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始まりもなく終わりもない

子供の頃、映画館は入れ替え制じゃなかった。
映画の途中からでも入ることができて、
どこでも好きなところに座れた。
だから、
最初は話についていけなくて、
イイモノとワルモノもわからなくて、
でも、スティーブ・マックイーンは常にイイモノだった。
ブルース・リーも、
クリント・イーストウッドも。
たった、
それだけのことさえわかっていれば、
映画は途中からでも楽しめるのだ。

初めから見ようと思っても、時間が合わなくて、
結局、見られないのなら、途中からでもいいじゃない。
入ろうよ。
次の回が始まるまで待って、見たところまで見ればいい。
そのまま出なくたっていい。
次の次の回まで、見たっていい。

だから、ぼくらの映画には終わりがない。
いつの間にか始まっていたし、終わることもない。
ヴィスコンティやタルコフスキは、
飽きて寝てしまっても、起きたらまだ同じような感じだ。

予約だっていらない。
パンフレットだって、買うほどの映画じゃないかも知れない。
ハッピーエンドじゃなくてもいい。
雨あられのごとく、銃声が鳴り響いても、
二人は勇ましく躍り出て、ストップモーション。
物語の終わりじゃない。
FinでもThe Endでも、
激しくキスをする二人は、その後結婚するのだろう。
でも、夫婦喧嘩するかも知れない。
そんなに楽しい事ばかりじゃない。
でも、それはまた、別のお話。


ショー・マスト・ゴー・オン。
ぼくらは、ずっとずっと楽んでいる。


2023.6.25

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