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博多ラーメンは生きている

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渡辺樹庵氏と進めているクサイ博多ラーメンのロジックをまとめるノートです。
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クサイ豚骨ラーメンを科学する。part 5 テストスープ作成開始

クサイ豚骨ラーメンを科学する。part 5 テストスープ作成開始

大切なことなので、ここでキチンと説明しておくが
博多ラーメンの特有な発酵臭、獣臭、なんとも形容し難いあの香り。
長年誤解されている様だが、決して「灰汁取りが甘い」とか
「血抜きが適当」だとかそんな滑稽な話ではない。
そもそもそんな「怠惰な仕事」をしているようでは博多ラーメンという食文化は長きにわたり地域に根付いていないだろう。
淘汰され、店単位で考えてもそういった姿勢では経営が成り立たない。
少し

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クサイ豚骨ラーメンを科学する。part 4.きら星と健太のスープ検査と菌の同定。

クサイ豚骨ラーメンを科学する。part 4.きら星と健太のスープ検査と菌の同定。

part 3で解説し当店のスープからも検出された
「好気性芽胞形成菌」

他のお店のスープからも検出されるのか?
という疑問と興味は、私も樹庵氏も言葉を交わさずとも必然と抱いていた。特に打ち合わせをする事もなく私たちは各人、交流のあるお店に依頼を出した。
樹庵氏は「ラーメンきら星」
私は「ラーメン健太」
言わずも知れた極悪スメルの双璧をなす二店舗である。

健太の店主は私と同年齢。
遡ると約20年

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クサイ豚骨ラーメンを科学する。part 3.芽胞形成菌について

クサイ豚骨ラーメンを科学する。part 3.芽胞形成菌について

さて、part 3です。
続きものなのでpart 1とpart 2を読んでいないと
これからほんの少しだけ難しいお話となります

私のお店、博多ラーメンでぶちゃんのスープは発酵タイプのクサイ豚骨ラーメンで、一連の研究のメインの検体としても使用している。

神奈川県にある食品微生物センターへ菌検査の依頼をかけたところ
経験による仮説の通り耐熱性の菌「好気性芽胞形成菌」が検出された。
一抹の不安でもあ

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クサイ豚骨ラーメンを科学する。part 2.渡辺樹庵氏との出会い。

クサイ豚骨ラーメンを科学する。part 2.渡辺樹庵氏との出会い。

私が高田馬場に出店して2022年の時点で約8年(現在の場所は4年目)
実は8年前から何度もお客様として来店する渡なべの店主、樹庵氏に面識こそないものの自店のラーメンを提供し、幾度となくTwitterにて取り上げて頂いていた過去がある。
覚えているだけでも5回。
今となっては大好きな尊敬する大先輩なので笑い話ではあるがTwitterに書かれていた内容は辛辣な内容であった。
そのTwitterの内容を

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クサイ豚骨ラーメンを科学する。part 1

クサイ豚骨ラーメンを科学する。part 1

博多ラーメンを作り続けて15年(2022年現在)
とあるラーメン店の店主との出会いから始まった研究について記しておく。

福岡県を中心に発展してきたさまざまな豚骨スープのラーメン。
長浜ラーメンや久留米ラーメンなどさまざまな呼び名があるが、ここでは博多ラーメンという総称を用いる。

博多ラーメンといえば
乳化して白濁したスープにそうめんのように細くストレートな麺。
そして何と言っても店の付近を通る

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