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【#ハイつま】増える増えるよ、ボールが増える『Bounce and collect』

ハイカジ遊んでますか? どうも、浮雲です。

『#ハイつま』第5回は、原点回帰?してみようかなと思います。
ここまで、どちらかというと知られてない魅力を伝えたいのもあって、私なりに「ハイカジ、実はこんなに面白いんだぜ!」的なタイトル中心で紹介してきました。
ただ、それらは言うなれば「新世代」のタイトル群なので、今回は新しい要素はありつつも軽量級の、言葉を選ばずにいくと「えっ、こんなのでいいの?」と思われかねないタイトルを紹介したいと思います。

それがコチラ、Voodooの『Bounce and collect』です。

■【#ハイつま】のターゲット
主に以下のような方にとって、学びや気づきが得られるものになるよう意識しています!
・ハイパーカジュアルゲームに興味があるゲームデザイナー/開発者の方
・ハイパーカジュアルゲームをあまり遊んだことのない方
・ゲームデザイナーの視点や思考に興味のある方

基本データ

■パブリッシャー
・Voodoo

■ リリース(アメリカ市場での現在までの推定累計DL数)
・iOS:2021年2月17日(推定40万DL)
・Android:2021年4月9日(推定18万DL)

■ ストアURL
iOS
Android

テーマ/モチーフ

テーマとしては、「どんどん増える、溢れるほど増える、インフレする気持ちよさ」みたいな感じでしょうか。
ゲーム性で遊ばせるというより、【クッキークリッカー】的な気持ちよさを体験させるのが狙いかな、という印象です。

そしてこのモチーフは……なんだろう?
スマートボールの盤面みたいな感じですが、こういうアイテムが実在するのかはちょっと調べてみた中では分かりませんでした(ご存知の方いたら、教えてください)。
ただ私自身も子供の頃に「本体を傾けて中の銀玉をゴールに導くオモチャ」で遊んだりした記憶はあるので、「何かはよくわからないけど、どっかで見たことある(懐かしい)」みたいな感情を呼び起こすものではあると思います。

でも、こういう「具体的にアレというのはぱっと出てこないけど、なんか懐かしい」みたいなのって、すごく大切な感覚だと思っています。
なぜなら、「なんとなく知ってるような気がする」ということは【認知】に働きかけているということで、「懐かしさを感じる」ということは【共感】にも働きかけているということだと考えるからです。

ゲームではないですが、例えばスタジオ・ジブリの作品を見ていて「懐かしいなぁ、この風景」と思った経験のある方は少なくないのではないでしょうか?
でも、実際に子供の頃にそんな風景のある環境で過ごした経験を持っている方は限られているんじゃないかと思います。

テレビで見た風景なのか、漫画で読んだ風景なのか、はたまた遺伝子レベルで刻まれている何かなのか、私はそれを【心の原風景】と呼んでいるのですが。ジブリ作品は、そういったある種普遍性のある【心の原風景】を描き出すのが圧倒的にうまいのだと思います。
それにより、ジブリ作品は多くの人の共感を得て大ヒットにつながっているのだと考えています。

ちなみに、この『Bounce and collect』もアメリカの無料DLランキングであっという間に1位まで駆け上がってきたので、このテーマ/モチーフが広くユーザーに受け入れられているのは間違いありません。

なお、ハイパーカジュアルゲームはそのビジネスモデル故に、広告出稿量に応じてDL数も増える傾向にあるため、ランキング順位とゲームの良し悪しが必ずしも比例しません。
ですが、ランキング上位に入る前後の推移も合わせてみることで、広告の力なのか、ゲームデザインの力も働いているのかはある程度見極めることができるので、ランキングは毎日見ておくことをオススメします。

コアメカニクス

メカニクス的には、【Rising and falling】メカニクスに分類されるかと思います。

盤面の配置やタイミングを見てタップした後は、ボールは重力に引かれて勝手に落ちていくので、ひたすら見ている(結果を待つ)だけという、とてもシンプルなメカニクスです。

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遊びの味付けとして、ボールを増やしたり、減らしたり、貯めたり、反射したり、左右に動いたりする「ゲート」のようなものや、ボールがワープする「トンネル」などのギミックが用意されています。
そのギミックの配置を毎回ランダムで変化させることで、繰り返し感を感じさせにくい作りにしています。
※ステージのレベルデザインを完全もしくはある程度自動生成にできているなら、制作コストをかけずに半永久的に遊ばせられますね!

メタゲーム

よくある【コレクション】や【カスタマイズ】などは皆無なんですが、獲得スコアによる【リーダーボード(ユーザーランキング)】が設置されているのが新しかったです。

と言っても、実はこれ【擬似リーダーボード】なのですが。

ランキングに自分以外のスコアが表示されていないところを見ると、おそらくは獲得したスコアによってランキングの変動数を算出するロジックで動いているのだと思います。

余談ですが、ハイパーカジュアルゲームには【.io系】と呼ばれる人気ジャンルがありまして、どういうものかというと下の動画を見てもらえればわかるように、多人数で同時プレイするバトルロイヤルみたいな感じです。

参考:『aquapark.io 2』

が、ハイパーカジュアルゲームでは基本的に運用コストを抑えるのにゲームサーバーなどは持たないので、これらは全てローカルでやっています。
相手が人間なのかAIなのかによってもちろん体験の質は変わりますが、「勝ちたい!」「負けて悔しいからもう一回!」といった【競争】によって呼び起こされる感情自体は同じ(大きさや持続性は違うかもしれないが)、という考え方です。

ちなみに、プレイした感じでは獲得したスコアの大小に応じてランクアップする量はちゃんと変わっているようだったので、こういう「ユーザーが気持ちよくなるポイント」はちゃんと抑えているのは良いですね。

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以上、Voodooの『Bounce and collect』をご紹介しました。

正直、これまでがっつりゲームを作ってきた身としては「ほんとにこれでいいのか」「もっとこうしたらいいのでは」みたいな気持ちがゼロなわけではありません。
ありませんが、ゲームの仕様を考えるときと同じで「これが果たすべき役割は何か?」という本質が見えていれば、どこに力を入れて、どこに入れないべきかも見えてくるものです。そういう意味では、ハイパーカジュアルゲームがどういうものかを理解するために役立つタイトルかもしれません。
気になった方は、ぜひ遊んでみてください。

それでは、次回の【#ハイつま】をお楽しみに!

※何か質問や聞いてみたいテーマがあれば、以下の質問箱からどうぞ!


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