上げた。トレーディングカードが依然好調に推移しているほか、ビデオゲーム事業でのヒット商品出現、カプセル玩具市場の拡大などが主な要因となっている。第1四半期の状況から上振れ期待は高かったとみられるが、一転しての大幅増益見通しをポジティブ視する動きが先行。なお、通期予想は据え置いた。

<6914> オプテクスG 1635 +107
大幅続伸。SMBC日興証券では投資判断「1」、目標株価2800円でカバレッジを開始している。今後の成長にはFA市場でのプレゼンス向上が重要とみられる中、FA業界出身の新社長就任、レーザ変位センサのシェア拡大、マシンビジョンソリューションを提供するポテンシャルなどに注目しているようだ。27年12月期までの年平均成長率は売上高が7%、営業利益が14%と予想している。

<4392> FIG 355 +29
大幅続伸。岸田総理が臨時国会の所信表明演説で、一般のドライバーが自家用車を使って有料で人を運ぶ「ライドシェア」の導入に向け検討する考えを打ち出す方向と報じられている。地域交通の担い手不足などの社会問題に対応する観点のもよう。同社は子会社のモバイルクリエイトが、タクシーメーターや車両の位置情報をもとに効率的に配車を行うタクシー配車システム「新視令」などを提供しており、商機拡大への思惑が先行へ。

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