関門海峡を見下ろす下関市の高台にある火の山公園では、5万株のトルコチューリップが満開となっている。
下関市とイスタンブール市とは「海峡」という地理的類似性があることから1972年姉妹友好都市となった。ここに植えられたチューリップはすべてイスタンブール市から寄贈され、下関市民ボランティアによって植栽されたものだ。
このチューリップ園の名称『オルハン・スヨルジュ記念園』とは、1985年3月、イラン・イラク戦争の最中にテヘランに取り残されていた日本人215名を救出した元トルコ航空機機長オルハン・スヨルジュ氏(1926−2013)を顕彰するために付けられた通称名である。
当時のトルコ政府が危険を覚悟で救出しようとした背景には、1890年の「エルトゥールル号事件」がある。トルコの艦船が和歌山県沖で沈没した際、近隣住民の救援活動によって69名の命を救ったことがトルコ国民の親日感情の根底にあるからだ。このことはトルコの学校の教科書にも掲載されている。
エルトゥールル号遭難事件の映画化:『海難1890』
日本とトルコ両国は、共に2011年大きな震災に見舞われた際にも互いに支援活動を行った。友好関係は国家間だけでなく、個人旅行でトルコを訪れる日本人観光客にも及ぶ。日本人と見ると親切にされることが多いらしく、ネット上ではそうした体験記が数多く見受けられる。
混迷深まる世界情勢にあって、このチューリップの花に込められた想いのように、この世で最も大切なものを見つめる気持ちは、何があってもいつまでも失わずに生きていたいと思う。
ありがとうございます