ニート夫妻

七夕といえば、織姫と彦星です。この二人恋人同士だと思っている人がいるようですが、夫婦です。
どうも話をよく知らない人がいるみたいなので、独自の解釈を加えつつ、このろくでもない二人の話を紹介したいと思います。

1、織姫と彦星の結婚
はるか昔、天帝には織姫という娘がいました。織姫は凄腕の機織り職人で、彼女の織った布はたいそう評判がよいものでした。
きっと相当高値で取引されていたに違いありません。
そのためかどうかは知りませんが、織姫は働き者で毎日毎日働いていました。

天帝は、そんな娘をみてこう思いました。
「かわいい娘じゃ・・・いつまでも朕のそばにいてほしいが、天帝の娘がいき遅れというのも世間体が悪いのう・・・・」

天帝は、織姫の婿を探すことにしました。
そこで目を付けたのが牛飼いの牽牛(以降:彦星)というイケメンの青年です。

「イケメン死すべし慈悲はない」

天帝は少しそう考えました。
しかし、彦星はとても働き者です。ご近所でも評判の好青年です。

「リア充爆発しろ!」

と天帝は少しそう思いましたが、こやつなら織姫のことを幸せにしてくれるかもしれないと思い、二人を引き合わせます。
二人もお互いのことを気に入り、めでたく夫婦となりました。

2、織姫と彦星の新婚生活
二人の結婚式からもうどれほどの年月が流れたでしょうか。

「天帝様、そろそろ何とかならないでしょうかねぇ・・・」

困った顔で天帝に上奏するのは、天帝の側近の一人でした。
今までいろんな部下・領民からの陳情がありましたが、ついに側近からも苦情を受けてしまったのです。
苦情というのは他でもありません。織姫と彦星のことです。
この二人、結婚してからというもの、昼間から酒場に入りびたり、所構わずイチャイチャしまくるのです。
いったい、何人の独身男女が血の涙を流したことでしょうか。夜は夜で、陽気に騒ぎながらイチャイチャ、お家に帰ればイチャイチャ。

「イチャイチャするならそういうとこいけよ・・・・」

夜の普通の居酒屋さんのお客さんたちはそうつぶやきました。

「毎日毎日、時間考えてくれよ…眠れないぜ…」

お隣さんの目のくまは日を追うごとに濃くなっていきました。

そして・・・織姫の機織りには蜘蛛の巣が張り、彦星の牧場に牛がいなくなった頃、
耐えかねた天帝はついに二人を呼び出しました。

「お前たち、そろそろ仕事再開したらどうだ?働かずに食う飯はうまいか?」

「「明日になったら本気出します!!ごはんおいしいです!!」」

天帝は今年何度目かわからない深い深いため息をつくのでした。

3.天帝、ついに切れる
「お前たち、そろそろ仕事再開したらどうだ?働かずに食う飯はうまいか?」

「「明日になったら本気出します!!ごはんおいしいです!!」」

もう何度繰り返されたやり取りでしょうか。
さすがに天帝がブチ切れました。
それはそうです。自分は天帝という激務をいまだバリバリ現役でこなしているのに、その娘と婿がこともあろうにニートになってしまったのです。
世間体的には最悪です。しかもあっちでイチャイチャこっちでイチャイチャ。宮殿内の士気はダダ下がり、領民のモラルは低下するばかり。
しかも最近では二人のツケの請求が宮殿に届くようになっていました。

「イチャイチャが忙しくて仕事をせぬのであれば、しばらく別居せい!これは天命である!」

天帝の逆鱗に触れた二人は天の川を挟んで別居させられてしまったのです。
しかし、仮にも夫婦なのだから、年に一度だけ、会うことを許しました。
7/7だけはかささぎが群れをなして橋を作り、二人が会うことができるように取り計らったのです。

4.七夕伝説その後(現在のニート夫妻)
ここからは私の考察になります。
ニートとなり、親のすねをかじりまくっていたことで親父である天帝の怒りを買ってしまった二人ですが、天帝はまだ二人のことを許してはいないのでしょうか。
私は、とっくに許していると思います。なぜかって?みなさん、最近夜空を見上げたこと、ありますか?
明日は七夕ですし、晴れていたら是非夜空を見上げてみてください。そして・・・天の川を探してみてください。
天の川が見えないことに気が付くと思います。二人の最大の障害であった天の川がもうない。つまり、これは天帝が二人を許しているということにほかなりません。
お仕置きのために川を作ったり川を消したり、天帝もなかなか粋なことをしますよね!
では、これで二人はまた楽しい夫婦の生活に戻れたのでしょうか?答えは残念ながらNOです。
だって、考えてもみてください。そんなハッピーエンドなら、そういう話が伝わってきてもいいじゃないですか。絶対どこかがそういう話で出版しますよ!
しかし、そのような話は聞いたことも見たこともありません。
つまり、天の川がなくなっても二人は一緒に生活はしていないだろうという予測が成り立つのです。
えっ?そういう話だって伝わってこないじゃないかって?そんなもん、天帝様が情報封鎖してるからに決まってるじゃないですか!もともと中国の伝説ですよ!?情報封鎖なんてお手の物ですよ!
まあ、どんな情報封鎖かは命が惜しいのでいえませんけど、まあ、もうお互いに興味がないんでしょうねえ…たぶん。
天帝の怒りがさめるのが遅かったのか何なのか、まあ、そこらへんは言及しませんけどねぇ…。

5、まとめ
よい子のみんなは、間違ってもこの夫婦に憧れてはいけませんw

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