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映画で英語学習「いつか晴れた日に(Sense and Sensibility)」自分らしく生きるとは?②

1811年のジェーン・オースティンの長編小説『分別と多感(Sense and Sensibility )』の映画化です。邦題は、「いつか晴れた日に。」

格調高い(アメリカ耳には聞こえる)イギリス英語の映画です。とある姉妹それぞれの恋の物語ですが、古き良き時代の慎み深さゆえ、恋模様がこんがらがる様子を丁寧に描いています。ゆったりとしていてアクションの少ない映画ですが、全く飽きさせずストーリーに引き込まれます。登場人物は立派な大人なのに、ついみんな可愛く思えてくる作品です。

作品データ

原題:Sense and Sensibility(1995)
監督:Ang Lee
原作:Jane Austin
脚本:Emma Thompson
キャスト
エリノア:Emma Thompson
マリアンヌ:Kate Winslet
エドワード:Hugh Grant
ウィロビー:Greg Wise
ブランドン:Alan Rickman

あらすじ

英国。ダシュウッド家の当主が亡くなった。先妻の息子が遺産を継ぐことになり、遺された現夫人と三人の娘、エリノア、マリアンヌ、マーガレットは、屋敷を追われる。財産を失ったことで、適齢期のエリノアとマリアンヌの結婚が危ぶまれることとなる。

苦境に立たされる姉妹それぞれの恋心。語れない秘密。秘めた想い。

英国の古き良き時代の人間模様を、丁寧に描く美しい作品です。慎みや思慮深さゆえ、秘めた恋心を押さえて耐え忍ぶしっかりものの姉と、心の赴くまま奔放に感情をあらわにして身も心も傷つく妹。タイトルは「いつか晴れた日に」ですが、紆余曲折の末、彼女たちにいつか晴れの日はやってくるのでしょうか。

心に残るセリフ

Edward: Your friendship has been the most important of my life.
Elinor: You will always have it.

エドワード:これまでのあなたからの友情は、私の人生においてとても貴重なものです
エリノア:これからも同じですわ

これは、実はお互いに心の中で惹かれ合っている者同士の会話。本当は「友情」ではないのに、「分別」のある二人は、お互いの環境や事情を理解していて、こんな会話をするのです。とてももどかしいですね。

Mrs. Dashwood: Why so grave? You disapprove her choice?
Marianne: By no means. Edward is very amiable.
Mrs. Dashwood: Amiable? But...?
Marianne: But there is something wanting. He's too sedate. His reading last night...
Mrs. Dashwood: But Elinor has not your feelings. His reserve suits her.
Marianne: Can he love her? Can the soul really be satisfied with such polite affections? To love is to burn - to be on fire, like Juliet or Guinevere or Eloise.
Mrs. Dashwood: They made rather pathetic ends, dear.
Marianne: Pathetic? To die for love? How can you say so? What could be more glorious?

母:一体何なの?なぜ姉さんの選択を認めないの?
マリアンヌ:そうじゃないの。エドワードはとっても愛想がいいもの
母:愛想がいい……でも?
マリアンヌ:でも、何か物足りない。大人しすぎるのよ。夕べの読書だって……
母:でもね、エリノアはあなたとは感じ方が違うのよ。彼の慎み深さは相性がいいのよ
マリアンヌ:あの人に姉さんが愛せる?あんな堅苦しい愛情表現で心から満足できる?愛は炎、燃え上がるものだわ。ジュリエットやグィネヴィアやエロイーズみたいにね
母:その人たちの末路は哀れなものだわよね
マリアンヌ:哀れ?愛のために死ぬことが?なんでそんなことが言えるの?それ以上に美しいことがある?

愛のためなら死ねる、それが生きるということ。そんな風に情熱的に生きている「多感」な妹マリアンヌの姿が浮き彫りになるセリフですね。

マリアンヌは映画の中で失恋を経験するのですが、そのシーンは彼女の絶望が表れていて、胸が引き裂かれそうになります。

注目の英語表現

Edward: Your friendship has been the most important of my life.
Elinor: You will always have it.

このセリフですが、エドワードは「has been……」という現在完了で、「以前から今までずっと継続して……」という表現をしています。

それに対し、エリノアが「will……」という「これから先も……」という未来形で返しています。

つまり、「以前から今までずっと継続して……」存在してきた友情は「これから先も……」続きます。という時間の流れを過去から未来まで網羅する会話になっています。

学習単語

sense=(名詞)感覚、思慮、分別
sensibility=(名詞)感受性、多感
grave=(形容詞)まじめな(名詞では"墓")
disapprove=(動詞)認めない
choice=(名詞)選択
by no means=(副詞句)ちっとも
amiable=(形容詞)愛想のよい
sedate=(形容詞)落ち着いた
reserve=(名詞)遠慮
suit=(動詞)合う、適する
satisfy=(動詞)満足させる
polite=(形容詞)丁寧な
affection=(名詞)愛情
burn=(動詞)燃やす
rather=(副詞)むしろ
pathetic=(形容詞)哀れな
end=(名詞)終わり、末路
dear=(名詞・呼びかけ)あなた、かわいい子
die=(動詞)死ぬ
glorious=(形容詞)栄誉ある、見事な

鑑賞レベル

英語難易度★★★★★
(イギリス英語・古典調の表現)
言語・暴力・性★★☆☆☆
おすすめ度★★★★☆

イギリスの古典ですので、言葉遣いが現代語とは少し違います。しかしそのような雰囲気を体感するという意味や、イギリス英語の響きを知るという面でとても勉強になりますし、安心して見られる質の高い映画です。

おまけ

エマ・トンプソンについて

アカデミー賞脚色賞を受賞した脚本を書いたのが、長女エリノアを演じた主演女優のエマ・トンプソン。こんなあまりに有名な原作から脚本に起こすって、相当なプレッシャーだろうと思いますので、ものすごい才能を感じます。俳優一家に生まれ若いころから舞台芸術の勉強をされていたそうなので素養が育ったのかもかもしれません。

女優さんとしても、「ハワーズ・エンド」という作品でアカデミー賞を受賞されており、以後も本作含め何度もノミネート(「日の名残り」「父の祈りを」されておられる実力派です。

英語の勉強にもなるのでスピーチを付けています。ゴールデングローブ賞の時のものです。

彼女は、これまでの功績を称えられて、Dame(knight(騎士)の女性への称号)を授与されているそうですので、呼ぶときは、男性ならはSir.○○となるところ、Dame Emma Thompsonという風になりますね。

ちなみに、彼女の夫は、この映画でウィロビーを演じたGreg Wiseさんだそうです。

色んな役ができる女優さんで、実写版「美女と野獣」ではミセス・ポットの役でしたし、ハリー・ポッター・シリーズでは、嘘でしょ?といいたくなるような分厚い牛乳瓶の底のような眼鏡とボサボサ頭で、オタクっぽいトレローニー先生役を演じておられました。ああ、あの変な女優さん?って思う方もおられるのでは。(そういえば、この映画のブランドン大佐はスネイプ先生ですね)

この映画では、長女としての責任感のために自分を押し殺して母や妹のために尽くす、知的で控え目な姉エリノアを演じています。

対照的に奔放で感情に素直な妹を演じるのが、ケイト・ウィンスレット。あのタイタニック女優さんです。彼女も「愛を読む人」で主演女優賞を受賞した実力派ですね。本作でも姉妹役二人そろってノミネートされていました。(33歳時点で6回ノミネートされたという最年少記録を持っているそうです。ちなみに、筆者は、アカデミー賞を受賞したら、良い作品、良い俳優と言いたいわけではありません。認知度という点でわかりやすいと思って引用しています)


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