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「ビブリア古書堂の事件手帖~栞子さんと奇妙な客人たち~」の感想

なかなか毎日noteを書くというのは大変だ。
私は遅読な方だと思う。これまでの人生で読書の量はかなり多い方だと思うので、これには恐らく別の理由がある。
つまり地頭が悪いというヤツだろうか?(笑)これはちょっと認めたくない事実だ。
もう一つ考えられる理由として、映画を倍速で見たりできないという情緒的な問題を考えてみる。つまり読書のスピードを自分で決めているのだという説だ。

冒頭から脱線してしまった。
ビブリアの一冊目は、正確には一冊目ではなく、完結した一冊の本だったという事だ。
今回、ネタバレの警告は出さない。何故なら、内容には全く触れないで書くからだ。

この作品は、推理小説かどうかがかなり危ういと思う。
古書が好きな人の為の、古書に対する情熱のようなものを感じるからだ。そして迂闊にも途中で泣かされてしまった。
推理小説的な要素は十分にある。主人公の天才的な推理力だ。しかし推理小説としてはこの推理力の誇示は本格推理小説としては認められない。

何故なら、私はシャーロック・ホームズを本格だと認めていない。これには多くのミステリファンが同意してくれる筈だ。
ホームズの推理は、「そうかも知れない可能性」でしかなく、ストーリー上、実際に「そうである」のだけれども、あまりにも特殊なケースに限定される為、超自然的な能力としか思われない。
つまり、通常の観察や推理だけでは到達できない領域にまで、その千里眼が至っているのである。

栞子さんも同じだ。彼女の推理はかなり憶測の域を出ていない。妄想と言って良い程に限定的な事象を言い当てている。
もちろん、作家が仕組んだ仕掛けでありその解説役なのであるから、当たり前に筋書きを知っているのだけれど、純粋推理ではありえない。

些か厳しい判断だろうか?
この本は、ホームズものではあるが、本格推理小説ではない。当たり前の事を言っているようで恥ずかしい限りだが。

しかしこの本は良い本である。本好きの私の気持ちにダイレクトに沿ってくるし、何よりも「泣けた」というのは意外な結末にやられるよりも更に「やられた」感がある。
という事で、今回は読んでいない人の為にリコメンドしたい。


2023.2.14


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