見出し画像

「権利には義務が伴う」という言葉の出所を探した

 「権利には義務が伴う」という言葉はよく目にするが、その本当の意味と出典を知らなかったので調べてみた。
 

 1966年の第21回国連総会において採択され、1976年に発効した「国際人権規約」の中に類似する文言があり、恐らくここから引用された言葉なのではないかと思う。

第十九条

1 すべての者は、干渉されることなく意見を持つ権利を有する。

2 すべての者は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。

3 2の権利の行使には、特別の義務及び責任を伴う。したがって、この権利の行使については、一定の制限を課すことができる。ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために必要とされるものに限る。

(a) 他の者の権利又は信用の尊重
(b) 国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護

市民的及び政治的権利に関する国際規約

 この言葉が指す「権利」とは、「表現の自由」という基本的人権を構成する特定の一要素についてを指すものだとわかった。
 次いで、「義務」とは何かも続く文章から明らかになる。
 「他の者の権利又は信用の尊重」または「国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護」こそがその義務であり、「表現の自由に関するある一人の権利を保障するという義務を、他全員も相互に負う事になる」というある意味自明の答えが記されている。

 一般的に誤用されるような「対価を収めなければ権利を得られない」という意味は原文には存在しないのだ。


 曖昧な意味で覚えていた言葉も、調べてみれば厳格な定義が添えられていたりするもので、日々調べ事をするのは面白いものですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?