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バットマン&ロビン感想

もったいないからノートにのせようかなと思った三幕構成解析と雑感第二弾。間違ってるかもしれないから話半分に聞いて下さい。
肯定的な感想ばかりではない。一昔前のウザいオタクの考察という名前の感想に似ているので嫌な予感がした方は読まない方がいい。
あと感想大会用のまとめテキストが消えてしまったのでマトモな感想は言えない。


キャラごと感想

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☆ディック・グレイソン
当初から「バットマンやりたくねー」って言ってるのがピット使う伏線になってるのは見事。​
見事だけどその伏線の使い方だと完全にエゴで呼び戻してるけどいいの?​「ティム・ドレイクをロビンにしてもいいんだぞ」(24P)とか、ラーズ・アル・グールの復活でティムに偉そうに説教ぶっこいといてピットでブルース蘇らそうとして大失敗したりとか、人として芯がブレている(絶望先生)箇所が目立つ。​お前ティムのことなんだと思ってんの?​
「単なる"大事な人"じゃない」(P227)とか、ラーズ・アル・グールの復活(アルフィが話題だしたので同じ世界線として扱って良いというライターの許可が出たと判断して話題に出す)完全に「命の選別」をしちゃってるけどお前それでいいんか?​
何年も何人も救ったヒーローなので復活させてもいいとか、それ言ったらコナー・ケントだってヒーローだしクリプトン系のメタヒューマンだし、バートだってスピードスターだしヒーローだし復活させてもいいじゃん。理論がガタガタなんだよ。疲れてるなら寝たら?​
良くも悪くも「バットマン」み優先でバットマンを演じてる割合が多いのでディック・グレイソンというより「バットマン」に近い。​正論を振り飾りながらその実その正論がガタガタでエゴが垣間見えてる部分もバットマンに近い。​
親子でそっくりだね?​
ただ、後半ゴードンとの会話、「昔のバットマンは私のことをジムと読んだよ」「自分はゴードン本部長と呼びますよ」(P317)みたいな、「自分なりのバットマン」をだんだん手に入れていって、それに胸を張れるようになっていく様は好き。​

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☆ダミアン・ウェイン(犬と同じ構図で襲いかかる十歳児​)
まだ実力不足だけど自信過剰、だけど反省する心は持っている。けどまたすぐ調子に乗ってトラブルを引き起こしたり足を引っ張ったりするという、ツイッターでよく見る「イマジナリー足手まとい系ヒロイン」の立ち位置。​もしくは「コケそうなリアルロボットアニメの主人公」みがすごい。​ロビンだから仕方がないのか。バットマンすげーをするためにピンチに陥らなければならないのか。​母親に体乗っ取られたり自分のクローン見せられるのエグすぎワロ​。
でもこのままだと絶対読者の反感買うから、「ジョーカーに尋問しようと思ってバールもってきたら逆に毒を盛られる」とか「犯人ひとりで追いかけて結果一般人の救出をミスする」とか、そのエキセントリックな足の引っ張り方はあらためたほうがいい。​
でも「母親に体を乗っ取られてバットマンを攻撃する」はなかなかエグくてダミアンの責任ではないので反感はかわない、良い足の引っ張り方だと思う。​一般人救出ミスるのも反省しているのでそこまでではない。​


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☆アルフレッド(このポージング、ママみがあると思ったらピエタの聖母と首の角度一緒じゃない?(大発見)​)
良い狂言回し、良いサブキャラ、良いヒロイン。​もっとディックのエゴについて詰りなさいよ。バットカウルに逆らえない呪いでもかかってんの?​
一貫して一歩引いた立ち位置で、痒いところをピンポイントでサポートしてくる感じの、よくいるアルフレッドって感じ。​

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☆ピッグ教授
この基地外感ヤベェな。こいつのセリフどうやって考えてんの?​
ここまで基地外だと思考が一貫してなかろうが矛盾してようがイカれてるからな、で済むのになんとなく一貫性があるような雰囲気がマジで怖い。どうやって考えてんの?​
ダミアンの「イカれすぎて話にならねぇ」(P63)に完全同意するしかない。​
どこのだれをどう取材したりどこにどう資料を請求すればこのイカれ野郎を書けるのか教えてくれ。​

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☆ジェイソン・トッド(ここ、ポケモンのワタルそっくりじゃん……​)
俺の推しの「また復活してやらぁ!」がとてもカッコイイんだけど、どうにも主張がブレてんだよな……​
「"バットマン"のやり方では街は守れない」のか「"今のバットマン"では街を守れない」のかどっちなのよ。その場その場で相手に効果的な挑発を選んでいるのか、自分が新しいヒーローになるのは建前で、今ディックがバットマンをやっていることが気に入らないのか、ブルース(バットマン)にもディック(先代ロビン)にもコンプレックス拗らせて両方本音なのか謎。自分の本心整理して出直してらっしゃいな。そんな根っこがグラグラした人に殺されたんじゃ悪人もいい迷惑よ。あんた人殺す決心するんならもっと深く考えなさいよ。万が一「"今のバットマン"では街を守れない」と思ってるなら、アンタは根っこのところではバットマンの不殺が正しいと思ってんのよ? そんな状態で、本当は間違ってると思っている"極刑"を執行するの? 命なんだと思ってんの? 悪人であろうとあんたのコンプレックスをぶつけるサンドバッグになる義務はないのよ?​
お前は結局、何に一番「復讐」したかったのさ。​
あとお前は油断しすぎだ。スカちゃんの話をちゃんと聞け。​
スカーレットちゃんのマスクを「とらなくていい」(P95)と断じるところは彼なりの気づかいを感じたので好き。​

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☆スカーレットちゃん
「犯罪への復讐」っていう明確な目的意識があるし、一番キャラがブレてない感じがして好き。かわいい。勘が良い。本当につい最近まで普通の女の子だったの?​
ところでこの子はどれだけの訓練期間を経てサイドキックになったのか謎。ジェイソンよりもっと訓練期間短いんじゃないの大丈夫?????​
ジェイソンお前自分みたいなの量産してどうすんだよ。でも意地でも守ってたのは評価するよ。​
あとつい最近まで一般人(犯罪との距離はとても近い)だったのにフラミンゴに対してあのガッツを見せるスカちゃんは可愛い。​
父親を殺した心理がなんとなく共感できるような気がしてしまうモノローグが秀逸。父親のせいで人生狂ったもんなぁ……でもパパのことは好きやったんやなぁ……​
そうだゴッサムから逃げろ……と思ってたらこの後ジェイソンと行動を共にすることになってたしその時はとても懐いてたのかわいい。スカちゃんは可愛い。​

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☆ケイトりん
バットウーマン誌でここに合流するまでの流れあったりした??​
めっちゃくちゃ唐突だったやないか……​
ほぼほぼ舞台装置のような役割でキャラというほど掘り下げられてはいないけど、その分まったくブレてないのでスカちゃん同様格好良くて好感が持てる。​生き返るためにモルヒネの過剰摂取で自殺するとこなんかガッツがすごい。さすが軍人って感じ。笑顔も素敵。可愛い。100点。​

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☆タリア(目尻がシワかまつげか気になる​)
ほぼほぼ舞台装置であると同時に次への伏線って感じ。​
「不埒な価値観」(P291)についてちゃんと説明してくださらないけど、たぶんあれはディックにたいして「なに言っても無駄だなコイツ」と思ってる反応なのかな。​
ラーズ・アル・グールの復活からどんどこ人物像が離れていく……ラーズの伝記をダミアンに読み聞かせていた設定がどこかに消えてしまった……あの頃は息子のためにリーグに刃向かう気概のあるママだったのに……​
現時点では、ラーズが死んでしまってリーグの存続を背負った重圧により早急に相応しい跡取りを見繕わなければならないけど期待をかけたひとり息子が正反対の道を選んでしまった可哀想なママって感じ?
息子の体乗っ取って精神焼き切りそうになったり、そのわりにヒーローになる道を選んだ息子をサーカス坊やと一緒に返したり、我らの常識ではかれぬ価値観と絆をお持ちのレディだな。​

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☆セクストン(どうやって息してんの?​)
バナナとジョークの伏線が秀逸。ジョークに詳しくないからジョークの伏線わかんなかった。かなしみ。​
「バットマンがいない時ジョーカーがヒーローになるジョーク」っつってトーマス・ウェイン埋葬したのもなかなか良いジョークだと思う。こいつ自体が良い伏線として光り輝いてたね。良いジョーカーだと思う。​

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☆ドクター・ハート
ビックリするほど真っ当な変態​

三幕構成的感想

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三幕構成の予想はこんな感じ。ページ数基準だから間違ってるかもしれないけどこんな感じかなって。でも今思ったけどピンチのところに当てはめたのはサブプロットでは……?

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とりあえずこの前提でいくと、物語のターニングポイントは常にサイドキックにスポットライトが当たっている。
ディックは今バットマンだしダミアンというサイドキックを擁するヒーローなんだけど、ミッドポイントはディックがブルースを救う為にひとりで行動しているので、この時は「元祖バットマンのサイドキック」という立ち位置なんだと思う。

細部感想

☆親に恵まれないサイドキックたち
スカーレット、ダミアン、ジェイソンは三人とも非常に犯罪に近しい環境で育っており、三人ともサイドキックになる道を選んでいる。​
ジェイソンがダミアンに「お前も死ぬかもしれんぞ」(P110)と忠告するのは今後の伏線として非常に興味深いと同時に、彼らの中で一度も死んでないのはスカーレットだけということになる。​
スカーレットと他二人の違いと言えば性別だけど、それ以上に、彼女は他ふたりよりも強い意思(殺意)を持って自分の犯罪に近しい親と決別している。​
ダミアンは「立派な敵になってみせるよ」(P295)と言って敵対すること、母の意見に逆らうことで決別の意志(敵意)を見せたけれども、ジェイソンにいたっては死の間際、自分をジョーカーに差し出した母親を庇っているので、自発的な決別はしていない。
しっかりと決別するほど、悲惨な運命から逃れているように思う。​
そして、スカーレットは「ゴッサム」そのもの、「血に染まった夜」(パパ、ジェイソン、フラミンゴ、バットマン、ロビン/P151)から逃げ出すことによって、犯罪被害者という刻印(顔のマスク)からも逃れ得たことが示唆されている。​パパの次に、自分をサイドキックにしたジェイソンがくるのは非常に印象的。子供が逃げなければいけない者の筆頭は常に保護者の皮を被っている。​

☆バットマンのクローンについて
人のエゴによって生まれエゴによって狂わされエゴによって死んだ哀れな命を貴様のエゴによって蘇らせたあげく、彼が望んでもいない在り方を詰りながら、望んでもいない狂気に苛まれつつ肉を腐らせていく命を拒絶し、傷つけることに良心の呵責はねぇのか?
自分のものではない人生を詰め込まれ、、そこから派生した狂気に苛まれながらも、その記憶しか縋るもののない命が、腐敗する肉体を引きずって助けを求めているのに、お前らは寄り添おうとも思わないのか。死体のままでいられたら、なにも感じずに済んだのに。拒絶も狂気も腐敗も痛みも、自らが望んでいない生によって押しつけられたなんの罪も無い命をお前らはなんの感慨もなく、エゴで生き返らせてエゴで殺すのか。​
そいつにはなんの罪も無いのに、ただ他人のエゴを押しつけられて生まれ、生きる前に殺された無垢な命なのに、その無垢な命をお前らがもう一度蹂躙したにもかかわらず、そいつだけに痛みも狂気も押しつけるのか。せめて一瞬だけでも救ってやろうとか思わねぇのか。​

☆ジョーカーについて
基本、メインキャラクターはサイドキックかサイドキック経験者だから、そのような経歴のないヒーロー(セクストン)はニセモノなのかなるほど……​
ジョーカーが関係する伏線がめちゃくちゃ光り輝いてて、特にバナナのオチがめちゃくちゃお気に入りなので家宝にしたい(?)​
あの「バナナはすべての基本」からの滑りオチ、タイミングもこみで完璧だったな。全ての黒幕といって過言ではないドクター・ハートがめちゃくちゃ下らないトラップに引っかかって退場するっていう「ジョーク」も、それをジョーカーがバットマンの代わりに行うっていう「ジョーク」も大変好みだった。ジョーカーとピッグはこの作品内で一番生き生きしていた気がする。
バナナの皮で滑って転んだ奴を生き埋めにする、面白いのに怖くて非常にジョーカーだなぁ。いいなぁ。こういうジョーカー好きだなぁ。​

☆ゴードン本部長
「何もいうな! 着替えを持ってこい!」(P403)のコマめちゃくちゃすこで、今までの、本部長がウイルスに感染してしまって、敵の言いなりになってしまってからの、バットマンを攻撃してしまったり、人形にされてしまう寸前に救出されたり、とにかく第三幕以降の非常に危険な綱渡りを経て、ここにきてスカートはいて敬礼されてる緊張と緩和のバランスがめちゃくちゃいい。面白い。​
このスカート姿も、実は「もうちょっとで人形にされるところでした」っていう危機感を内包してるのがまたミスマッチでめちゃくちゃ面白いんだよな。このコマ本当最高。前後が非常に緊張感のある中で、このコマだけコメディ的意味合いを含んでるのがまた緊張と緩和のバランスとしてとてもいい。すき。​


英語の成績2なりに、アメコミのジェイソン・トッドとジョン・レーン・ケント関係のコミックの感想中心に書きます。よければよろしくお願いします。