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呑山観音寺の紅葉

   紅葉の名所と呼ばれる所には今まであちらこちらに出かけたが、中でも記憶に残る場所と言えばやはり関東以北の地域に多い。群馬や栃木、長野、秋田、青森、そして北海道。東日本エリアでは冬の寒さを目前に控え、秋は朝晩の冷え込みが急に厳しくなる。昼夜の寒暖差が大きいということが、美しい紅葉になる必須の条件だ。

20代の頃に栃木県日光市の高原にあるリゾートペンションで、1年半ほど住み込みアルバイトをしていたことがある。当時はペンションブームで、オーナーになることも、宿泊することも、大人気の頃。働いていたのは国内6000件ほどあったペンションの中でも毎年宿泊者数トップ3に入るという超人気宿で、朝から晩まで大忙しだったが、閑散期になると有給で長期休暇がもらえて、いろいろと日光の奥深い所や国内外の旅行にも出かけることができた。

真夏に仕事を始めたときには街中と変わらず暑かった。ところが秋の訪れと共に急に夜の冷え込みが大きくなる。すると周囲の広葉樹がみるみる色付き始め、あっという間に紅葉へと変貌した。特に奥日光中禅寺湖畔から戦場ヶ原にかけての雄大な自然は、この世のものとは思えないほど崇高な美の世界がどこまでも続き、息を飲んだ。

真冬になると中禅寺湖周辺はマイナス10℃以下。湖水は全面氷結し、山や森は雪に覆われ、風景から色彩が消えて完全なモノトーンの世界となる。その直前の紅葉シーズンとの短期間に起こるギャップが凄い。
日光は紅葉の人気スポットだが、シーズン中の渋滞も有名だ。訪れる人の少ない真冬の奥日光が静寂の美を最も味わえる時。戦場ヶ原から小田代ヶ原にかけて湿原一帯と取り囲む森が深い雪に覆われ、普段は立ち入ることのできない所でも、クロスカントリーのスキー板を履けば湿原の上や深い森の道なき道をどこまでも自由に入っていけた。朝から夕暮れまで滑っても誰一人として出会うことがなく、深い静寂と溶け合うようなひと時だった。
今ではホテルも数軒建ち、快適なリゾート地となっている。しかし大自然のありのままの美しさ雄大さはまだしっかりと健在のようだ。


ナショナル ジオグラフィック日本版より引用
写真=前口寿雄氏

初冬の日光小田代ヶ原に立つ貴婦人と呼ばれる一本のシラカバが有名。
真冬になるとこの湿原も深い雪に覆われる。
四季折々の景観が味わえる奥日光屈指の美観エリア。


話が脱線し過ぎて、本題を忘れそうになった。福岡県の紅葉の名所を調べると、やはり気温が本州と比べて高いので、エリアがかなり限られてくる。比較的気温が低く広葉樹林がある所となると、山間部にある神社仏閣や公園がその対象となる。
今回訪れたのは、北九州市と福岡市の間、福岡県糟屋郡篠栗町にある呑山観音寺のみやまかんのんじ。高野山真言宗別格本山の寺院で、人里離れた山の中にある。
福岡県では人気の紅葉スポットとのこと。境内は、とてもたくさんの参拝客で混みあっていたので、人物が写り込まないように撮影するのが難儀だったが、今年初めての紅葉狩りを堪能することができた。




呑山観音寺の紅葉


























































昨年11月に投稿した紅葉の記事はこちら☟
泉に映る森の紅葉が美しく幻想的だった。




羽毛田丈史
地球に乾杯


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