note映画の演技史1

映画の演技史①「よい俳優の定義は時代と共に変わる」

「よい俳優」の定義ってなに?

「よい俳優」ってどんな俳優だと思います?
ロバート・デニーロみたいな変幻自在なメソード俳優? チャップリンみたいなエンターティナー? それともチャールトン・ヘストンや三船敏郎みたいにバイタリティが高い俳優? シュワルツェネッガーやスタローンみたいに説明不要の派手なキャラを持ってる俳優?
じゃあそれら「よい俳優」たちの中でも歴史上一番「よい俳優」は誰?・・・ってそんなの決められないですよねw。無理なんです。

なぜなら「よい俳優」の定義はその時代時代で全然違っているから。

松田優作は素晴らしい俳優でした。でも例えばいまデビューした新人俳優が松田優作のように演じたらどうでしょうか?映画スターになれるでしょうか?・・・それは今ザ・ビートルズがデビューしたら世界は熱狂するか?という問いと似ていますね(笑)。
答えはおそらくノーです。ザ・ビートルズの音楽はよい音楽だったという以上に、60年代の人々の心を開放する音楽だったからです。いまジーパン刑事のような演技をする新人俳優が現れて素晴らしい演技をしても、70年代の観客が松田優作に熱狂したようには観客は熱狂しないでしょう。
松田優作の演技は70年代の観客の心を開放しました。2010年代には2010年代の観客の心を開放し、熱狂させるような俳優が必要なのです。

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