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春風そよぐ


 暖かな陽射しに誘われ、市内にある植物園へ出かけた。昨年初夏に訪ねて以来のこと。園内は至る所、春の彩り真っ最中だ。
梅も河津桜もすっかり満開。椿も森の木陰で威勢よく咲いている。冬牡丹やクリスマスローズ、バイカオウレンにフクジュソウ。冬を乗り越えた力強さが漲っている。

ここは1952年、個人経営の植物公園「四季の丘」として開園し、40数年間市民に親しまれてきたそうだ。1993年に北九州市が買取った後、約3年の年月をかけ整備並びに改修工事を行い、1996年に「北九州市立白野江植物公園」として発足した。
山の斜面には谷間を挟んで美しい竹林と深い森が続き、巨木やら道端の野草を見ながら、30分ほど山道を登ると、展望台からは周防灘の青い海を見渡すことができる。かつて個人所有だったとは思えないような広さだ。

冬の間、しばらく遠ざかっていたせいか、久しぶりに見る花の色が目に眩しい。華やかな色彩に囲まれていると、心の中までカラフルになる。
頭は空っぽ。
体は蝶のように次から次へと花を目指して飛び回る。

花は人のために咲いているわけではないが、花を眺めるとは、花に習い、季節の移ろいや時の流れに身を委ねる秘訣を学ぶ、ということか。
物言わぬ花は大地に生きる術を知り尽くしている。

公園を訪れる人たちの顔もみな緩んで朗らかだ。
春風そよぎ、癒やしの光が降り注ぐ。



北九州市門司区 日野江植物公園























































昨年5月に投稿した日野江植物公園の写真はこちら☟





But Beautiful
佐津間純






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