スーファミ全盛期のスクウェアのサントラCDの作者コメントが泣ける
タイトルで言いたいこと全てを言いきってしまったが、
・ファイナルファンタジー
・聖剣伝説
・ロマンシング・サガ
・クロノ・トリガー
・ライブ・ア・ライブ
など、僕が中学生(1992年~1995年)の頃、スーファミ全盛期のスクウェアは本当にすごかった。
出すソフトすべてが革新的で意欲に満ちたものに思えたし、実際の完成度も売上本数も、飛ぶ鳥を落とす勢いだった。
どんな人たちが開発していたのだろう?と当時から興味を持って調べていたものの、ファミ通などのきちんとしたメディアインタビューは広報担当の事前チェックも入るし、売上に影響が出たりするから無茶なことやマイナスなことは話せない。何より、ほとんどの内容がゲームシステムの解説になるので、どんな人がどんな気持ちで作っていたか?はあまりわからなかった。
そんな中、僕がこぞって集めていたのがゲーム発売後に出る「サントラCD」だ。これら音楽CDはゲームの後に出るのでゲーム自体の販売本数に影響を与えないうえ、おそらくプロデューサーや広報の厳密なチェックがあまり入っていなかったのだろう。CDのおまけということでゲームの解説をする場所でもないので
「作曲者が、その時思ったこと」が当時の熱量で本音のまま書かれていて、凄まじく貴重な資料になっていたのだ。
僕が中学生の頃に一番驚いたのはこれ。
名作ファイナルファンタジー6のアレンジアルバムなのだが、ライナーノーツ(制作者あとがき)にはこう書かれていた。
いきなり買ったCDを全否定するすごいことが書いてある。その後、さらに感情をともなった本音が吐露される。
ちょっと正直に書きすぎ…!という気もするが、これまで雑誌のインタビューでは絶対に見られなかった植松さんの本音が書かれている。ちなみに1995年。エヴァンゲリオン初回放送の5ヶ月前である。
全体的にものすごく熱い。ものすごく売れていたFF6のスーファミ絶頂期でもあったので、周囲の環境も激変していろいろな事があったのだろう。
これを読んだ当時の僕は14歳。
中二病っぽい多感な時期に深く刺さってしまい、35歳を超えてしまった今も折を見て読み返している。(実際、自分も35歳頃に働き方を大きく変えた)
当時のスクウェア作曲家ではファイナルファンタジーの植松伸夫さんが一番年上のアニキだったので、年下の社員たちもこのスタイルに従ったのだろう。同じような熱いコメントが当時のライナーノーツにはたくさん書かれていた。
なかでも、僕のものづくり人生の方向性を確定してしまったとも言えるのがこちら「聖剣伝説3」のライナーノーツだ。
格好いい真正面の戦いではなく「変だけど格好いい」という少しずらした邪道で戦うという宣言。
これは、ファイナルファンタジー、ロマンシング・サガという超絶ヒットタイトルがすぐ横にある中での菊田さん(当時33歳)なりの戦いの宣言だったのだと思う。
当時のライナーノーツを読み漁っていないとピンとこないかもしれないが、当時の僕には後半に書かれた「アニメBGMの模倣」は伊藤賢治さんのロマサガインタビュー(決戦!サルーインで「XJapan」っぽいものを作る)を、「既存の音楽ジャンルの手法のみを取りいれてそれによりかかる」は植松伸夫さんのファイナルファンタジー民族音楽アレンジのことを言っているように見えた。
それらと勝負しなくてはいけないのに、聖剣伝説はアクションRPGだったのでユーザーが好きな時に剣を振るとその効果音に1音取られてしまうというとても大きいハンデがあった。スーファミは同時に8音しか出せなかったので、FFやロマサガが8音フルで重厚な音楽を出しているのに対し、聖剣伝説では6音(二人同時プレイでは二人が別々に剣を振って音を出してしまうためマイナス2音)で作らなくてはいけない状態だった。
それでも逃げたり言い訳したりするのではなく邪道で戦うという宣言。これを読んでいた僕個人も「自分のものづくりの力は天才には遠く及ばず、何かトリッキーな方法で戦うしかない」と思っていた人間なので、このスタンスは僕の人生に大きな影響を与えている。(これを読んだ20年後に他の作家さんよりも敢えて下手すぎる絵で出して売れた「エヅプトくん」などもこの方向性だ)
そして、FF&ロマサガとものすごく売れているライバルがいる中でも
と折れない姿勢を貫いているのは、とてもかっこよかった。
そして最後は、会社の中でもとびきり若かったクロノ・トリガーの光田さん(当時23歳)のライナーノーツだ。
まだ若干23歳なのだが、いきなり光田さんの人生を総括する自伝のような熱いコラムが始まる。
のような概念的な自己問答もある中で、「親との関係」について書かれていたものが当時15歳だった僕には刺さった。
ちょうどこれを読んだ15歳の僕も「一刻も早く家を出たい」「将来コンピュータ音楽をやりたい」と思っていたのもあり、深く印象に残ったのだと思う。
僕は音楽では芽が出ることなく敗北した人間だが、このライナーノーツから感じる熱量は、確かに僕の人生に影響を与えている気がする。
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ということで、
僕の中学時代を支え、人生に大きな影響を与えた「SFC時代のスクウェアの音楽CDに書かれたライナーノーツ」。
まだライブ・ア・ライブの下村陽子さんの初々しいコラムや、ロマサガ伊藤賢治さんの正直なインタビュー(こちらはサントラCDではなくロマンシングサ・ガ大事典 に掲載)など、紹介したいものがたくさんあるのだが、長くなったのでひとまずここまでとしたい。
興味を持った方はぜひ入手して原文を読んでみてください!
■追記
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