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サウスパーク『ワクチン・スペシャル』感想

episode1:パンデミック・スペシャルの記事は以下から

パンデミック・スペシャルから半年、サウスパークの次の放送予定が決まらないまま私達は激動の冬を過ごしていた。特にアメリカは大統領選に始まり国会議事堂襲撃事件と、コロナ以外にも政治的に混乱が続いていた。

家の中でニュースを眺めながら、サウスパーク世界のギャリソン大統領は何をやっているんだろうかと思わずにはいられなかった。

そして、そんな疑問に答えるかのように今回の主役がサウスパークに帰ってくる。


しかし、大統領選以降ギャリソン先生が何をしたいたのかは一切触れられない。そして、完全になかったことにされてるメンバーベリー達…。まあ過去への郷愁というテーマもコロナがあった以上、もう当分は戻れないので触れなくて良い気もする。

ギャリソンが向かう先は当然小学校。ゲイから女になって男に戻って大統領になってと、彼の中でこの四年間は性自認と同種のアイデンティティの危機による「サバティカル」として扱われていた。

別の日には、スーパーで買い物をしていて周りの冷たい視線に気付くギャリソン。周囲はもちろんこの一年のコロナ対応の酷さについて怒っているのだが、ギャリソンだけはゲイ差別だと思い込んでいる。

(もっとも下半身ほぼ丸出しのスレイブ君2号を連れているだけでも十分絵面は酷い)

そして、順当に?Qアノンと化していたホワイト一家。いつものサウスパークらしく、今回のゲストであるQアノンの陰謀論も大真面目に紹介される。


Qアノン達当人はアメリカ本国でも、メディアが自分達が知る「真実」がついに大手メディアで放送されたと喜んでいる様子。もっともサイ○ントロジーなどのときと同様、単にネタにされているだけなのだが…。


一方、サウスパークでもワクチンの接種は始まっていたが、高齢者のみに制限されていたことから争奪戦が勃発。しかし、ギャリソンがもたらした魔法で大人たち全員にワクチンが行き渡り、無事お祭り騒ぎに。

ということで、今回のスペシャルのプロットは、前回のパンデミック・スペシャルのような「これからどうなるのか」という不安を共有するような結末ではなく、もうすぐこの辛い時代も終わりが見えているという楽観的なストーリーだった。

ここまで楽観的になれるのも、アメリカでは1日170万回という膨大な数のワクチン接種が着々と進んでおり、早ければ夏にも正常化が期待されていることが理由だろう。


このあたりは、未だワクチン接種が加速せず、迫りつつある第4波に対して為すすべもない日本との温度差を感じずにはいられなかったが、それでもギャリソンが元の鞘に収まることで正常な社会に戻りつつある、ということが表現されたスペシャルになっていた。

シーズン24の今後がどうなるかはまだなんの告知もないが、半年で2回というペースを考えると次はシーズン25を待つ、と考えるのが自然かもしれない。ランディの農場編にもまだ残っているし、また30分枠でいつものサウスパークが毎週視聴できる、そういう2021年後半になっていることを願うしかないだろう。


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