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映画で英語 誰かに見られている(Someone To Watch Over Me)

誰かに恋をするというのは、どういうことなんでしょう?

恋については、There's chemistry between us(僕たちは気が合うね)というような表現もあり、恋する感情は、心と心の化学反応(Chemistry)なのかなとも思います。

いきなり何の話かと言いますと、ダメだってわかってるのに恋に落ちてしまう……そんな男女のお話の映画を今日はご紹介します。

誰かに見られている

「誰かに見られている」というタイトルのサスペンス映画なのですが、実は原題は「Someone to Watch Over Me」私を見守ってくれる誰かというタイトルで、サスペンス的な響きはありません。

実は、これは1926年のミュージカル「Oh, Kay」のために、かのジョージ・ガーシュウィンが書いたアップテンポの歌ですが、のちにスローバラードにアレンジされたバージョンでJazzのスタンダード曲として、有名になりました。多くのジャズメン、ヴォーカリストにカバーされているとても美しい曲のタイトルです。

この映画は、この曲をモチーフにしていて、主題歌はスティングがカバーしていてとっても素敵です。

映画のタイトルに話は戻ります。邦題はわざとサスペンス色を出すためかわかりませんが、誤訳になってしまっています。「Someone to Watch Over Me」私を見守ってくれる誰か……のはずが、「誰かに見られている」になっちゃってます。

と言うのもストーリーは、怖い男に美女が狙われる……というゾクッとするサスペンスだからなのです。

でもこの映画、怖い男に美女が狙われる……という側面以上に、とっても味わい深い極上の悲恋ドラマに仕上がっているのです。

作品データ

原題:Someone to Watch Over Me(1987)
監督:Ridley Scott
キャスト
マイク:Tom Berenger 
クレア:Mimi Rogers 
エリー:Lorraine Bracco (Sopranos)

あらすじ

マイクは、元警官の妻エリーと息子トミーとともに、下町で楽しく暮らしている子煩悩な警察官。ある日、とある大富豪の女性クレアの身辺警護を命じられます。クレアは、殺人事件の目撃者で犯人に命を狙われているのです。

彼女の警護をするうち、立場の違う二人はお互いに魅かれ始め……

見どころ

……という、悪者がヒロインを襲いにやってくるサスペンス、そしてそこに「恋愛(不倫)」が絡むストーリー展開。ありがちで悪く言えば平凡なのですが、何でしょう、とても魅力的な映画なのです。私はもう50回くらい観ていて、セリフもほとんど覚えちゃってます。これはおそらく、演出のうまさ、映像の美しさに加えての俳優さんのはまり度、そしてストーリー展開のうまさ、そういったことが重なっていて、地味ながらも観る人の心の掴むのかなと思います。

まず、映像。スティングの歌をバックに、リドリー・スコットがオープニングタイトルで描くマンハッタンの夜景の空撮が素晴らしく、観客は冒頭で一気に心を奪われます。クレアの豪華な住まいと下町にあるマイクの庶民的な家の対比もいいです。

マイクの優柔不断だけれど男気があって憎めないいい人ぶり。クレアの聡明さ、洗練された美しさの中にある弱さや人間味、対照的に粗野だけどキュートで一途なエリー。

3人ともが嫌味が無く魅力的なキャラクターで、見る人は3人全員に同時に感情移入しちゃいます。なので、不倫→最低→でもなんかみんな可哀そうで切ない という風になってしまう。いやいや本当は、可哀そうなのはエリーだけで後はダメ。だいたい不倫は美化しちゃいけないんですけどね。

サスペンス的な部分の展開もテンポがよく、この人間ドラマにうまく絡んでいて、結末も印象深いです。

心に残るセリフ

Claire : It's been nice having you watch over me.
Mike: Yeah... it's been nice being around you, too, Claire.

クレア:あなたが見守っていてくれて嬉しかったわ
マイク:ああ、僕も君のそばに居られて嬉しかったよ、クレア

[to Mike]
Claire : Let me watch over *you* tonight.

クレア:今夜は私にあなたを見守らせて

セリフはStand.fmでも解説しています。

鑑賞レベル

英語難易度★★★★☆
言語・暴力・性★★★★☆
おすすめ度★★★★★

おまけ

オープニング、スティングの歌声とマンハッタンの夜景が素晴らしいです。

何度聴いても素敵な楽曲です。歌詞も素敵ですので、別のノートでこの曲について解説します。




英語を習得したい、上手くなりたいというのは多くの人の普遍的な希望ですよね。こうすればいいよと言葉で表現することのむつかしさをかみしめています。楽しくて自然に英語が身に付いていくような、そんなコンテンツの発信を目指しています。