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風景

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身の回りにある様々な風景を撮った写真は撮影者ではなく、見る人の心を映し出す鏡。
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2022年9月の記事一覧

中空の竹

(文3400字 写真40枚) 竹の里  北九州市小倉南区合馬は日本有数のタケノコの産地である。見渡す限り竹林の山が緩やかな斜面に続く。先日訪れたときには麓の田んぼのあぜ道に彼岸花が一斉に咲き始めた。 開花に合わせるように稲刈りも始まっていた。米の収量は前年に比べると全国的にやや減少という予想らしい。ここ合馬では先日の台風襲来でも強風に倒れることなく、黄色い稲穂がきれいに揃って収穫の時を待っていた。稲刈り後の田にはシラサギが舞い降りて秋の味覚を探していた。 日本の田園風

カルストは秋の風Ⅱ 3億4千万年続く大地の歌           

(9月3日投稿カルストは秋の風Ⅰ悠久の叙事詩|燿(hikari)|note続編  未投稿写真33枚) Hariprasad Chaurasia and Amareesh Leib Now

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今宵再び月景色

嵐が去ったあとの浜辺

嵐が去ったあとの浜辺に行った 風はまだ強く激しいうねりが続いていた しかしどれほど高く打ち寄せても 波はいつの間にか小さくなって砂に吸い込まれるように消えていく 波は決して小さな砂粒ひとつも奪い去ることができない 嵐が去ったあとの浜辺には やがて可憐な花たちが咲き誇ることだろう 小さな花一輪は繰り返す嵐に負けずに 生き続けるだろう 玄界灘 福岡県遠賀郡芦屋町芦屋海岸

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今宵北九州から

白龍の海

 普段は穏やかな響灘の波も、嵐ともなれば地響きのような唸り声をあげ、もんどりうちながら岩礁に何度も何度も襲いかかる。 まるで海の底から這い上がってきた荒れ狂う白龍を見るような思いがする。 龍神にまつわる伝説や信仰は日本各地に存在し、龍神を祀る神社も数多い。 荒れ狂う白波を見て、それを龍神の化身だとするような伝説にはお目にかかったことはないので、これはあくまで個人的な妄想の域を出ない話だ。 しかし中には「日本人は龍族宇宙人の末裔」だとする伝説もある。 この説が興味深い。

カルストは秋の風Ⅰ            悠久の叙事詩

 季節が変わる前にもう一度平尾台を見ておきたい そう思ったのは1ヶ月前に来た時は小雨交じりの曇天で 壮大な風景を見ることはできなかったからだ この日は清々しい晴天 遥か遠くの山並みまで見渡せる 暑い日差しは消え白雲が流れる空は高く爽やかな風が頬を撫でる 季節は早くも秋が始まっていた ピナクルと呼ばれる岩々を一面緑のすすき野が覆っている しかしよく見ると所々すすきの穂がもう出始めている 葉も幾分黄色味がかっているように見えた 道端には秋の野草がひっそりと咲いている 所々樹々