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あの頃の500円

小さいとき、月のお小遣いは500円だった。

遠足のおやつは300円までだった。

近所の駄菓子屋に走っていき、ギリギリまで計算しておやつを買ったものだ。

当時の私にとって500円は大金だったと思う。500円もあれば、何でもできる気がした。

あの頃の500円はどこに行ってしまったのだろうか。

財布を見ると、4500円が入っていた。500円の9倍のお金が入っていることになる。

数字ではたくさんなのに、あの頃のときめきはなくなってしまった。昼ご飯は500円、飲み会は4000円、アクセサリーは10000円だった。もちろん楽しいけれど、あの時ほどの冒険心はなくなってしまった。

たぶん、大人になったらもっと大金を動かすことになるんだと思う。車や家を買ったり、子育てにお金がかかったり、病気で手術をしたり。桁違いのお金を使う時が来る。

その頃の私は、どんな風にお金を考えているだろうか。


またいつか、長財布ではなく小銭入れを持って、1000円札ではなく500円玉を握りしめて、笑っていられる日が来るのだろうか。




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