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【#ハイつま】そびえるヒールが映えまくり! 『High Heels!』

ハイカジ遊んでますか? どうも、浮雲です。

昨今、世にごまんと溢れるハイパーカジュアルゲームたち。
それを【ゲームデザイナー視点】で紹介してみようと始めてみました【#ハイパーカジュアルつまみぐい】、略して【#ハイつま】

「その初回に相応しいタイトルはなんだろう?」としばらく考えてみたんですが、「ここはやはり『High Heels!』は外せないでしょう!」という結論に至りました。

と、いうわけで。
記念すべき第1回目は、Zyngaの『Highe Heels!』を紹介します。

■【#ハイつま】のターゲット
主に以下のような方にとって、学びや気づきが得られるものになるよう意識しています!
・ハイパーカジュアルゲームに興味があるゲームデザイナー/開発者の方
・ハイパーカジュアルゲームをあまり遊んだことのない方
・ゲームデザイナーの視点や思考に興味のある方

『High Heels!』ってどんなゲーム?

「どんなゲームかしらないぞ!」という方は、ひとまず下の動画を30秒くらい見てもらえればと思います。

ハイヒールでランウェイを闊歩するモデルを操作して、

落ちて?いるハイヒールを集めることでヒールを高くそびえ立たせ、

ランウェイ上の障害物を(文字通り)乗り越えながらゴールを目指す。

3行でまとめると、こんな感じでしょうか。

シンプルですが、インパクト抜群ですよね!
普通ではありえない状態になっているハイヒールがとても目を引きます。

実際、『High Heels!』は2021年の1Q(1月~3月)において、

・アメリカ市場で推定850万DL以上!
・グローバルでは推定3800万DL以上!!


というヒットを記録し、2021年1Qにおけるハイパーカジュアルの覇権タイトルとなりました。
次点の『Giant Rush』が500万DLくらいなので、かなりのぶっちぎりです。

ちなみに、同時期の日本市場ではわずか……推定15万DL程度! 少なっ!

世界でこれだけ知られているゲームが、日本ではまったくと言っていいほどしられていない――。

この事実が、私がこうして【#ハイつま】をはじめようと思ったキッカケになりました。

『High Heels!』が生まれた背景に関する考察

そんな大ヒットタイトルの『High Heels!』ですが、なんの前触れもなく突然ヒットしたわけではなく、その背景にはハイパーカジュアルゲームのトレンドが密接に関係しています。

それは、【Swerve + Stacking】メカニクスのヒットです。

ハイパーカジュアルゲームにおける主要なメカニクスに関しては、2019年の記事ですが以下が参考になるかと思います。

Top 10 Game Mechanics for Hyper Casual Games
この記事では、2019年時点のTOP10のゲームメカニクスとして、以下が紹介されています。

1.Tap / Timing Mechanics
2.Stacking Mechanics
3.Turning Mechanics
4.Dexterity Mechanics
5.Rising / Falling Mechanics
6.Swerve Mechanics
7.Merging Mechanics
8.Idle Mechanics
9.Growing Mechanics
10.Puzzle Mechanics

2020年の4Qに、Voodooの『Roof Rails』という【Swerve + Stacking】メカニクスのタイトルがマーケットに登場しました(正確には、iOS版が8月4日にリリースされ、Android版が10月27日にリリース)。

この『Roof Rails』は、12月のひと月だけでアメリカ市場で推定330万DLワールドワイドでは推定2200万DLと大ヒットとなり、一気にハイパーカジュアルゲームの覇権タイトルに躍り出ました。

するとそこから、ハイパーカジュアルゲーム界隈の常として、様々なテーマ/モチーフと組み合わせた【Swerve + Stacking】メカニクスのタイトルが、さながら雨後のタケノコのごとく乱立していきます。

『High Heels!』も、この流れの中から生まれてきたタイトルだと考えて差し支えないと思います。

基本データ

■ パブリッシャー
・Zynga(Rollic)

■ リリース(アメリカ市場での現在までの推定累計DL数)

・iOS:2020年12月28日(推定730万DL)
・Android:2021年1月21日(推定300万DL)

■ ストアURL

iOS
Android

テーマ/モチーフ

テーマはおそらく「カッコよくランウェイを歩くスーパーモデル」みたいな感じだろうと考えます。
メインとなるモチーフは、タイトルそのままに「ハイヒール」

『High Heels!』のようなSwerveメカニクスを使った【ラン系】のゲームでは、カメラは基本キャラの後ろ姿を映し続けることになります。
そのため、モチーフであるハイヒールをこれでもかとユーザーに見せることのできる、素晴らしいゲームデザインだと思います。

また、ハイパーカジュアルゲームのユーザーには若い女性も多く、実際メイクやネイルなどをテーマとしたアプリも数多くヒットしています。
『High Heels!』は、そういった層に対しての広告での引きも強く、非常に刺さるテーマ/モチーフを採用していると言えます。

コアメカニクス

背景の段で触れたように、『High Heels!』のコアメカニクスは【Swerve + Stacking】となります。

【Swerve】はあまり耳馴染みのない単語かと思いますが、日本語にすると「(急に道を)それる」みたいな意味合いになります。
【ラン系】ゲームに多く見られる、自動進行で進むキャラクターを左右にスワイプすることで、迫りくる障害物を避けたりするような遊びです。

『High Heels!』でも、キャラクターは勝手にモデルウォーキングで進んでいくため、ランウェイに落ちているハイヒールを拾ったり、障害物をうまく避ける=【Swerve】することでゴールを目指します。

もうひとつの【Stacking】は、「積み重ねる」という意味合いです。
ステージ上に落ちているアイテムを拾い集めることで、パラメータだけでなくビジュアル的にもそのアイテムが積み重なり、それがそのままわかりやすく強さやスコアになる、というような遊びです。

『High Heels!』では、キャラクターの履くハイヒールが現実ではありえない高さになっていくという表現で実装しており、コアループを構成する遊びの面白さだけでなく、魅力的でインパクトあるビジュアルを作り出すという面でも大きな役割を果たしています。

メタゲーム

『High Heels!』にはメタゲーム要素として、キャラクターのカスタマイズ/コレクション要素があります。

テーマ的には「スーパーモデル」みたいな女性キャラのバリエーションを増やすのが王道だと思いますが、ハイパーカジュアル的には見た目のインパクトや「こんなのがきたか!」というサプライズがあることのほうがよっぽど価値があるので、男性や宇宙人のようなキャラまでバリエーションも豊富です。

加えて、ハイヒール以外に装備品をつけてキャラクターの見た目を盛ることができるのですが、こちらは女性ウケしそうなアイテムかつ頭部や背中などプレイ中によく見えるアイテムが用意されています。
またアイテムの中には、「天使の羽」のようなインスタなどでの「映え」アイテムとして見かけるものがあったりで、このあたりも狙っているターゲット層にしっかりフォーカスしているなと感じます。

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以上、2021年1Qのハイカジ覇権タイトルである『High Heels!』をご紹介しました。
2020年後半から2021年にかけてのハイパーカジュアルゲームのトレンドの集大成のようなタイトルですので、興味を持った方はぜひプレイしてみてもらえればと思います。

それでは、次回の【#ハイつま】をお楽しみに!

なお、この記事を書くためにしばらくぶりに『High Heels!』を起動してみたら、ものっそいアップデートされていて正直びびりました。

・カスタマイズアイテムの種類増(キャラ/装備品/ハイヒール)
・ワールド選択(クリアレベルによるアンロック)
・チャレンジ(ダイヤを消費して、ダイヤのリワードを獲得)
・課金要素(キャラクター販売)

……などなど。

ハイパーカジュアルゲームはコストを掛けずに「小さく・速く」作るのが鉄則とはいえ、これだけヒットしていて、かつユーザーリテンションも高いとなると、LTVを上げるためにこうして大きく投資することもできる。
これもまた、ハイパーカジュアルゲームの魅力のひとつだと思います。

※何か質問や聞いてみたいテーマがあれば、以下の質問箱からどうぞ!


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