見出し画像

テクノロジー活用型 新・言語学習


私がまだ学生だった頃、学校のカリキュラムは通常に授業に加えて、単語を紙に書いてくる、NHKのラジオ講座を家で聞くという今思えばあまりワクワクしない勉強方法だった。

大学生になってもそれはあまり変わらず、巷でおすすめされていたのはTEDの動画を見る、英字新聞やBBCなどのニュースサイトを読むというものだったし、社会人なら財力にモノを言わせてマンツーマンの英会話レッスンを受けるなどの選択肢があった。

これは良質な学習機会であることは間違いないのだが、如何せん『勉強』という印象が強くなってしまい、長時間、長期間取り組むことはなかなか難しい。

言語学習に必要なことはどっぷり漬かること、身の回りの情報をすべてその言語にしてしまうことだ。そして、ここ5年程度で、着実にその環境作りがわざわざ留学して外国に行かずとも可能になってきている。また、コロナ禍において留学が困難になっている今、こうした環境構築の重要性がより増している。

環境づくりに使うテクノロジーの多くは本来娯楽目的だが、言語学習者が使いやすようにと意図して設計されているものも多い。今回は私が使っているツールのいくつかを紹介する。

電子書籍(Kindle)

紙の本の方がやっぱり良いよね、という意見に負けてなかなか普及しない電子書籍だが、明確に紙の本に勝っているのは辞書が内蔵されている点だ。

洋書を読んでいるとどうしても知らない単語が出てくるが、手元に辞書を置いておく必要がない。またKindleにはWord Wiseと呼ばれる難しい単語の意味を説明してくれる機能もあり、多少知らない単語が出てきてもスムーズに読みすすめることができる。

Google翻訳

単なる文章の翻訳だけでなく、画像から文字を読み取り翻訳してくれるのが電子辞書より優れている点。私もチェコに留学中はお世話になりっぱなしだった。観光地でない普通の店舗だと英語が併記されていないため商品名すら分からず、スーパーやドラッグストアでひたすらスマホから翻訳にかけていた。

座学でも出番はあり、学習対象の言語しか書かれていないテキスト(例えばTOEFLの問題集とか)で、単語ごとに辞書を引くのが面倒なときにそのページを丸ごと読み込ませたりすると時間の節約になる。


動画ストリーミングサービス Netflix・Huluなど


リスニングに時間を使いたいならドラマや映画は最高の教材だ。

ネイティブ英語の洒落た使い方も学ぶことができるし、何より視聴者を魅惑するクリフハンガーのおかげで、長時間視聴を続けても疲労を感じさせない。

また動画配信サービスの多く(Amazonプライムの大半を除く)では、字幕と音声を自由に切り替えられるところも良い点で、英語音声、英語字幕にすることで日本語を排除した英語漬けという条件もクリアされる。

今はちょうどブレイキング・バッドを見ている。癌を宣告された初老の高校教師が資産を遺すために裏稼業に手を染める話だが、そこまで難しい英語も出てこず会話のスピードもちょうどよいので1日3~4話くらいは平気で見続けられる。


Youtube

NetflixやHuluで日本語の補助なしでドラマ・映画を楽しむというのは一つの到達点ではある。これも立派な外国語を使って生活するという行為だからだ。

ただ、初級者~中級者にとってはネイティブの会話の速度と語彙についていけないので学習としては使えない。私のドイツ語もそのレベルをうろついており、適切な動画素材というのを探し続けていた。

必要なのは

・難易度別のコンテンツ
・コンテンツ量が多い(定期的な更新がある)
・見ていて退屈しない

といった点だが、なかなかWebサイトとして膨大な動画コンテンツを提供しているものは少ない…のだが近年のYoutubeの隆盛によってそのギャップも埋められつつある。

日本でも教育系Youtuberというのがいるのだからもっと早く気付くべきだったのだが、言語学習系Youtuberというのも世界に数多く存在する。

ドイツ語学習向けだと人気なのがこちらの「Easy German」。

初級~上級までカバーする動画コンテンツの多さと英語字幕付きなため挫折することなく視聴できる。



言語学習の民主化?


オンライン英会話による価格破壊、というのも昔話題にはなったが、今やネイティブの会話を聞く機会というのはいくらでも増やせる時代になった。Youtubeなら完全に無料、動画サービスを使っても月1,000円程度である。

言語の壁そのものはまだなくなっていないが、外国語を話せるのはお金持ちで教育に恵まれた人だけ、という時代ではなくなってきていているのも確かだろう。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?