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透明多層フィルムの社内試作の様子を特別公開!

今回は、透明多層フィルムの弊社社内の試作の様子をご紹介させていただきます。光学系の多層フィルムの試作ってどんな感じなのだろう?、って興味を持たれる方もいらっしゃると思いますので、今回は特別に普段は公開しない様子も少しだけお見せしています!

1.試作の流れ

 フィルムの試作作業は、実は結構大変です。一言に試作といっても色々ありますが、弊社の多層試作機は、ほとんど量産機に近い仕様になっているので、1つ1つの設備のつくりが結構しっかりしていて、設備の準備から量産機とほぼ同じような時間と手間をかけて試作準備を行います。

 1)試作の準備

 まずは、今回は社内の試作なので、材料を事前に準備します。開発試作なので、今回は材料も量産で使用としているものと違う樹脂を選択し、メーカーさんから納入いただいてます。これにも1か月くらいかかったりします。

 材料が入ってきたら、試作前日に材料を仕込んで、必要な場合は、予備乾燥などを行い、試作当日の朝を迎えます。

 また、材料よりも大変なのは設備のセッティングです。今回は前の試作からのセッティング切り替えに約10日かかりました。分解洗浄~設備仕様の変更にそんなにかかるの~?って思われるかもしれませんが、意外に苦労してるんです。

 試作の前日までにはメンバーで集まってうちあわせ。当日の試作の進め方や試作条件、注意事項などを共有して、試作の当日の朝を迎えます。

 2)試作の当日

 さて、今回は透明樹脂の異なる材料を使った2種2層フィルムの試作を行いました。透明材料といっても少しずつ特性が違って、それに合わせて生産条件などを変更して合わせていきます。今回は最初いきなりこんな感じで樹脂が出てきて、いきなりのトラブルでした。

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 これってフィルムなの?? って感じに見えると思います。はい、その通りフィルムにはなっていません。もっときれいに出てこなくてはフィルムにはなりません。色々と苦労して調整して何とかこんな感じにまでなりました。

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 ここまでくると少し透明フィルムっぽいのができるのかな~、という感じです。ここから、更に調整を行いフィルムの製膜ラインに樹脂を通していきます。すると、30分ほどするとこんな感じになります。

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ここまでくると透明なフィルムができていることがわかっていただけると思います。

 3)サンプル採取

 さて、ここからは品質の確認を行います。ここは今回は非公開ですが、試作目的としていた条件や仕様を満たしているか確認しながら、微調整を行います。これも実は結構時間がかかります。

 確認が終了すると、サンプル取りです。今回は保護フィルムを張っていきます。

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 最後はサンプルを採取して梱包します。

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 サンプル採取でとりあえず試作の目的は達成しましたので、設備を止めていきます。ただ、押出機を止めるのに、設備の温度を落としたり、ちらかった端材や残った樹脂を片づけたり、となんだかんだとやることが多く、みんなで一つ一つ作業していきます。

 更に、次の試作に向かって押出機内部やロール掃除が大変です。特に夏場は暑いので、体力的にもキツイ作業で作業員の皆様にはいつも頭が下がります。

2.今回の予期せぬトラブル

 試作をやると、なんだかんだで大なり小なりのトラブルは発生するのですが、今回は非常に大きなトラブルが発生! ロールに大きな傷をつけてしまいました。

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 ロールのほぼ真ん中に樹脂の塊を落としてしまい、それがロールに転写してしまいました。このロールは非常にデリケートなので取り扱いに注意が必要なのですが、今回の材料構成は初めてだったので調整している中で回避することができず、やってしまいました。こういうこともあり得るので仕方ない面はありますが、メンバー全員で、ちょっと凹みます。

 でも、これも勉強!、と自分たちで言い聞かせて、強引に前向きな気持ちに切り替えて、次に向けた作業を進めていきます。


3.終わりに

以上、今回は透明多層フィルムの試作の様子をご説明させていただきました。いかがでしたでしょうか? あまり見たことのない方には新鮮かと思いますし、いつもやっている方には色々ご指摘したいところもあるかもしれません。

 もしご興味をお持ちいただけるようでしたら、下記URLよりお問い合わせください。皆様の高機能フィルムの開発や量産化のお役に立てれば幸いです。

 https://dev.wavelock-at.co.jp/contact/




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