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土俵をさがす6月の旅(後編)

7月になっちゃったが、6月にした旅について書いている。前編はこちら。

6月11日:ZEROTEN2022 TOKYO

ギャラリー龍屋さんの存在とアートコンペを識ったのが、ちょうど1年くらい前の、愛知のギャラリーでのZEROTENだった。おすもうまわりでtwitterで拝見していた作家さんが出展していた。その数ヶ月後、突然わたくしも愛知でおこなわれた「オトナノタツコン」に出展した。けっこう「清水の舞台から飛び降りた」感じだった。
#今年も出します 。格闘しております。ことしは秋場所と1日違い、9月10日初日、24日千秋楽、No.6です(去年よりかなり番号若くなった)。

以来、ギャラリー龍屋さん主催のアートコンペに関しては、Webサイトで作品を拝見しては、いっしょうけんめい投票する作家さんを絞り込み、遠隔投票にてお邪魔している。ことしの愛知でのZEROTENも同じような作法でいたのだが、日々のツイートなどを拝見していて、是非生で見てみたいと思い立った。生でしか見られない初日だとなおよしと思った。だもので、今回は、思い切って飛ぶことにしたのだった。

東京のギャラリーに伺うのは初めてだったのだが、案内の外観だとか、アクセスだとか、妙に既視感があった。実際に現地に伺って気がついたのだが、このビル、わたしのかつての勤め先の、隣のビルだった!ビルの正面にでかでかと現住所が表示されているのでなんとなく見たことがあるような気がしていたが、その通りだった。何やら、3年くらい前に大がかりな改装をしたらしい。
どきどきしながら階段を上ってギャラリーへ。90名の作家が手がけた2点ずつのF0サイズ(180*140mm)を一気に拝見。その姿は壮観だった。

入り口のサイドはガラス張り、ほか3辺にはみしゅーっと作品が並ぶ。

エントリーナンバー1番から順番に作品を拝見していった。ボードに挟んだ投票用紙をいただいて、メモをしながら何周かした。ひと目見て圧倒された番号をまず書き留めて、それから一周で10人くらいメモして、そこから絞り込んだ。投票用紙は最終的に4名の作家に渡るように切り取り線が書かれたA4の紙なのだが、投票する欄の上に、おなまえの欄といくつかのアンケートがある。いつも「次回どうしたいか」という質問があるので、勢いよく「出展者として参加したい」に○をつけている。
出展資格としての年齢という項目が自然な属性として減ることがない限り、いつまでも「出展者として参加」することはかなわない、のではあるのだ。

からの。


今回は、参加する気分を味わいたく、同じタイミングで描き始めたF0サイズの絵がある(1枚は出かける直前に半年かけて完成し、今月盛岡で展示される。もう1枚は途上である)。オトナノタツコンには出られるので申し込み開始を心待ちにし、開始と同時にエントリーしたら、えらく若いエントリーナンバーになってしまったのだが、ことしで終わるのだそうだ。
まさか自分が絵を描いてひとに見せたりすることになろうとするとは思いもよらなかった。自分自身もそうだけど、たぶんわたしを識るひとは概ね驚いているだろう。描き始めたきっかけは、もうそのとき締め切っていた「相撲絵師展」だったのだけど、現在は、どこでどう表現していこうか、どんなところにどんな土俵があるのか、ということを、まだまだ模索する日々である。模索もそうだが、そもそも、飾られたり、迎えられたり、調和したり、ということを求めて描いていないようでもあり、じゃあ見えるところでなにを表現したいのよというのは深い課題だ。おすもうを描くというのは、どうしてもおすもうという様式の中でのことであるし、それは「オリジナル」ではないのだろうし、という点も引っかかりつつの日々ではある。なによりもまだまだ技量が要る。1年前オノレを序ノ口と申したが、そろそろ雪駄は履けるようになったのだろうか(まだだろうな)。
煩悩は尽きないので一気に書いた。というか、一気に書きたくなるような、ほとばしるような気持ちが、たくさんの素敵な作品を前にして噴き出た。噴き出たということをよく憶えておこうと思った。

お昼頃にギャラリーをあとにして、階下のハンバーガーショップではなくて、ちょうどかつての職場を辞めた(んだったかその職場がビルを出たんだったか失念した)頃に出来たお店で久しぶりに刀削麺をいただいた。近くの酒屋さんの前でうっかり佇んだら、迷子になったのかと心配された。

いつかこのギャラリーでというか、東京でまたおすもうの絵を出展して、その先を何らかの形で拓ければいいと思っているのだが、その方向性は、まだまだおぼろげである。それ自体をすごく背伸びともいうのだろうなとは思っている。

F0というサイズには個人的に思いがあって、なんとなく「せきとりになったらそれよりも大きいサイズで描きたい」などと縛りにもしていたなあ、というようなことを、自室の壁ギャラリー()を見たら思い出した。

2021年の前半。アクリル。

いくつか行きたいところと時計と路線図とにらめっこしながら帰りの飛行機までの時間を過ごした。結局西荻には足を伸ばせずじまいだった。

銀座の奥野ビル。美少女に逢いにも行った

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