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自衛する市民、その1 緊急時のアメリカで今も枯渇しているもの

2020年3月、コロナによる被害を最小限に食い止めるため、アメリカ各州でロックダウンが始まった。
ここカリフォルニア州でも、最低限生活に必要なもの以外を扱うビジネスの、完全シャットダウンに踏み切った。
コロナが騒がれだしたのは1月初めごろだったが、かなりの数の市民が、すでに行動をおこしていた。
食料、日用品、などの買い占め。マスクが店頭から消えたのは、2月の終わりごろ。
同時期に、過去には例の無いほどの数の市民が、あるものを大量に買い占め始めた。

2009年経済危機の時も、同じようなことが起きたが、今回はそのスケールの大きさが違った。
やはり、去年買っておけば良かった。
各州から同じ内容のニュースを聞くたびに、
後悔が頭をよぎる。
まあしょうがない。
去年、元沿岸警備隊と、アメリカの関税執行局にいた友人達と射撃場に行く約束をしていたので、ピストル購入を考えていたのだ
しょうがない、どうせシューティングレインジは開かないし、待てばいいか。

しかし、さすがというか、やはりここはアメリカ。
店頭から急速に消えていくもの、銃弾だ
こちらでいう、ammunition.
普通、ammoで通じる。
鉄砲の玉だ。

余程の重大事だったのか、wikiにまでなっている。

2021年現在でも、改善しそうにない。

ライフル、ショットガン、ピストル、とそれぞれ弾は違うが、最初に枯渇しだしたのは、拳銃弾だった。
しかも 9mm弾。
大きさはいろいろあるが、9mmが一番流通していて、そこ ここで、買うことができる。
それこそ日本でいう、釣り具の上州屋みたいなところでも。
BASSPRO shop, というアウトドア用品チェーン店がこちらにはあるが、その名とは違い、アウトドア全般とバス釣り具以外に、各店舗とも、かなり大きめのスペースを、銃火器用売り場に割いている。

https://www.basspro.com/shop/en/guns/

通販でも鉄砲かえます。ここ。

https://www.cabelas.com/shop/en/guns



ネバダ州の店舗に行った時は、かなり驚いた。
売っている銃火器の数、種類がかなり豊富だったが、もっと驚いたのがその客層。
どう見ても、中学生ほどの子供が親らしき人物と来ている。
ブルネットのきれいな、若い女の子。
大学生ぐらいだろうか、彼氏らしき人物といるが、店員にいろいろと質問しているのは、彼女の方。
若い女性客が予想外に多かったのには驚いたが、最近のトレンドかもしれないと思った。

有名な、グロック、CZUSA などの、ピストルメーカーは自社の競技用チームに、競うようにして、若い、かわいい、腕がたつの、三拍子そろった、シューターを配属。
拳銃の種類も、S&WのシールドEZのような、女性でも簡単に扱うことのできるモデルが近年増えつつある。

iphone でも持ち歩く感覚で、ハンドバッグにピストル入れてます。
アマゾンでも、最近流行りの、concealed carry holster (外から見えないように、ピストルをホールドできる、携帯具)が結構出回っている。



男性向けのマーケットが、メーカーの増加、多機種、などの理由からの競争激化にさらされている中、女性向けという、新たなマーケットに目を向けたのも自然の流れといえる。
YouTubeでも、若い女の子で、そこら辺の男よりも全然うまいのが
バンバン撃っているのを見る。
ここでは、今でも場所によっては、女の子でも小学生上級ぐらいから狩猟をはじめるので、その延長か。

この人とか


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youtubeで,人気のこの女の子も, 鹿でも、イノシシでもガンガン狩ります。
シューティング好きだって女の子周りにもいます。



ピストルの所持登録をする女性は、増加の一途。

別の州のニュースですが、NRA (全米ライフル協会、アメリカで最大の銃愛好団体、政府に強い影響力を持つ)からのレポートがあります。


WISCONSIN— A growing demographic of first-time gun buyers are women. According to statistics from the NRA, 23% of women in the U.S. own guns. The National Shooting Sports Foundation (NSSF) has documented a 77% rise in female gun ownership since 2005.
NRA の統計によると、全米の女性のうち23パーセントが銃を所持している
別の団体の調査でも、2005年から、女性による拳銃所持は77パーセント増加したというもの。

それでも、今回のパンデミック時はまさに"異常事態”
銃弾が、加速的に消えていった主な理由はこれ、

This record year surpassed 2019’s totals by 60 percent and the previous record of 2016 by 34 percent. NSSF estimates that more than 8.4 million people legally purchased a firearm for the first time in 2020.

2020年の新規での、銃火器購入者が増加した、2016年 2019年の、記録を上回った、その数なんと840万人。

要するに、過去に一度も拳銃などの銃火器を持ったことがなかった人々が、今回の、コロナ流行で新たに購入に踏み切ったという。
この数ピストル購入登録した人間の数で、実際に売れたピストルの数は、
GUARDIAN誌によれば、2020年10月の時点で、約1700万。


中には1人で1丁以上購入する者もいる。
銃を買えば当然弾が必要になる。
需要と供給のバランスが完全に崩れた形。

知人の中に、一人で10丁以上持っているものいた。
そんなにもって、戦争にでもいくのか?と聞いたら。
I have to be ready. 準備しておかないとだと。

前回、2016年大統領選挙時にも、違う理由でピストルがよく売れた。
規制強化で、思うように購入できなくなるのではないかといったものだった。
今回はパンデミックで、いよいよその日が来たかという連中も結構いたりした。
一定数の国民が、世紀末ではないが、事あるごとに、社会が崩壊するのではないかと思っているので、武器は自衛の為に是非必要ということになる。


全米各州に民兵も多数存在する。

ttps://en.wikipedia.org/wiki/List_of_militia_organizations_in_the_United_States#:~:text=SPLC%20identified%20local%20militia%20groups%20%282018%29%20%20,%20%20Mohave%20%2041%20more%20rows%20


こうやって見ると、民兵グループ結構あるんだと驚いた。

最近では active shooter によう大量殺人も、たまにおきる。
他人事ではない、というのが、ピストル購入に走る人々の心理状態ではないだろうか?

警官が勤務中に、誤って黒人を殺害し、一連のデモおよび暴動が始まってからは、国民によるピストル購入は、更に加速された。


平和なデモならばいいのだが、かなりの数のデモ参加者の目的は、最初から略奪にあったようだ、
連日の、各州からのあのような映像を見れば、不安になるのもおかしくないだろう。

向かいの街の映像。自分もこの店舗で買い物をしたことがある。

ここから、そう遠くない Fremontでは主に薬局の、ある種の薬だけを狙って略奪を繰り返した連中もいたようだ。
薬は、興奮物資、メタアンフェタミンを作るのに使用される。
他の地域に、警察の全部隊が出動したすきを狙って、各地でこういった犯行があったが、規模の小さいものはニュースにもならない。

知り合いのピザ屋のオーナーは、AR15 という軍で使うようなライフルを店で準備していた。
暴徒に備えていたそうだ。
ふざけた奴がくれば撃つと言っていた。
個人経営の店や、車がめちゃくちゃにされた所も結構あった。
人種差別に対する抗議よりも、コロナでの国の対応に大多数が怒りを爆発させた局面が強かったのではないかと思う。
こうなれば警察など、よんでもなかなか来ないので、自衛する以外ないだろう。

今のところ、アメリカで銃保持を禁止するのは、不可能に近い。
過去に犯罪歴さえなければ、車の免許を取るのより簡単に拳銃のライセンスが手に入る。

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この問題集から20問ほどのテストを、銃火器販売店で受ければオーケー。
問題も、普通考えればそんなことしないだろ、と突っ込みたくなるような問題が多かった。(例、残弾確認で銃口はのぞきこんでいいか?)
テストに受かったら、後は身元調査をへて、拳銃購入ができる。
長くても、2週間ほど。


カリフォルニア州は全米の中でも、銃保持に関しては一番厳しい。
そんなところでも、簡単に購入できるのだ。
他の州などは、携帯大丈夫なんてところもあるので、未だにアメリカは西部劇を地で行く国。
ピストルを持っても、弾がなければ話にならない。
かなりの数の銃弾を買いだめする人々の、背景にあったのは、守ってくれるものがいないという危機感だった気がする。

ちなみに、ロックダウンを開始してすぐに、自分のところにも友人から連絡が入った。
彼の家はここから南の, サンタクルーズの近く。
元軍関係の友人、なんかあったら彼のところに来いという。
一年ぐらい平気でやり過ごせる、家族の分の水、食料は言うまでもなく。
ピストルラウンド、ショットガンなどの銃弾が1000発以上あるので、
自分のピストルと、身一つでくればいいといった。
近所にも、海兵隊、レンジャーなどの彼も友人がいるので、いつでも準備万端らしい。
頼もしい。
今回のパンデミックでは、更に、武器を持っているだけでは不安と言う人向けに、人気の出たものがあった。
その2に続く



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