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UTRH感想

例によって三幕構成解析やりまして、もったいないからノートにのせようかなと思った次第です。間違ってるかもしれないから話半分に聞いて下さい。

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レッドフードがブラックマスクに接触を図ったり、バットマンとナイトウイングと戦ったりと本格的に活動を始めるP78がPPかなと思ったんだけど、感想大会では第三幕の流れを作るP102かMr.フリーズとの戦いがPPではというご指摘があって、UTRHは物語のターニングポイントのたび1ページまるまる使った一枚絵の演出があるから、P102がPP説が有効ではと思う。
ピンチⅠはP127、オニクスとレッドフードが会うシーンかな。そこから少し軽いテンポでオニクスとレッドフードが共闘するので、レッドフードがオニクスを攻撃するまでの流れがピンチⅠに該当するのかな、と思う。ここのシーンは軽いテンポだけれど、レッドフードがなにをどんな風に考え、どんな風に行動するのかを理解する上で重要なシーンやセリフがたくさんあるので。
MPはページ数的にも、物語の転換期としてもP167の「さあ、俺は誰だ?」だと思われる。
ピンチⅡがめちゃくちゃ自信ないんだけど、軽いテンポで、ジェイソンがどういう行動をとるつもりなのかを説明するのがブラックマスクのビルにロケランブチ込むところだと思うので、ここかなぁ……。
PPⅡは最初、P270の偽RHを刺したブラックマスクが「確かに犠牲が必要だ」っていう場面かと思ったんだけど、物語の性質が変わるのはP277のジェイソンがジョーカーにナイフを突きつけながら喋ってるシーンなので、こっちかな、と思う。

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第一幕のオープニングイメージは「レッドフードは何者か? レッドフードとバットマンの戦い」っていう感じなんだけど、第一幕全体は、暗躍するレッドフードと、フリーズを仲間にするブラックマスク、密輸入を阻止するバットマンとナイトウイング、なので、いつも通りのゴッサムの日常、ひいては、「新たな敵や敵の新しい動きがある中で、バットマンは街を守れるか?」というのが主題だと思う。
第二幕前半、MPまでの間はピンチにオニクスとレッドフードの話が挟んであったように、「レッドフードはどんな男か?」というのがテーマのように思う。
それからMPを経て、レッドフードがどんな男で、身元がなんなのかも解った後は、レッドフードことジェイソン・トッドがゴッサムに対して行う具体的な作戦や行動を提示する第二幕後半。ピンチⅡでブラックマスクのビルにロケランブチ込んでいたことから、破壊を伴う再生を目論んでいる、というのが第二幕後半のサブテーマかな。
その後PPⅡを経て、第三幕は「勝ったのはジョーカー」(レッドフードの戦い方は間違っていた)っていう結末に向けて展開していく。
ここでジョーカーだけが勝つのは、レッドフードがP263でブラックマスクに指摘されていたように、敵を嫌悪しながら同じ行為をしていた事、バットマンも「人を殺さない」という制約を立てていながら、「ウォーゲーム」計画は仲間が殺人を犯さなければならない計画であった事から、芯がブレずに行動できているのはジョーカーだけだったからかな、と思う。

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メインプロットは一貫して「バットマンは街を守れるか?」(=街を手に入れるのは誰だ?)で統一されてるのがバットマンシリーズ(ひいてはデテコミ)だと最近ようやく気がついた。そしてそれをわざわざオープニングイメージにまで反映して、テーマ全体を「街の支配権」で統括した梟の法廷シリーズが今もなお「DCコミック入門書」として大活躍している理由かな、と思った。NEW52の始まりとして本当に初心に戻ってたんだ……。
サブプロットは、オープニングイメージにもあるように「レッドフードは誰だ?」なんだけど、MPを経て正体が分かってからは、「レッドフードの目的はなんだ?」に変わっているように思う。

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最終的に第三幕はジョーカーのひとり勝ちみたいな印象なんだけれども、じゃあなにに対してジョーカーが勝ったのかを考えると、ゴッサムちゃんを巡る戦いには一貫して関われなかったので、サブプロットの「ジェイソンの目的」に関してジョーカーが勝ったということで、ジェイソンのアプローチはどう転んでもジョーカーがひとり勝ちになる方法でしかなかったということだ。
街は守り抜いたが、ジョーカーのいいように弄ばれてしまった、というのがUTRHの結果といったところか。
これはジョーカーが今回、「ゴッサム」を手に入れようとしてないからできたことで、ゴッサムを手に入れようとする限りバットマンには勝てないんだけど、目標を別のところに据えた瞬間簡単に勝てたりする。
手段のために目的を選ばない奴って強いよね。

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P232 レッドフード傘下に入ってルールを守ってたであろう麻薬の売人をさりげなく守ってるところ好き。約束は守るという気概を感じる。この後、こいつが約束を破ったら簡単に殺すんだろうけど、そこも含めて好き。
あと、P305からのジェイソンのセリフもとても好き。

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メインストーリーが「バットマンは街を守れるか?」(=ゴッサムの街を手に入れるのは誰だ?)になってしまうので、梟の法廷シリーズ同様垣間見える「ゴッサムちゃんを巡る四つどもえ構造」
そして異彩を放つブラックマスクのヤンデレ感。リバース期に(嘘でも)ジェイソンに対して「街を守りたい」と言ったのとは違って独占欲とヤンデレ感マシマシでお送りしている……。
リバース期はバットマンと一応の和解をした「モリソン期融合バージョン」だったから、表向きUTRHのバットマン同様、「レッドフードと目的を同じくする敵」という配置にブラックマスクを持って来たのかしら。
結局それが嘘だったのがリバース期のブラックマスクなんだけれども。
これ多分、他のバットマンシリーズではどんな敵キャラがどんなヤンデレ感でもってゴッサムちゃんを見ているかを乙女ゲー風に言語化していけるんじゃないのか……?
ホワイトナイトのネオジョーカーなんかすごいぞ。「あの人の心を手に入れるため、まずはあの人が愛する貴方を手に入れるの!」だからな。新手の百合かよ。
そしてバットマンもゴッサムもハーレイも愛するジョーカー、愛が多すぎでは?
今日からお前諸星あたるな。

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番外編。作中ほとんど出てこなかったのに突如第三幕で勝利宣言をした男、ジョーカー。
サブプロットの一番重要なギミックであり文字通りジョーカーみたいな立ち回りをした男だけど、ゴッサムちゃんとの関係はどうなのか考えてみた。
結果、新手のヤンデレ系。
ゴッサムちゃんとゴッサムちゃんを守るバットマンを愉快犯的におちょくって引っかき回す破滅型ヤンデレ。しかしゴッサムちゃんは誰のものにもならないことを宿命付けられた美女なので、ジョーカーくらい興味のないスタンスが実はゴッサムちゃんに一番近い距離なのでは? と思わなくもない。

英語の成績2なりに、アメコミのジェイソン・トッドとジョン・レーン・ケント関係のコミックの感想中心に書きます。よければよろしくお願いします。