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Skypeから考える、デザインリニューアルの失敗について

挨拶

こんにちは!デザイナーのリンです!

みなさん、新年快楽(読みかた:シンニエンクワイラ)!!!

突然ですが今週は台湾の新年です!クラウドワークスデザイナーブログをご覧頂いている皆様に心からの挨拶を申し上げます! 今年も皆さまの万事順調をお祈りします!

さて、台湾ではおめでたい新年の期間ではありますが、今回は「デザインリニューアルの失敗」をテーマにお話したいと思います。

どうしてこんなトピックなのかというと…最近よく利用しているサービス:スカイプが、近頃もう一度リデザインされていました。厳密に言うと今回はインタフェースリデザインじゃなくて、アプリ側のメイン色しか変わっていないと思いますが。

スカイプ。そう言えば、2017年頃に結構大きいリデザインが行われて、その結果、悪いインパクトを引き起こしましたよね。

最近のアップデートをきっかけに「なぜ、リデザインが失敗したのか」という原因に心惹かれました。色々と振り返ってみると、私の今までのアプリデザイン経験って、かなり高い割合でアプリのリデザインばかりだったと思います。昔の作品を振り返ると、今の私からみれば「失敗」と言えるものも沢山あります。。

今回はスカイプを事例とした関連記事を読んで、自分の経験も合わせて学んだ事を紹介させていただきます。

自分自身の経験からすると、

「リデザイン」って、視覚的なリニューアル、機能としてのリニューアル、利用の流れまたはサービスのリニューアル、など様々な形が存在していると思います。

「Re+Design」の構成で「Re-リ」は「もう一度」、「もう一回」、Againの意味です。

後ろの「Design」は動詞で、例えば:計画する、デザインする、と使われます。Reのような接頭語をつけて一つの単語にするとしても、大事な部分は後ろの動詞だと思います。

wiki先生より:To lay out or plan a new version of something previously laid out or planned.前のバージョンを踏まえてもう一度プランニング、計画する。」

つまり結果としては、新しいものを出す、という事ですね。

でも、私にとっては、「新しい物を作る」というより、「見直して計画する」というのが一番重要な部分だと思うんです。

前職で、このような指示をよく受けました。

「リンさん、同じ機能や同じコンテンツ内容を前提にしてUIをリデザインしてください。」

「他のクライアントと同じプラットフォームを利用したいんだけど、ロゴやUIの色を変えて簡単にリデザインしてくれる?」

「この機能は薄すぎるからリデザインして改善してほしいんだけど、やってくれる?」

「もう◯ヶ月経つから、そろそろ最新のトレンドを取り入れてリデザインしましょう!」…などなど。

そして、こんな対話が発生します。

デザイナー:「はい!リデザインですね。じゃ、まず分析からいきましょうか?」

マネージャー:「うーん、クライアント側が急いでいるから、見た目だけの簡単なリデザインでOKでしょう?」

こんな話を聞くと、「リデザイン」は簡単に出来ると思われてしまいがちです。上の例は、クライアントの要望にすぐ応えなければならない場合にありがちな、よく耳にするリクエストです。

「ヒイイッ!! リデザインは朝飯前にできるような簡単な事じゃないんだよ!(デザイナー達心からの叫び)」

なぜリデザインが効力を発揮しない事例が多いのでしょう?

そもそも人間にとって、変化を100%受け入れる事は簡単ではありません。自分がようやく慣れた事を、もう一度覚え直さなければならないなんて、面倒でがっかりですよね。

残念な事例として一番多いのは、インタフェースをリデザインする際に、ボタンの位置も変更されてしまうことです。一部のユーザーに対しては役に立つかもれしませんが、その一方で、もうそれで慣れているユーザーに対してはただの面倒になりかねません。

時々開発側からの視点でA/Bテストを行いますが、サービスを利用している人からすれば、ただ「受け入れる」だけになってしまっているのではないでしょうか。リデザインと共にリスクがあり、これは事実と言えると思います。一部のユーザーにだけ受けいれられ、同じ内容が他のユーザーに失望されてしまうという可能性は多々あります。

スカイプを例にみてみよう

スカイプ社は2011年に大手ソフトウェア企業Microsoftに買収されました。その後2017年頃、Microsoftで当時流行っていた「ソーシャル機能」も壮大なデザインリニューアルがなされました。その結果、既存のコアユーザーからは不評が殺到する事態になってしまいました。新しいインタフェースを見ると、かなりお洒落なデザインが採用されており、一見とくに問題点は見受けられないのですが…。

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image from designmodo: 2017 resign by skype

以下はその時に実際にあったコメントです。

①worst update yet. :今までで一番悪いアップデート!
②Skype is mostly used by people for professional use or for connecting with friends far away.This looks as far from simple and professional as it can be. Skype does NOT need to be Snapchat.:Skypeを使っている人って、ビジネス関係とか遠方に住んでいる友人に連絡する際に利用するんでしょう。だったらSkype をSnapchat (ある有名なソーシャル系アプリ)にしちゃっても必要がないと思います。
③“Also it should, in my opinion go back to the way it was before easy to use and a great way of contacting friends by video or call”:もっと 簡単に友達にビデオ通話できたらいいのに。前のバージョンはもっと使いやすかったと思います。

その一方で、キレイでお洒落なUIを受け入れるユーザーも沢山います。賛否両論が盛り上がった末、2018年頃に、追加したばかりの機能を廃止し、シンプルな通話機能に戻して新たにリリースされました。この事例を見ると、大多数のユーザーに対して不要な機能を追加してしまったために、ユーザーのネガティヴな気持ちをあおってしまいました。結果的には大多数のユーザーの意向をのんだけれど、逆に良い改善(例えばUIのデザインがお洒落になったこと)は流れてしまい残念でしたね。


image from Tom Warren: Microsoft is redesigning Skype once again and killing its Snapchat-like feature

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image from Tom Warren: Microsoft is redesigning Skype once again and killing its Snapchat-like feature

学び

リデザインは万能薬ではありません。

症状に合わない改善策を施してしまうと、逆に具合が悪くなってしまう場合もあります。かといって、リデザインが悪いことだと言っているわけでもありません。良いデザインリニューアルの例も沢山存在しています。一度のリデザインでユーザーから好評を確実に得ることを実現するのはとても難しいとは思いますが、 失敗は成功の素といわれるように、「失敗した」リデザインを踏まえてどんどんよくなることができるでしょう。

スカイプは2017年頃から、初めてリデザインリリースされた時の不評を受け取りつつ、山ほどのユーザーからのフィードバックに応えています。追加したばかりの新しい機能:「snapchat」と似ている機能を廃止して「通話」の本質に戻り、良い感じにどんどん進化しています。(シニアユーザーリン氏の目線ですw)

私達がデザイナーとしてデザインリニューアルする際は、ユーザー達の行動的、心理的、操作ジェスチャー的なパターンと、変えたことで起こりうる影響面も含め、全面的に考えておいた方が良いと思います。

特に新しい機能を追加したり、ある機能を廃止したりする時、影響される箇所は必ず単純に一つ画面の範囲以内の事だと思います。たとえ一色変更する場合であったとしても、全体的にインターフェースや利用しているシーンを想像してみましょう。

今回の記事を書くにあたり様々な関連記事を読むと、この方がまとめているインサイトは、完全に同意見です!:


1. The most effective redesigns are usually not the prettiest:一番効くリデザインのケースは、常に一番お洒落で綺麗なデザインという訳ではない。
2. Redesign is a process, not a destination:リデザインはプロセスの一部であり、目的地ではない。
3. Focus on micro conversions:マイクロコンバージョンに焦点を当てること。


最後に

先に紹介した、ある筆者の文章にはこんな話も書かれています。

”Your job as a designer is to minimize these microaggressions and motivate them to build new habits :デザイナーとしての仕事は、小競り合いを最小限に抑え、新しい習慣を身に付けるように動機づけすることである。
“Redesigns are meant to solve problems with specific business constraints and requirements :リデザインは特定のビジネス上の制約とニーズに関する問題を解決するためのものである。

もし時間が許すなら、より深い計画をして、デザイナーだけでなく、エンジニア、マネージャー、マーケットの専門家など、チームメンバーの力を合わせてより良いものを提供するためにリデザインしましょう。

最後までご覧下さりありがとうございました!クラウドワークスでもデザイナーだけでなく、会社一丸となってユーザーに耳を傾け、ユーザーの方々の満足度UPのために、日々頑張ります!少しでもご興味があったら、是非遊びに来てくださいね!

もちろんお菓子大臣の私がお菓子をたっぷり提供させていただきます!!


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