スティグマ
私には人には言えないスティグマがいくつもあります。それは私の弟ふたりも同様です。私はそのスティグマと戦い、気付けばもう何十年も経っていました。弟たちも懸命に戦いましたが、ひとりは不幸になりました。私たち三兄弟は両親から誕生日を祝ってもらったことがありません。サンタも来なかった。そういう家で育ちました。以前、弟に言われた言葉が忘れられません。「姉ちゃん、俺、いつ自殺してもいいと思ってるんだ。本気だよ。でも姉ちゃんと兄ちゃんがいるから死なないでいられるんだよ」。悲壮感はまったくなく、ケロっと明るい笑顔を浮かべながらそう言うんです。私より可哀相な弟。弟が辿った人生を思うと哀しくて胸が潰れそうです。それでも弟は懸命に生きています。不幸な私より頑張って生きてます。もうひとりの弟は人が羨む職業に就き、権力を手にいれました。だけど私は彼の心がいつ壊れてもおかしくないことを知ってます。スティグマを抱えながら綱渡りのような人生を送っています。でも彼は幸運なことに素晴らしい生き甲斐を見つけたのです。彼は医療の発展に今も貢献し続けています。私も幸いなことにカオスのような人生の中で生き甲斐を見つけました。物語を作ることでした。辛いことがあっても物語の妄想に耽っていると現実を忘れることが出来ました。今は娘の留学費用の為に働いています。お金が無いと生きていけないので頑張って働いてます。職場で使える資格を取ろうと勉強したけど酷い頭痛で断念し、こうしてデビクロの新刊執筆のリハビリで駄文を垂れ流しながら、自分の原点を再発見しました。私はやっぱり創作していないと幸せにはなれない人間です。現実逃避だと思います。でもフラッシュバックで自分を傷付けたくない。私を傷付けた人達との汚い記憶で私を台無しにしたくない。その為の大切な現実逃避。今夜はそんなことを思いました。
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