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定性調査の共通理解 エクスペリエンスマップ
エクスペリエンスマップとは
エクスペリエンスマップとは「定義」のフェーズに行うワークショップである。インタビューやユーザーの行動観察は実施して終わりではない。次にとるべき行動が決まってこそ意味があるのだ。
まずは複数のインタビュアーよって得られた情報を俯瞰して見る必要がある。スプレッドシートに項目をつくって各自が入力していくという方法もよく使われるがなかなか全体が掴みづらいのでオススメしない。
オススメの方法がエクスペリエンスマップである。エクスペリエンスマップはインタビューに限らず、ユーザーの行動観察、ユーザビリティテストなど定性調査全般に応用できる方法である。異なるユーザーからの情報すべてを包括的に見ることで新しい発見につながるのである。今回は調査を終えてから、エクスペリエンスマップを使って目標を導き出すまでを整理する。
1.ワークショップを設ける
まずやらなければならないのは、インタビューに参加した人全員が参加するワークショップの設定である。記憶はすぐに消えていくので、結果を共有する時間をできる限り早く設ける必要がある。
2.気づきを書き出す
それぞれのインタビュアーはポストイットに気づいたことを1つずつ書き出していく。具体的には次のようなことを書き出すといいだろう。
気づき(Observation)
課題(Problem)
機会(Opportunities)
ニーズ(Needs)
言葉(Quotes)
感情(Emotion)
翻訳してはならない
ここで気をつけなければならないのは、インタビュアーが気づいたことを書き出す際に、自分自身の解釈を加えてはいけないということである。できるかぎりユーザーの語った言葉、とった行動ををそのまま記録する。つまり
ユーザーは何と言ったか
ユーザーは何をしようとしていたと言ったか
ユーザーはどのような行動をとったか
何がそのユーザーの行動を妨げたか
を書き出すのである。
悪い例
ユーザーはiPhoneのキーボードが嫌いである
良い例
PCで入力するのに慣れているから、ちょっと時間がかかりますね。
2.貼り出す
各自が書き出し終わったら、次に書き出したポストイットを大きな紙や壁に貼り出していく。その際インタビューの最初に近い項目を左に、後に近い項目を右に貼る。自分のポストイットに書いてあることを発言しながら貼り出せば、似たような項目を書き出した人は気づきやすいだろう。
3.タスク名やアクティビティ名としてグループ化する
調査の規模によるが、張り出されたポストイットの数が多すぎると全体を把握しづらいので、適宜グループ化をして見やすさを維持する。その際に参加者同士で議論が起きるのはユーザーの行動に対して理解を深めるためには非常にいいことなので気兼ねなく行う。また、その過程であがったさらなる疑問点は書き出しておき、必要に応じてさらなる調査を行う。
4.ペインポイントを投票する
マップができあがったら、参加者各自に5〜10の小さいシールを配り、ユーザーを悩ませていると思うところにドットを貼る。もっともドットを稼いだタスクや行動を順番にリスト化する。1つにまとめられる項目はまとめるなどして、5から10項目のリストになるのが理想である。
5.次にやるべき目標を書き出す
書き出したペインポイントを反転させることで目標とする。例えばペインポイントが
運営事務所に連絡が繋がりにくい
であれば、目標は
運営事務所への連絡を繋がりやすくする
のようになる。
6.目標の優先順位を決める。
ユーザー目線だけでなく、ビジネスとしての価値も含めて考えて、目標の優先順位を決定し、目標の達成尺度を考える。次のような指標で計測するといいだろう。
Efficiency
ユーザーがタスクを達成するためにかかった時間
Effectiveness
タスクを達成するためにユーザーが間違った数
Satisfaction
ユーザーの満足度
ここまでできれば、調査によって得られたユーザーの行動が、組織全体の目標につながり、調査自体に意味があったと言えるだろう。調査の結果からさらなる調査を実施してもいいし、プロトタイプの作成など次の工程に移ってもいいだろう。
おわりに
参加者が気づきを張り出した後の流れは、項目の数が少ない場合や時間が限られている場合は、進行役が参加者の同意をとりながら進めてしまってもイイだろう。インタビューや行動観察の規模によって最適化する必要がある。