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竹内まりや「本気でオンリー・ユー」は、英語のPersuation論法(説得)のお手本だった!

アメリカで英語(つまり国語)を学ぶと、必ずといっていいほど「Persuation=説得」の論法を叩き込まれます。相手を自分の主張に同意させるために、あらゆる手を使って相手を説得するのです。

先日ある英文記事を読んでTweetしました。

この女の子は、女子用のジーンズは、前ポケットがフェイクなのに憤っていて、「本物のポケット付きのジーンズを販売して!」と、アパレルブランドを説得するPersuationの手紙を書いたそうです。そして、その「説得」の応じ、アパレルブランドは女子用ジーンズにもポケットを付けるようになったというからすごいですね。

彼女は、「前ポケットに手を突っ込めないじゃん!」と訴え、「ポケットがあれば何か入れられるから便利だし」と理由を述べています。

7歳の女の子なのでシンプルな申し出ではありますが、こうやってアメリカ人は、小さい時から臆することなく自分の主張を正当化し、他人を納得させるための説得術を学ぶのだなと思いました。アメリカ人の押しの強さの背景には、こういう教育があるんですね。

日本人は「説得」の仕方なんて学校で学ばないと思います。ましてや英語でなんて……。しかし、コミュニケーションツールとして英語を操りたいのであれば、こういった論法を学ぶことは大きな武器となります。相手はそういう思考でやってきますから、対抗するためにも、日本人もこういった論法を積極的に学ぶべきです。

……と思っていたところ、面白いほどに見事なテクニックで、このPersuation論法を展開している「歌」に出会ったので、ご紹介します。

竹内まりやさんの「本気でオンリー・ユー」です。
歌詞は、実は全て英語。英語タイトルは「Let’s Get Married」です。
結婚行進曲で始まる、あのちょっとレトロチックなメロディの名曲です。

歌詞はこちらです。
(英会話に実用できる表現の宝庫なので、文末に表現集を付けます)

Now let's get married
No need to wait and waste our time
Why do we have to carry on this way?
No one can keep us apart
So, let's get married right away
I'll wake you up in the morning, my baby
Sweeten your coffee with my kiss
And in the night I will hold you so tightly
Whisperin' the words you long to hear
So, let's get married
Why don't you ask me and stop hesitating?
Just think how happy we can be
You and me in a small house with a dog
So, let's get married right away

When you are blue and so down, my baby
I'll give a smile to cheer you up
But if I get sad and lonely
Please hug me close and wipe my tears
So, let's get married
I just don't know how to live without you
Maybe it's nice to have our kids some day
And this is all I can say
Now let's get married right away
So, let's get married right away

歌詞をよく見ると、煮え切らない彼氏に一歩踏み出すことを決断させるため、女性が「結婚しましょう」とあの手この手で説得する(怖~い)歌だと解ります。

主張「Let’s get married(結婚しましょう)」を貫くための彼女の超絶説得テクをとくとご覧あれ。

実況付き翻訳「本気でオンリー・ユー」

◆は、Lilyの実況解説、カッコ内はLilyに翻訳です。
さ、YouTube流しながらどうぞ。

◆まずは主張の提示から入ります

Now let's get married!

(さあ、結婚しましょ!)

◆すかさず主張の後押し①

No need to wait and waste our time

(ズルズルと時間をムダにする必要なんてないわ)

◆主張の後押し②は反証

Why do we have to carry on this way?

(この状態を続ける必要なんてある?(無いよね))

◆主張の後押し③

No one can keep us apart

(誰も私たちを引き離せやしないわ)

◆ここで主張を反復

So, let's get married right away!

(だから、今すぐ結婚しましょうよ!)

◆好条件の提示4連発(結婚するとどんな良いことがあるか)

I'll wake you up in the morning, my baby

(①朝はやさしく起こしてあげるね)

Sweeten your coffee with my kiss

(②コーヒーは私のキッスで甘~くしてあげる)

And in the night I will hold you so tightly

(③夜にはあなたをぎゅっと抱きしめてあげる)

Whisperin' the words you long to hear

(④耳元であなたが聞きたい言葉を囁きながら)

◆今一度、主張へ戻る(洗脳の気配)

So, let's get married

(ね、だから結婚しましょ!)

◆うまく主張を押し通す提案…

Why don't you ask me and stop hesitating?

(もう迷うのはおしまい。プロポーズしちゃお)

◆そして洗脳……

Just think how happy we can be

(まあ考えてみてよ、どんだけ幸せになれるかを)

◆ビジュアルに訴え、右脳も洗脳!

You and me in a small house with a dog

(小さなおうちで暮らすあなたと私、そしてワンコ!)

◆抜かりなく主張の念押し

So, let's get married right away

(ね、だから今すぐ結婚しましょ!)

◆好条件の提示Part2

When you are blue and so down, my baby

(大切なあなたがすんごく落ち込んじゃった時はね)

I'll give a smile to cheer you up

(私が笑顔で励ましてあげる)

◆おっと、ここへきてちゃっかり見返り示唆

But if I get sad and lonely

(でもね、もし私が悲しくて寂しい時はね)

◆ん~それもいいかも……と男心をくすぐるテク発進

Please hug me close and wipe my tears

(私をハグして涙をぬぐってね)

◆そして、とどめ!

So, let's get married

(だから結婚しようってば)

◆情に訴える最終手段!

I just don't know how to live without you

(もうね、あなた無しじゃ生きられないのよ、私は)

◆ほだす!

Maybe it's nice to have our kids someday

(きっとさ、いつか子供ができたらすてきだわよ)

◆さあ、もうやぶれかぶれ!

And this is all I can say

(もうこれ以上言うことはないわ)

◆さあ、どうする!?

Now let's get married right away

(さあ、今すぐ結婚しましょ)

◆さあさあ!!

So, let's get married right away

(ね、今すぐ結婚しましょ)

◆そしてどこまでも残響のように響く…reprise…

So, let's get married right away
Now, let's get married right away
So, let's get married right away
Now, let's get married right away
……

(結婚しよ結婚しよ結婚しよ結婚しよ結婚しよ結婚しよ結婚しよ結婚しよ)

きっと、彼、このまま気を失って、目覚めたら結婚してますね。
Happy ever after♥
めでたしめでたし♥

(たつろーさんも気を失ったのかな?めっちゃコーラスしてますね)

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こちらのアルバムに収録されています。
(なんとカラオケバージョン付き!歌お!)

「本気でオンリー・ユー」で学べる英語表現集

この歌は、英語の勉強にとてもいいです。
日本人である竹内まりあさんの作詞なので、難しすぎないし、それでいてカジュアルに使われる自然な表現がいっぱいです。
今聞き返すと、私はこの1曲から随分たくさんの英語表現を学習したと思います。

例えば、「right away=今すぐに」という表現は間違いなくこの歌で初めて知りました。発音も、「ゥラ~イダウェ~ィ」と歌うので、ああそういう音なんだと学んだ記憶があります。まりあさんの発音はクリアできれい。聴きやすいので、洋楽(英語歌詞の歌という意味で)で英語学習したい人にはもってこいと思います。

歌詞から学べる表現を以下にまとめました。歌いながら英語学習できますよ。

Now let's ~(動詞)
=さあ、~しましょう

get married
=結婚する
※神様が主語の受動態
※能動態もあり。例:Marry me!(結婚して)

No need to~(不定詞)
=~する必要

waste
=無駄にする(動詞)

Why do we have to~(不定詞)?
=なんで~しなきゃならないの?(しなくていいよね)

carry on
=(ある状態を)継続する

No one can~(動詞)
=誰も~できない

keep us apart
=私たちを引き離す

right away
=今すぐ、直ちに(副詞)

wake you up
=あなたを起こす

Sweeten~(名詞)with……(名詞)
=~を……で甘くする

hold you tightly
=あなたをきつく抱く
※tightlyは副詞(どんな風にholdするか)

long to~(不定詞)
=~することを切望する
※longは動詞。
※形容詞long(長い)とは全く違う

Why don't you~(動詞)
=~してみてはどう?
※提案する時の表現

stop hesitating
=躊躇するのを止める
※stop ~ing=~するのを止める

think how~(形容詞)
=どれだけ~か考える

you are blue/you are down
=あなたが落ち込んでいる

give a smile
=微笑む(=動詞のsmile)

cheer you up
=あなたを元気づける

get sad and lonely
=悲しくて寂しい思いをする
※getはbe動詞と同等の役割
(第二文型S+V+CのVに使える)

hug me close
=ぎゅっと私を抱きしめる
※口語表現。正式は副詞closely
(closeは形容詞)

wipe my tears
=涙を拭く

don't know how to~(不定詞)
=どうやって~すればいいかわからない

it's nice to~(不定詞)
=~すれば素敵だ/嬉しい

this is all (that) I can say
=これが私が言えることのすべてである

いかがでしょうか?さあ、歌いましょう♪


英語を習得したい、上手くなりたいというのは多くの人の普遍的な希望ですよね。こうすればいいよと言葉で表現することのむつかしさをかみしめています。楽しくて自然に英語が身に付いていくような、そんなコンテンツの発信を目指しています。