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花や虫たち

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#薔薇

秋薔薇と「ばら色の人生」

 秋薔薇のシーズン到来である。今年も晴れた朝と、雨の朝の2回、市内にある同じバラ園に出かけた。天候によって印象が大きく異なるところが花写真の面白さ。明るい陽射しの下では彩り豊かに輝き、雨に濡れると艶めかしく光る。 春薔薇に較べるとやや小ぶりに見え、花数も少ない。しかし、その分一つ一つの花の存在感が浮き出て、より輪郭がくっきりしてくる。夏に向かう薔薇は期待に胸を膨らませるように盛大に咲くが、冬に向かう薔薇は過去を懐かしむようにひっそり咲いているように見える。 薔薇と言えば、シ

泡沫の夢

今年の薔薇は例年よりも開花時期が早かった。 まだまだシーズンはこれからと思っていたが、先日今シーズン二回目となるバラ園に出かけてみるとピークは数日前に過ぎたとのこと。 温暖化による影響と急な激しい雨風に晒されたのが原因ではないか。 辛うじてまだ咲き誇っている花を探して何とか撮ることができた。 見納めの薔薇だ。 それは出会いと別れが一緒に訪れたようなひとときだった。 出会いの喜びを感じる間もなく別れの切なさだけが手元に残る。 言葉も見つからずただ見つめるだけの短い時間。 手

めぐり逢い

 薔薇のシーズンが始まった。毎日刻々と表情が変化していく中、できるだけ望ましい状態を撮りたい。どちらかと言うと満開より少し前、多くの花がまだ開き切っておらず、蕾もたくさんついて、これからが本番という頃がいい。できることなら雨上がりの午前中で光が柔らかく雨粒がキラキラ輝いているような時。 一昨日の夜から降り始めた雨は、昨日朝になっても降り止む気配がなかった。しかし信じられないことに天気予報では昼頃一時的に「晴れ」と出ている。 関東では桜のみならず薔薇の開花も早く、見頃は過ぎた

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「庭に咲く」1

秋さうび

(文1600字 写真50枚)  いつも素敵な俳句を投稿されているラベンダーさん。先日の句に使われた10月の季語「秋さうび(そうび)」とは「秋薔薇」の音読みのこと。俳句や短歌を嗜むということがない愚生にとっては、noteを通じて出会った方々の作品が日本語の美しさを教えてくれる貴重な機会となっている。 元の写真が別物に、曖昧なものから輪郭のあるものへ、無意識的なものから意識的なものへと変容した。日本語の美しい響きを詠まれる方の深い感性にはいつも驚かされる。日本人の美意識の守り

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暮れ逢い

写真よりも深く

(2022年5月18日投稿記事)  ラベンダーさんが素敵な俳句を、愚生の写真に添えて詠んで下さった。 ラベンダーさんにとってその写真から受けとめられた印象の背後には、ラベンダーさん御自身の感性と人生経験というものがあり、また私にとっては御句の五七五の言葉の連なりから浮かび上がってくるものの背後に、若い頃の経験が30数年間経った今でも、通奏低音のように心の中に響き続けているものがある。 感動、そして驚きだったのは、そのことが五七五の中にありありと描写されていたからだ。 写

心の薔薇

(文3000字 写真60枚)2022年5月投稿  北九州市立響灘緑地グリーンパークで、「春のバラフェア」が開催されている。320種2,500株という数は、全国の有名なバラ園と比べると少ない方だろう。しかしこのバラ園を管理するスタッフの方々の気合いは凄い。朝9時の開園時には園内の手入れがすべて終わり準備万端。次から次へと目の前に現れる個性豊かな美しい薔薇に見惚れて、時間があっという間に過ぎてゆく。 昔東京郊外に住んでいた時、熱心に薔薇を栽培する家が近所にあった。個人宅として