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Designship Do カリキュラムの紹介

こんにちは。Designship Doでカリキュラムディレクターを担当しているたじー(@tajima_kaho)です。
これまで日本最大級のデザインカンファレンスを主催してきたDesignshipは、2021年5月より新しく実戦型デザインスクール「Designship Do」を開校することとなりました。

4月4日に一期生のエントリー締め切りが迫る中で、今回はカリキュラムディレクターという立場から、なぜこのような構成にしたのかも踏まえつつ、カリキュラムの詳細を紹介していきたいと思います。

👉 合わせて読みたいnote
なぜデザイン教育という分野に踏み込んだのか、Designship Doがどういう経緯で立ち上がったのかなど、ここに至るまでの葛藤は代表理事広野のnoteをぜひご覧ください。

カリキュラム全体像

まずDesignship Doは第一線で働くデザイナーでも参加しやすい期間と形式である「3ヶ月短期集中」「オンライン完結」をベースに、「実践」と「思考」の両軸からなるカリキュラムで構成されています。

実は、これはDesignship Doというサービス名に込めた想いでもあります。何事にも最低限の思考(知識)は必要ですが、私たちは適切な「思考」を獲得し、各々が現場で「実践」してはじめて価値が生まれ、組織や社会に変化が起きると考えています。
だからこそDesignhsip Doを受講していただく方々には新しい武器としての「思考」と「実践」の場を提供し、各々の現場ですばやく行動するキッカケになればと考えています。

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共通講座について

3つのコースにはそれぞれ現場で必要とされる知識と実践を行うための専門講義を用意しています。しかしその前に、全コース合同で実施される共通講義では今後あらゆる立場のデザイナーの基礎教養として必要であると考えられる「倫理」「観察と表現」の2つの講義ご用意しました。

これは資本主義社会における技術革新やテクノロジーの発達がもたらした大きな社会変化の結果、SDGsの文脈でも語られる新しい「あるべき姿」を考え、行動していく必要が生まれた社会的背景があります。今後デザイナー自身にも「つくる責任」がより一層強く求められ、事業や組織を通じて社会へ体現していく必要があるのは明らかです。
そこで改めてこれからの社会で求められる「倫理的」な視点と、いまを正確に捉え伝える「観察と表現」の2つに焦点を当て、全受講生のデザインするという行為の土台を醸成します。

●デザインを社会につなげる(須永 剛司)
いま世界的にも倫理的 (エシカル) な観点からプロダクトやサービスを見直しデザインしていこうという動きが高まっています。デザインにおける倫理観という視点は日本ではまだまだ普及はしていませんが、デザイナーの領域が広がっていく中で、ビジネスと技術のチャレンジに「その社会が責任をとれるかたち」を与えることが重要な仕事になっていくことが予想されます。

「わたしたちがデザインする道具(サービス)は社会に対しどのような影響を与えるのか?」「それらをどのようにコントロールしていくことができるのか?」「テクノロジーが進む先に社会や我々の生活に待ち受けているものは一体何か?」思想家イバン・イリイチの「コンヴィヴィアリティのための道具」を読むことを下敷きにデザイナーとしての社会への使命と責任をディスカッションを行い、自分たちの日々の業務へ紐付けていく講義となります。

●デザインの意図を汲み取る観察スケッチ(檜垣 万里子)
昨今の現場では多様で安価なデザインリファレンスが提供されるようになり、デザインソフトの発達も相まってデザイナーが絵力を求められないことも多くなってきた傾向にあります。しかし「観察力」というものはあらゆる「つくる」行為を行う上で共通した必要な能力です。

この講義ではスケッチとしての上手い下手を学ぶ講義ではありません。身の回りにあるモノを「よく観察する力」を学ぶ講義となっています。私たちはどれくらいモノを観察できているのでしょうか?私たちの目に見えているものの認識や捉え方は、果たしてどこまで正確なのでしょうか?

今回はそんな当たり前を疑い、深い洞察力を養うため紙と鉛筆を用いて実際に対象を観察し、表現して伝える体験をしていただきます。より解像度の高い「観察と表現」を身につけ、デザインの奥深さを学んでいく講義となります。

現場で必要とされる3つのコース

経済産業省から発表された「高度デザイン人材育成ガイドライン詳細版」をベースにまさに現在、実践の現場であるビジネスシーンで求められている3つの役割を選定・再定義し、
サービスデザインコース」、「デザインマネジメントコース」、「デザイン経営コース」の3つのカリキュラムを用意しました。

①サービスデザインコース

デザインリサーチやサービスデザイン思考による包括的な顧客体験設計を改めて体系的に学び、ビジネスモデルを含めた事業開発牽引の実践をおこないます。

こんな方におすすめ
・サービスデザインを学びたい方
・デザインプロジェクトのアプローチ、マインドセットを身につけたい方

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●そもそもから考え、価値をつくる —— サービスデザインの実践(小山田 那由他、赤羽 太郎)
単にフレームワークをさらうだけでは自分の働く場に持ち帰った際に大きな実績を生み出すことは難しいです。その点を意識し、一気通貫のプロジェクト実践形式で進んでいきます。命令を受けるのを待つような現場から脱出し、デザインプロジェクトを通しデザイナーが主導的に価値創出していくことを目指した講義です。

▼講義概要
・サービスデザインの6原則とは
・プロジェクトプランニングとコミュニーケーション
・リサーチ概論&ユーザーのモデリング
・よい問いの立て方(課題定義)
・アイディエーションの方法
・ユーザー体験のデザインとコンセプトプロトタイプ
・ユーザーテストコンセプト評価
・プレゼンテーションとリフレクション

②デザインマネジメントコース

デザイン組織やプロダクト組織におけるヒト・モノ・カネのリソースを活用するための現場のノウハウを学び、その設計・運用を見据えた実践をおこないます。

こんな方におすすめ
・デザイン組織やプロダクト組織のリーダー、またはそれを目指す方
・自己流でやってきた単一組織のマネジメントを共有し合い、改めて体系的に学びたい方

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●デザイナーのための論理思考入門(岩越 祥晃)※デザイン経営コースと合同開催
クリティカル・シンキングをはじめ、仕事効率化においては必須のビジネススキルであるロジカルシンキング(論理思考力)や問題解決の手法、説得力のあるコミュニケーション(対人)の手法などを実例を用いながら事業に関わる思考法を身につけていただきます。

●デザイナーのためのマーケティング戦略の全体像と基本(村尾 佳子)※デザイン経営コースと合同開催
企業経営に関わるようなプロジェクトマネジメントを行うにあたって、基礎的な理論・フレームワークを理解することで、事業戦略や競争戦略として重要となる環境、マーケティング分析を実例を用いて学んでいきます。

●デザイナーのためのプロダクトマネジメント(曽根原 春樹)
プロダクトマネージャーの基礎を学ぶための講義です。デザイナーがプロダクトマネージャーのような役割も担う機会が増えた昨今において、プロダクトマネジメントのスキルの必要性は高まっています。基礎的なものを一度に体系的に学べる貴重な講義となっています。

講義概要
・プロダクトマネジメント概要
・デザインとプロダクトマネジメントの役割と共創
・プロダクトマネジメントから見る、失敗するプロダクト

●デザインマネジメント現場論(倉光 美和)
チームマネジメントをいきなり任されたがどうすればいいかわからない。独学でマネジメントしてきたが果たして今のやり方があっているかわからない。デザインマネジメントというのはまだまだ体系化されていない分野であり、しっかりと学ぶ場も少ない領域です。

そんな中で実際に事業会社でマネジメントを実践している倉光氏を招き、ワークショップで手を動かしたり参加者とディスカッションを行うことで、デザインマネジメントに必要なチームづくりに関する視野を広げ、視座を上げ、実行力を高めます。

講義概要
・チームマネジメント 基礎編
・チームマネジメント 実践編

●組織の仕組み化と導入設計(根本 紘利)
チームマネジメントをしていくなかでメンバーと向き合うことも大切ですが、組織を運営していく中での細かな仕組み化は意外と漏れがちです。スムーズに組織が運営していけるようにするのはマネジメントの責任のひとつでもあります。

組織運営におけるミーティングの設計の観点をアップデートし、情報流通や意思決定コストの低減をするための具体的なHowとプロセスを学んでいきます。

③デザイン経営コース

企業戦略に沿って設計するべき「数字・プロダクト・組織」について経営者目線で考え、自らの会社への活用を見据えた実践をおこないます。

こんな方におすすめ
・デザイン観点から経営課題に取り組むCDO、CXO、またはそれを目指す方
・企業戦略に基づいて複数の組織を率いるエッセンスを共有し学び合いたい方

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●デザイナーのための論理思考入門(岩越 祥晃)※デザインマネジメントコースと合同開催
クリティカル・シンキングをはじめ、仕事効率化においては必須のビジネススキルであるロジカルシンキング(論理思考力)や問題解決の手法、説得力のあるコミュニケーション(対人)の手法などを実例を用いながら事業に関わる思考法を身につけていただきます。

●デザイナーのためのマーケティング戦略の全体像と基本(村尾 佳子)※デザインマネジメントコースと合同開催
企業経営に関わるようなプロジェクトマネジメントを行うにあたって、基礎的な理論・フレームワークを理解することで、事業戦略や競争戦略として重要となる環境、マーケティング分析を実例を用いて学んでいきます。

●デザイナーのためのプロダクト戦略マネジメント(丹野 瑞紀)
ユーザーを意識した単純な機能開発だけではなく、プロダクトの行く末を決めるところからデザインを実行していくことは困難でありつつも重要なものとなってきています。
戦略レベルから実践できるようにするためにプロダクト戦略の手法を学んでいきます。

講義概要
・自社のプロダクトとビジネスを理解する
・プロダクト戦略の作り方
・利用機会の作り方

●デザインを経営に活かす、組織戦略論(ミナベ トモミ)
デザイン組織を拡大させ、企業でデザインの価値を発揮させていくためには高い視座と強いリーダーシップが必要です。
デザイン組織の課題を抱えているいくつもの企業に組織デザインを行なってきたMIMIGURIのミナベ氏をお招きし、経営レベルからデザインを実践していくための組織戦略を体系的に学んでいきます。

講義概要
・CDOの経営における役割を理解する
・組織文化の重要性を理解する
・デザイナー特有の人事戦略を理解する


以上、これらが一期生の主な3つのコースの概要になります。

各コースの費用や日程などの詳細は、サイトに掲載されていますので、こちらも合わせてご覧ください。各コースの費用や日程などの詳細は、サイトに掲載されていますので、こちらも合わせてご覧ください。


いつでも受講可能な動画学習「Do+」

コース受講生なら開講から6ヶ月間いつでも受講可能なDesignship Doオリジナル講義動画集です。各コースで実践的なものを学びつつ、幅広い分野の基礎知識もインプットできるような構成にしております。

大別してデザイン、ビジネス、リーダーシップの3つの観点から様々な講師の方々にご協力いただき実現しました。講師陣の豊富さも他にはないものとなっています。また、1講義につき1時間程度の内容となっており、各コースと合わせて学ぶとより学びが深まる一方、講義とは非連動な内容のため好きなタイミングでの受講が可能です。ぜひ通勤の合間や仕事の休憩時間、夜の自由時間にじっくり視聴するなど、さまざまなライフスタイルに合わせてご活用ください。

講座一覧
・文脈とデザイン
・UXデザイン概論
・ブランドデザイン戦略
・デザインリサーチ概論
・デザインとイノベーション
・インフォグラフィック・デザイン概論
・ビジュアルファシリテーション概論
・サービスデザイン概論
・デザイン×アントレプレナーシップ
・プロダクトマーケットフィット
・リーダーシップをデザインする
・示唆するデザイン
・ビジョンデザイン
・共創するビジュアル思考

今後も講義動画はさらに拡充予定、続報をお待ちください。

ビジネスの「GLOBIS学び放題」

Designship Doでは、基礎的なビジネス知識はこれからデザイナーに求められる重要なスキルの1つと考えています。今回Designship Do 受講生のみなさまには、グロービス経営大学院の提供する「GLOBIS 学び放題」(年間約2万円相当)を受講中いつでもご利用いただくことができます。

国内最大MBAスクールによる2,900本以上のビジネスナレッジを、基礎から応用まで幅広く学ぶことができます。こちらもご自身のライフスタイルや各コースの講義と合わせ、是非ご活用ください。

※全ての受講生に幅広いビジネス知識を学ぶ機会を提供するため、GLOBIS 学び放題のサービス利用料はDesignship Doが負担致します(各コースの授業料には含まれておりません)
※利用期間は受講開始から約6ヶ月間

最後に、カリキュラムに込めた想い

新しいものづくりやサービス価値を提供するため、国内外の企業が熾烈な競争を続ける中でデザインの力の必要性と緊急性が非常に上がっています。
しかし蓋を開けてみれば、現場でこれらの役割を担う最前線のデザイン人材へのキャリア形成は非常に難解であり、どこから手をつけていいのか不透明なものであり、まだまだ個人の独学に大きく頼らざる負えない形となっています。社会的ニーズと、需要の乖離は広がるばかりです。

わたし自身、普段はIT企業でインハウスデザイナーとして働いており、経営など抽象レベルの高い場所にデザインが入っていくような理想と、日々の業務における現実のギャップに悪戦苦闘をしている毎日です。

そんな「壁」を感じたときに一歩踏み出せる学びの場…Designship Doをそんな場にしたい!そのような想いで、いちデザイナーとして日々現場で感じる様々な課題を監修や講師の方々にぶつけながらカリキュラムを構築しました。現場にいるからこその生生しさを反映させたカリキュラムに昇華できたかと思います。
これまで体系化されていなかった高度デザイン人材への一歩を踏み出す機会と、その際に立ちはだかる「壁」を突破する後押しになれば幸いです。

今回のカリキュラムはあくまで第一期のカリキュラムとなります。もちろん、第二期以降も続けていくつもりですが、コースや講義はどんどんアップデートしていくつもりですので、今回しか受けられない講義もあるかもしれません。

そして、第一期ということでとても熱意ある講師や受講生が集まる熱気のこもった場になるはずです!同じような思想や課題感を持ち、困難な壁を乗り越え切り崩していくような仲間にも出会ってほしいと思っています。(そのような仕組みを作れるよう運営メンバーでも検討中です。)

是非、ともに日本のデザインを盛り上げていきましょう。みなさまのエントリーお待ちしております!

👉 お申し込みはWebサイトから https://do.design-ship.jp/



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