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陽だまりにゃんこ11:相島は愛の島⁈




 玄界灘に浮かぶ離島、福岡県糟屋郡新宮町「相島あいのしま」は、世界6大猫スポットのひとつとして世界的にも有名な猫島である。
    福岡市にほど近い新宮漁港から町営渡船で約20分。アクセスの良さから、多くの猫好きたちが国内外から集まる。年間の来島者数は9万人以上。先週末、朝9時半発の便は釣り客も多く、すぐに定員150人いっぱいとなり、乗れない人もいたほどだ。

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 本題に入る前に、まずこの島にある「遺跡」について。
 前回の記事で取り上げた宮地嶽神社内の古墳に使われている巨石は、遥か遠い昔にこの島から船で運び出されたもの。山の斜面を見ると、確かに大きな岩肌が剥き出しとなっている所がある。信じ難いことに、この岩山から40トンもの巨石を切り出し、船に積み込み、海を渡り、丘の斜面を運び上げ、数十個も並べたという。

 また港から徒歩30分の東海岸には、日本でも数少ない積石塚古墳がある。これは4世紀代~7世紀代にかけて造られたもの。

 宮地嶽神社は、年に二回参道の延長線上に陽が沈み「光の道」が浮かび上がることで有名だが、この延長線の先に位置するのがこの相島。さらにこの積石塚古墳の中でも最大規模全長20mの前方後方墳「120号墳」は5世紀中頃の海人族のものとされるが、宮地嶽の参道はこの古墳に照準を合わせて造られている。

 相島の海岸線に沿って250を超える古墳が並ぶ光景は壮観だ。千数百年の時を超え、文明社会から隔絶された古代世界の風景がそのままの形で目の前に広がっている。

 ここには車も電車も工場もない。携帯の電波も届かない。海と空と石ころと緑の丘だけの原初的な世界である。あまりにも心地よい場所だったので、午前中の船の便で帰る予定を午後に変更し、ここでしばらく過ごすことにした。


相島積石塚群(国指定史跡)

120号墳



120号墳















相島
対岸中央は新宮町附近
左手が宮地嶽神社のある福津市
「福岡県観光webクロスロードふくおか」
宮地嶽神社参道「光の道」と相島
「ニッポン旅マガジン」



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 梅雨入り前のこの時期、海に浮かぶ孤島は午前中からすでに日差しが強い。木陰を吹き抜ける心地よい海風に吹かれながら、再び港までの細い県道を歩く。

    昼時の港はどこを見ても猫、ネコ、ねこ、にゃんこだらけである。住宅の庭、玄関先、ブロック塀の日陰、車の下、ベンチの上、港の岸壁、エアコン室外機の上、日陰のある所ならどこにでもいる。

 2023年1月末時点で、不妊去勢手術した相島の地域猫は累計276匹。 自然死などで40匹減り、一部は手術後に島外の里親に貰われて現在は約200匹程度が暮らしているとのこと。数年後には「猫島」とは呼べなくなる日がやってくる。

 ここの猫はとにかく人懐っこい。人間に対して警戒心がまるでない。心を許しているというよりも、初めから「疑う」ということを知らないように見える。

 島にあるのは数台の車とバイクのみ。路上に危険は存在しない。ゆったりのんびり歩き、立ち止まり、居眠りをし、毛づくろいをしている。猫がのんびり暮らしている世界は何て平和なのだろう。
 
 路上に座り込んで猫にカメラを向けると、すぐに近寄ってくる。かと思えば目と鼻の先にいる猫にカメラを向けてもまったく動じず、淡々と目の前を素通りし我が道を行く仔もいる。或いはカメラを向けている最中に、いつの間にか他の猫がスリスリしながらすり抜けていったりもする。

 人から愛されていることを猫たちは知っている。そして猫たちも人間が好きだということがよく分かる。

   

 猫だけではない。すぐ目の前ではトビが電線にとまり、ぴ~ひょろろと大声で鳴いている。
    豊國龍神社の境内には「かっちゃん」と呼ばれている大きな野生のカツオドリがいて、至近距離まで近づいてもまったく逃げようとしない。
    満員の渡船のデッキにはツバメが寛いでいる。

 地元の子どもは気さくに挨拶してくる。すでに港の海中に潜って遊ぶ元気な子供たちもいる。人口約220人の島内に交番、派出所、消防署はなく、その代わりに「少年消防クラブ」が消防団として活動するとのこと。何とも逞しい子供たちだ。

 島に暮らす年配者たちの会話の声は大きく、ゆったりと歌うように流れて消えていく。
 訪れる観光客もまた、この島に入った途端、何故か急に笑顔で挨拶をかわすようになるところが妙に面白い。

 どうやらこの島には、人や動物たちを穏やかで元気にさせる不思議なパワーが満ちているようだ。



「動物は土に触れる必要がある」   
獣医スティーブ・R・ブレーク

 私は30年以上にわたりホリスティックな治療を行っている獣医です。
 動物が自然な方法で自らの健康を維持するということを、私は学びの目標として観察と研究を続けてきました。

 私は動物たちに囲まれて育ったので、私にとって「アーシング(身体が直接的に大地と触れること)」の原理は子供の頃から明らかなことでした。
 動物は特に何らかのストレスを受けると、土に穴を掘ります。
 動物がストレスを受けたり、病気をしたりすると、家の床やカーペットを搔きまくるのは、動物がグラウンディングしたいがためによく見られる光景です。

 動物はコンクリートの床や地面に近づきたがります。外に出すと、地面で同じことをします。
 犬やネコが病気になると、茂みで穴を掘って休んでいるのを見かけます。彼らは地球のエネルギーフィールドを活用して、無限の負電子と他の癒やしの要素を取り入れているのだと私は考えています。

 私が関わった飼い主の中には、ネコが逃げたりノミがついたりするので、外に出したがらない人達がいます。ペットにリードを使うか、地面の上を歩けるように囲いをつくるよう私は勧めています。飼い主がそのようにすると、ペットの健康も改善し、行儀もよくなっているということに私は気づきました。

 私は一日に一時間でよいので、外に出してあげるように飼い主に勧めています。家の中で放尿する癖のあるネコはピタリとやめ、神経質で誰にも触れられたくなかったネコは社交的で優しいネコに変わりました。

 地球とつながるという、いたって単純なことによって、大きな違いが表れるのにきっと驚かれることでしょう。

エハン・デラヴィ著「不調を癒す《地球大地の未解明パワー》アーシング」



 港に面した小さな食堂に入る。店内はすでに満席で、少し待つことになった。ほとんどの客が猫目当ての観光客。外国人もいる。
 さすが漁港の食堂、刺身定食は鮮度抜群だ。皿には魚のすり身を使ったコロッケも添えられていた。
 コロッケの形がハート型。え、何で?と思う。
 あっそうか、島の形がハート型。
 相島あいのしまとは「愛の島」だったんだ。



 午後の便で新宮町の漁港に戻ってくる。船から岸壁に降り立った瞬間ふと気づいた。島にいた時と地面から足に伝わるエネルギーがまるで違う。九州は陽性で力強いエネルギーを秘めた大地だが、島はよりいっそう純粋に陽気で力強く、生き生きとしたエネルギーに満ちていた。

 4時間ほどのゆっくりとした滞在で歩数計のカウントは約8km、12,000歩。そこそこ歩いたはずなのに疲労感はなく、むしろ体は軽く、前より元気になっている。

 高校生の頃、竹芝桟橋から夜行便の船に乗り、伊豆七島の大島や神津島へ一人旅に出かけたことが何度かある。島内を数日歩き廻っても不思議と疲れ知らずだった理由が今になってはっきり分かる。島にある土地そのもののエネルギーが疲弊しておらず、力強かったのだ。





   世界のうねりに翻弄される現代社会にあって、文明社会からは隔絶されたような離島のシンプルな環境に身を置くだけで、心は開き、心身は癒され、充電されるような感覚が起こる。
 それは心と体の真の故郷が他でもないこの地球そのものだという単純明快な理解をもたらしてくれる。眠っていた身体の奥に潜む原初的な記憶が再起動するような感覚かもしれない。

 大戦後、戦勝国の占領政策によって、宗教観や歴史観、教育が捻じ曲げられ、二度と歯向かうことができないよう日本人の精神性は骨抜きにされてきた。
 しかしながら疲弊した世界の中で日本の国土はまだまだエネルギーが豊かな大地 。緑豊かで美しい海に囲まれ、空気は澄んでいる。
 
 「地球とつながる」というアイデンティティを取り戻すことは、宗教観や歴史観を超えて人間存在のルーツそのものにアクセスすることではないかと思う。
    それは分断も争いも差別も存在しない「和」の次元であり、それこそが地上での最強の精神性となり得る。やがてその先には「宇宙とつながる」ということが見えてくる。

 この島に生きる猫星人たちの平和な光景はそのことをそっと教えてくれているようだ。

 新宮町の漁港からもう一度振り返って、遠くの小さな島影を眺めた。
 清々しい海風が、心と体を通り抜けていった。



福岡県糟屋郡新宮町大字「相島」























































































































Be water
Malte Marten Method



ありがとうございます






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