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superboy(2011-2014) Issue#19感想

解読したので感想など書きます。
こちらの話はsuperboy(2011-2014)vol.3:lostにも収録されております。
当然ながらネタバレあります。ご注意ください。

日本のアニメで総集編ってあるじゃないですか。話の折り返し地点とかで今までの話を振り返りつつ新規カットを最小限に抑えるというアレです。今回そんな話。新規カットを最小限に抑えるわけではないけれども。
ティーンタイタンズの敵で、コン=エルを作ったハーヴェストおじさんの過去語りという形でいままでのお話を振り返り、ついでにコンが誰のクローンなのかを語ります。ハーヴェストは未来の世界の軍人さんです。三十世紀の人なんです。

なかなかのイケメンさんです。このおじさんがなぜ敵なのかというのはおじさんの自己紹介とその時のセリフを見て頂ければすぐにわかります。
my name is harvest.
私の名はハーヴェスト。
I created the clone known as superboy--
私はスーパーボーイとして周知されているクローンの作成者だ。
-- a living weapon forged by the burning hatred within my heart.
私の胸にうずまく憎悪によって作られた生きた兵器
I can't tell you his story...
彼の話を聞かせることはできない…
...without sharing my own.
…私のことをなくしては。
(˘ω˘#)命を平然と"兵器"と断ずるこの男。生まれたばかりの子供を平然と"兵器"として扱うこの男、この自己紹介の時点でもう立派なヴィランなんですが、まあさらに会話が続くわけです。
colonel, please! you have the authority to let me go.
男「大佐、頼む!逃がしてくれ!」
let me live, and my people will spare you and your family.
男「殺さないでくれ、そうすれば、アンタにもアンタの家族にも手を出したりはしない」
you don't have a "people", meta.
H「お前に人権はない。メタヒューマンめ。」
you're nothing more than genetic aberrations-- a cancer trying to consume the innocent host body knowns as the human race.
H「お前の遺伝子は異常以外の何物でもない。純粋な人類を食いつぶそうとする癌だ。」
don't embarrass either one of us by asking for mercy.
H「慈悲を求めて我々の邪魔をするな」
I need you to know I took no joy in the death of my enemies.
私は敵を殺して喜んでいたわけではないということは知っておいて貰いたい。
I believed then-- as I do now-- that every life is sacred.
私はあらゆる命は神聖なものであると、信じていた。
but the metas had grown tired of a thousand years of saving their fellow denizens of earth.
だが、メタヒューマンたちは千年間で、地球の仲間を救うことに疲れてしまったようだ。
they sought to rule those who gave up their freedom...
彼らは自由を断念した人々を支配しようとした……

おじさんのいた世界線では、メタヒューマンのみんなが、力を人類のために使うことに疲れ、普通の人間の好きなようにさせていたら地球も自分たちも人類自身も食いつぶされるという結論に至り、人類を支配して平和を手に入れようとしたようです。デストピアって奴ですね。ハーヴェストおじさんはそんなメタヒューマンに反抗する人類軍のひとりというわけです。
戦争だから仕方がないのかもしれないけど思考回路がイイ感じの差別主義者であーとてもよくいる感じのヴィランー(˘ω˘)
なおこのおじさん、作中で
...and slay any who refused to bow before them.
(そして、敵との戦いを拒否した者を殺さねばならない)
と言っていることから、メタヒューマンの味方をした人間、メタヒューマンを殺すのに反対した人間も殺していた模様。よくいる感じのヴィラン。
そしてこのおじさん、この時点で妻子がおります。

h:["he was my reason to fight. no, he was my everything."]
(あの子のために戦っていた。いや、あの子は、私の全てだった。)
v:mom cried all night--I told her you were fine!
(お母さんは一晩泣いてたよ。だから僕、大丈夫だよって言ったんだ!)
h:you are very smart, venn.
(お前はとても賢いな、ベン)

お子さんの名前はベン。ですが闘いの最中でメタヒューマンに攫われ、二日後には変わり果てた姿で発見されます。悲しいけどこれ戦争なのよね。
おじさんはここでメタヒューマンを最後の一人まで殺し尽くすと誓います。
憎めば憎みかえされるのは当然の帰結なので本当、悲しいけどこれ戦争なのよねって感じ。ですが決意を新たにしたおじさんは、自分がいる三十世紀の世界ではメタヒューマン皆殺しは無理だと悟ります。メタヒューマンが世界各地に現れてからすでに数千年が立っていました。増えに増えているのでもう根絶やしにはできない。なら増える前の時代にいって根絶やしにすればいいじゃない――ということで、おじさんはタイムマシンを開発しているエコーという組織に特攻を仕掛けます。エコーズじゃないぞ!
おじさんが目を付けたのはスーパーマン。おじさん曰く最初のメタですが、宇宙人では……?
おじさんが欲しかったのはロイスとすぷすの子供。ジョンくんです。スーパーサンズのジョンくんではありません。スーパーサンズのジョンくんはジョナサン・サミュエル・ケント。こっちのジョンくんはジョナサン・レーン・ケント。違う人なのです。パラレルワールドと思ってください。
クリプトニアンと人間の息子である彼は、ふしぎな力を持っていました。
コン=エルと同じ力、触れたものを自在に操れる能力・タクティカル・テレキネシスです。
ですが彼は、4歳になる三週間前、突然病気で倒れてしまいます。
人間の遺伝子とクリプトニアンの遺伝子がお互いに拒否反応を示してジョンを内側から蝕みました。
サミュエルのほうのジョンくんも一時体が強靱だったり人間のように脆かったりと不安定な時がありましたが、ジョン・レーンの場合はその拒絶反応にスプスたちが対応できず、みんなが途方にくれてしまいました。
しかし未来の人間であるハーヴェストおじさんは、それが"一時的な休眠"であることを知っていました。違う遺伝子同士の拒絶反応を受けたジョン・レーンの体が、正常な状態に戻るため休眠状態に入っただけだったのです。
未来の技術で休眠状態に入っていたジョン・レーンの体は健康な状態になりました。そしてハーヴェストおじさんはジョン・レーンの父親になります。

h:["I would use the only son of superman...]
(私はスーパーマンの大切な息子を使って)
h:["...to prevent the rise of the metas which eventually took the life of venn, my only begotten.]"
(ベンの命を奪ったメタの横行を防ぐのだ。彼は、その為のひとり子となる。)
h:["before that was possible, I needed to train him.]
(野望を実現させるため、私は彼を訓練する必要があった)
h:["to forge him into a living weapon.]
(彼を生きた兵器とする為に)
h:["but I needed control of much more than his body...]
(しかし、コントロールが必要なのは彼の体だけではない)
h:["...I needed his heart."]
(彼の心が必要だった)
h:you never cease to impress me, jon.
(お前には感心させられてばかりだよ、ジョン)
jon:thank you, dad.
(ありがとう、パパ)
(˘ω˘#)(˘ω˘#)(˘ω˘#)
この○○にも○る○○○○○○○○が!!!!!!!!!
父親のフリをして子供の心を掌握し、まだ善悪の区別もつかない子供に歪んだ知識と意見を植え付けて兵器として利用する。兵器として利用している自覚があるのに、パパと呼ばせる。子供に親が必要であることを悪用する。完璧な悪党です。立派なモンです。さらなる胸くそ案件として

h:["if he was fueled by hate, his actions would have ultimately consumed him.]
(もし彼が憎しみを原動力にしていたのなら、彼は最終的に自分を犠牲にしただろう)
h:["he fought the metas out of a sense of responsibility.]
(彼は責任感からメタどもと戦った)
h:["as the most powerful among them--]
(最も強力なメタヒューマンとして)

という発言があります。
その責任感を植え付けたのは誰だ。
さも自然な流れで当然あるべくしてそうなったみたいな言い方をするんじゃない。ジョンが自分でそういう選択をしてその選択はとても誇らしいものだみたいな言い方をするんじゃない。○○○○○○○○め。
すべては彼の思惑通り進んでいましたが、突然異変が起こります。

ジョンがまた倒れてしまったのでした。急性細胞非適合症の再発です。
このころにはハーヴェストおじさんの中に、ジョンに対しての情が生まれていました。(と、本人は主張しています)

h:["over time, I came to respect him as a being of incredible power--]
(時を経て、私は驚異的な存在として彼を尊敬するようになった)
h:["--and to love him as much as the very son I had lost at the beginning of my crusade.]
(私の聖戦のきっかけになった息子と同じくらい、彼を愛している)

拉致して洗脳しておいてあつかましいにもほどがある。
本当に愛してるなら自分が今までジョンにしてきたことを少しでも悔いたらどうなの。兵器扱いして嘘をついて父親のフリをして洗脳したことを少しでも悔いたらどうなの。それもしないで愛してるとか臍で茶が沸くわ。この○○○○○○○○が。
本当に愛してるっていうならね、いいんですよ。でもね、違うんです。このおじさん。自分の息子の復讐をするために他人の息子をかっさらって嘘ついて洗脳して、まるで使える道具に愛着がわくかのように、壊れたら悲しむんです。壊れそう、使いやすかったのに。ずっと使ってたのに。修理しなきゃ。
そんなもんを愛とは呼ばない。
時間を跳躍するたびに体を蝕まれて、自分の身を犠牲にして、もう未来に戻らない決意までして、おじさんはジョンを治そうとします。愛かもなって、自己犠牲されると思ってしまうけど、おじさんは自分で言ってるんですよ。

h:["if he was fueled by hate, his actions would have ultimately consumed him.]
(もし彼が憎しみを原動力にしていたのなら、彼は最終的に自分を犠牲にしただろう)

自己犠牲はなにも愛だけによって生まれるものではないです。憎しみによっても生まれます。愛による自己犠牲よりも苛烈で過激でおぞましい自己犠牲が生まれます。他人をも巻き込むようなしろものです。そもそもジョンを攫ってきたきっかけだってメタヒューマンへの憎しみでした。彼はまだメタヒューマンを根絶やしにしていないからジョンがいなくなると困ります。
醜悪なことに、そこに愛という単語を後付けしやがったんです。
息子が死んで、他人の息子を攫ってきて、嘘ついて洗脳して、しまいには息子の代わりにしやがったんです。
h:["jon kent was my only chance to avenge the murder of my child.]
(ジョン・ケントは私の子供が死ぬのを食い止める唯一のチャンスだった)っていうセリフがあります。最初読んだ時、死にかけている養子が、実子を救う"チャンス"だった、という意味だと思って、結局お前が可愛いのは実の息子じゃないか、綺麗事吐いて自分のやってること正当化してんじゃねぇぞと思ったンですが、次に見たとき、過去にいるまだ元気な頃の"ジョン・ケント"が、目の前の死にかけている養子を救える"唯一のチャンス"、健康な地球人とクリプトニアンの遺伝子を手に入れられる唯一のチャンス、人間の細胞とメタの細胞を融合させる唯一のチャンス、という意味かな、と思って、そのために自己犠牲も厭わず、未来に帰ることを諦めるなら、まあこのおじさんも歪んでいるけど愛もあったのかな、と思ったんですが……
にゅ52のスプスを見たときのハーヴェストのセリフ
h:["repulsed by this man-- barely out of childhood--positioning himself as a great champion of the powerless.]
(この男に強い嫌悪感を抱いた――大人になりたてのこの男は――力なき者の偉大なチャンピオンとして君臨していた)
h:["I knew where his actions would one day lead.]
(私は彼の行動がどこに導かれるかを知っている)
っていうのは、おそらくメタとか宇宙人を地球人が受け入れることへの憎しみと反感で、その直後最後のタイムスリップをして未来に戻ることを諦めているので、おじさんの自己犠牲の原動力は、やはり憎しみなんですね。
そしてこうも言ってるんです。
h:["it was a simple matter to get my hands on jon's original dna.]
(ジョンのオリジナルDNAを手に入れるのは簡単なことだった)
簡単なことなら「過去にいるまだ元気な頃の"ジョン・ケント"が、目の前の死にかけている養子を救える"唯一のチャンス"」というのは大袈裟すぎるし、この時ハーヴェストが"オリジナルDNA"としてるのはジョンの両親の血なので「過去の"ジョン・ケント"のDNAを以てのみ死にかけている"ジョン・ケント"の遺伝子を調和させられる」というのは大前提がくずれてしまい、その結果浮かび上がるのは

「今死にかけている養子は私の実子を救う唯一のチャンス」(なので養子の同胞たちを全員殺させる)

というとんでもねぇ理論になるわけです。
そして彼はコンちゃんを作ります。

○○な男の○○な理屈で生み出されて○○な扱いを受けた、代わりの代わりがコン=エルというクローンです。なんだそれ。地獄か?
そして代わりの代わりは、所詮代わりですらないので、扱いはひどくぞんざいです。この男の本性が見えるようです。コンが自分に反旗を翻した時のことを、ハーヴェストはこう言います。

h:["I ordered the mindless clone be destroyed...]
(私は恩知らずのクローンを破壊するよう命じた。

本性が見えるようです。

h:...has initiated the process that will finally allow me to reanimate my son.
(ついに息子を復活させるためのプロセスに到達した)

それはどの息子のこと?

ベン? ジョン? どっち?

おじさんは
h:let the world think me a monster.
(世界に、私を化物だと信じさせよう)
h:but you and I know better than that. I am a man.
(しかし、私たちだけはよくわかっている。私は人間だ)

って言うけど、私は貴方が化物に見える。外見じゃなくて中身が化物のように見える。他人の子供を攫って嘘ついて洗脳して兵器にして、なのに都合良く息子の代わりにして、だけど本当は死んだ息子のことしか考えて無くて、洗脳した他人の子供を、息子だ、愛してるっていいながら、また人殺しをさせるために病気を治そうとするなんて、お脳がイカれてらっしゃるかモンスターかのどっちかだと思う。
もう二度とジョンを息子って呼ばないで欲しい。
この人がヴィランである由来は、メタヒューマンを根絶やしにしようとしてるからでも、メタヒューマンに対して選民主義バリバリの発言をしてるからでもない。自分の都合のために子供ひとりの人生を滅茶苦茶にして、さらにその子のクローンまで作って、そのクローンの命まで弄んで、すべて憎しみが根幹にあるのに、愛なんてお綺麗な言葉で自分の行動を飾り立てて正当化する、その卑劣な根性がヴィランたる所以だと思う。
父親のフリをして子供に人殺しをさせて、自分の心の穴を埋めるためにその子を死んだ息子の代わりにした、その下劣な根性がヴィランたる所以だと思う。
「寂しかったから」、攫って兵器にした他人の子供を、自分の息子の代わりにしたの。それはダッチワイフとなにが違うの?
あなたがやった一番の悪業は誘拐でも殺人でも戦争でも洗脳でもない。
あなたがやった一番卑劣な悪業は、自分の心の隙間を埋めるために行った、自己中心的で卑劣で下劣な児童買春ですよ。
自分の都合と欲のためだけに子供を攫ってきて利用したんですよ。
だから私は、貴方のことを、心の底から、軽蔑します。

お賽銭設置してみたのでお気が向かれたらお願いします。続きはないです。

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英語の成績2なりに、アメコミのジェイソン・トッドとジョン・レーン・ケント関係のコミックの感想中心に書きます。よければよろしくお願いします。