えんとつ町のプペル

感動しました。とても面白かったです。

音も横から聞こえたり地響きする感覚があったりしたし、TOHOシネマズ梅田では2スクリーンで上映してたけど大きい方を選んで前の方に座ったのも正解でした。

ただ説明や伏線、回想、仕掛けがいっぱい仕込まれていて情報量が多すぎるのは気になりました。

映画って無声映画から始まっているから、映像で見せるのが基本なんです。なのでセリフやナレーション、モノローグ(語り)、回想などを多用するのはタブーとされています。これらの説明手法を使うと簡単なんですが、流れを止めちゃうし、とくにセリフやモノローグで説明しちゃうと説教くさくなってしまいます。
(アニメはマンガがルーツとも言えるから、また少し事情が違うかもしれませんが)

実際、終盤のスコップの一人喋り〜ルビッチとローラや町の人々とのやりとりは喋らせすぎだし、ブルーノの語り(紙芝居)も長すぎて中盤くらいで飽きてしまいました。説教くささも感じてしまいました。

で、『プペル』の場合、主人公の過去まで描かれていたりして、観客が想像する余地が少ない。それは僕のような少し映画を齧ったことのある人間にとっては残念なことです。

あのシーンにはこういう意図があるんじゃないか、この場面はこんなことを狙っているに違いない、そのセリフはきっと○○って意味だよって言いたい。喋りたい。好き勝手に想像したい。

ちょっと余白のデザインが足りない気がしました。

西野は元々漫才師だから芸のベースにしゃべくりがあるし、最近はビジネスを紐解いたり講演をしたりしているから、しつこいくらい説明しないと不安なのかもしれません。板の上に立って、目の前の観客を置いてけぼりにしないよう気を配りながら喋るのを生業にしているので。原作に絵本を選んだくらいだから、当然、幼い子どももターゲットですしね。

しかし、説明の多いのが映画のセオリーから外れているのは分かっていて、あえて説明過多にしているのだとも思います。

だって、町の人に紙芝居を話し聞かせていたブルーノに語りのプロである立川志の輔を、喋りの達者なスコップに喋りのプロである藤森慎吾をキャスティングしているので。普通の役者や声優にやらせたら観客が興醒めしてしまうところを、落語家や漫才師にやってもらっているから、何とか芸として聞けるんですよね。

普通の脚本家がこういう説明過多な作品を書いたら改稿を免れないでしょう。製作総指揮を兼ねているからできる芸当でしょうね。

説明や情報量が多いのは、オンラインサロンや様々なメディアで語られていますが、続編や他メディアなどの展開を見据えてのことでもあります。もはやどこまで計算しているのか計り知れないくらい、要素がいろいろありましたね。

でも、ここまでモリモリに盛り込んでこのクオリティなのは脱帽ものです。普通はもっと散らかってしまいます。よく100分にまとめあげたなと思います。

まぁ個人的には、続編のこととか考えずに、映画一本に全部注ぎ込んでほしいですけどね。

製作年 2020年製作
製作国 日本
配給 東宝、吉本興業
上映時間 100分

スタッフ
監督 廣田裕介
原作 西野亮廣
脚本 西野亮廣
製作総指揮 西野亮廣
アニメーション制作 STUDIO4℃

キャスト
プペル 窪田正孝

ルビッチ 芦田愛菜

ブルーノ 立川志の輔

ローラ 小池栄子

スコップ 藤森慎吾

レター15世 野間口徹

アントニオ 伊藤沙莉

トシアキ 宮根誠司

デニス 大平祥生

スーさん 飯尾和樹

アイパッチ 山内圭哉

ダン 國村隼


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