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AI Designer の 逆襲!

みなさん、こんにちは。台湾出身、デザイナーのリンです!

最近は台風が多いので、みなさん外に出る時は気をつけてください!台湾もこの時期は台風がよく来ます。ちなみに台湾では‘’台風休み’‘という休暇があるのを知ってますか?地方政府がその時の台風の様子をみて、学校や会社を休みにするかどうかを決めるんです!


Motivation of introducing "AI designer"

先週、タムーは(デザイナーの田村です!)最近流行っているVRとそのデザインについてみなさんに紹介しました!タムーの紹介はめっちゃくちゃ面白かったですね!

私はいつも「プロオタク+原始人」*1と自称していて、SNSはあまり使っていませんが、色々なIT技術情報には強い興味があるので毎日見るようにしています。

去年、台湾で行われた国際交流のUXセミナーに参加しました。その時の登壇者の中で、中国のEC大手企業:ALIBABAアリババグループのUEDチーム*2が開発した『AIデザイナー』というシステムの紹介を聞いて、私はスーパーショックでした。

「デザイン」がいつの間にかこんなにAIの影響を受けていたとは…。私はAIのことはよくわからないし、知ってるのはビッグデータ、ディープラーニング、機械学習など表面的な名詞だけです。

でも発表を聞いて、「これからのデザイナーはどうなるのかな?」、「数年後も同じ仕事が続けられるかな?」という疑問を持つようになりました。

さてさて今回は、このトレンドの中でずっと見続けてきた私ならではの、新しい見解を皆さんとシェアしますね! AIデザインが現在どのように活用されているか二つの例を紹介しますね。

Market needs and examples


例1:Alibaba Group - Luban (AI Banner/Poster designer)
魯班Luban(ルバン)について
Lubanは、バナーや広告のポスターなどを作成するAIツールです。商品の素材データ(画像、パターン、キーワード、色など)から毎秒8000枚のバナーを生成できると言われていて、2016年の『独身の日』*3のセール期間中にはなんと、1.7億枚ものバナーが作られました。

1つのイメージを作成するのに人の手では20分かかるとすると、これは100人のデザイナーが作業して300年間もかかってしまう量に相当します。また2017年には、4億1000枚を作成して、しかも同じ画像は全くなかったというから驚きです。技術的には、ディープラーニングや強化学習、モンテカルロ木検索などの技術により画像を認識・検索されています。

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Image from Alibaba-Luban

やってみましょう

残念ですが...Lubanはテストできないので、Lubanの紹介ビデオをご覧ください

m(_ _)m。


Demo of Alibaba’s AI Designer, Luban

例2:Tailor Brands - AI LOGO maker

Tailor Brandsについて
Tailor BrandはNew Yorkのデザインベンチャーです!Tailor Brandのセールスポイントは、だれでも、どんな規模のビジネスでも気軽に手頃な値段で唯一無二のブランドロゴが瞬く間にデザインできる、というものです。ブランドのイメージロゴや広告デザイン、マーケット用のデザインなど、同時に作成することができます。Tailor Brandのコア技術は、デザインと機械学習のクロスポイントにあります。

現行サービスでは、無料と有料があり、無料のサービスもロゴを自動的に作るサービスが体験できます。作成後は220px*220px、jpgファイルとしてダウンロードできます。有料サービスでは、高品質の画像ファイルにもサイト上でアクセス可能です。

残念ながら、まだ日本語サービスはサポートされていませんが、今年度の資金調達総額は2060万ドルに達する見通しで、この先サービスの多言語化も一つの戦略になるでしょう。今後の動向に期待しましょう!

やってみましょう

Step 1 ブランド名を入力しましょう:(スローガンなどがあったら線の下に入力してください)

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Image from Tailor Brands-Home page

林:ん、、、とりあえず、HappyCrowdとしようか!(シンプルすぎじゃない???)

Step 2 ブランドの種類を選んで、簡単な紹介を入力しましょう:

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Image from Tailor Brands

林:ん、、、、、、紹介がダ、、ダサイ、、、ごめんなさい!!!!!!

Step 3 お好みのロゴのレイアウトやスタイルを選んでください:

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Image from Tailor Brands

林:ん、、うちの会社のロゴはテキストスタイルにして…真ん中のにしようかな!

Step 4  一番好きなスタイルを選びましょう。

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Image from Tailor Brands
林:おおおお、これ面白い!(自分好みのブランドのイメージから自動的に下のように候補が提示されます)

Step 5 イメージロゴの生成結果を待ちます

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Image from Tailor Brands
林:おおおお、ワクワクしてきた!!

Step 6  イメージロゴがデザインされ、結果が三つ提示されます。これをカスタマイズしていきます。

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Image from Tailor Brands
林:やばい、すごい!!!!

Step7 お好みにカスタマイズしていきましょう。

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Image from Tailor Brands

林:んー、まずは会社のブランドカラーをつくってみようかな。おー、いいね!

Step 8 カスタマイズが気に入ったらこれで完成です🎉🎉。

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Image from Tailor Brands

林:うーん、これも凄い!(林氏はロゴデザイン超絶下手なので…)

Step 9 Free プランで220px*220px、jpgファイルとしてダウンロードできます

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To live and cooperate with AI designer (Issues that we have to learn)


課題1:質より量のマーケットニーズ
Lubanは中国のショッピングフェスティバルに合わせて開発されたツールです。中国では毎年、11月11日に開催され、その日の売り上げは想像を絶する金額になります。フェスティバルでは一千万件のオンライン通信販売者が自分の商品をアピールしたいので、商品の印象の良いバナーがアクセス増加の鍵となります。Lubanの作ったバナーは平均的なデザインレベルだとは思いますが、もし自分がこれと同じようなバナーを綺麗に作るとしたら少なくとも30分はかかるかもしれません。Lubanは1秒当たり8000枚の商品バナーをデザインし、製品のクリック率を倍増させました。この驚くべきコンバージョンはオンライン通販にとってマストツールになるでしょう。

『毎年、11月11日に向けて、プログラマー、運営者、デザイナーなどは眠れない日々を過ごしてきた。画像のパターン、テキスト、商品、リサーチなど、オンラインの仕事も人と人とのコミュニケーションに依存していた。大規模な設計要件、同じ広告でも、類似した色、スタイル、サイズ、ひとつひとつは決して難しくはないがとても手間がかかる作業だ。』

Tailor Brandsでのロゴ作成の際、出てきた選択肢をユーザーが、「選択」か「破棄」かを選びます。その時のキーワードやユーザーの好みなどのフィードバックは全てデータになります。この資料をベースにブランドデザインの分析が進められ、よりよいデザインがユーザーに提供されます。

それでも個人デザイナーのなかには、このようなデザインの品質は高くなく、オリジナリティーにも欠けていると感じる人もいるかもしれません。でも、例えばスタジオをはじめようとしている人は予算に余裕がないかもしれないし、まだ自分のブランドのロゴイメージが曖昧で担当デザイナーにうまく伝えられない場合も多々あると思います。このような場合、自動的にデザインしてくれるサービスはユーザーのニーズに十分応えられるでしょう。

課題2:バナー、ロゴ作成の後はUI、UX?

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image by Wix ADI Homepage

さて、みなさんはWix をご存じでしょうか。Wixは簡単で綺麗に自分のウェブサイトがデザインできるサービスです(RWDも対応できます)。2016年、Wixも「Wix ADI(Artificial Design Intelligence)」、つまり人工知能を活用してサービスとして台頭してきました。しかし2年前のリリース時は、マーケットの評価はあまりよくありませんでした。AIといってもユーザーのニーズにぴったりマッチしなかった、という声が多かったのです。しかし、「ウェブにもAIが参入できる」、というコンセプトは2年前に既に生み出されていたんですね。


ここでのAIデザイナーの働きは、画像やテキストを組み合わせたレイアウト、背景のフィッティングが主ですが、これらはユーザーが実際にいくつかのケースを見て、イメージに合うものを探すことができます。こういったシステムにユーザーも慣れていけば、好みのテイストをチョイスすることにもすぐに可能になるでしょう。近い未来は、画像だけでなく、ウェブデザイン、Appデザイン、さらにUXデザインも影響されていくのではないでしょうか。

Conclusion

以前の職場で、仲の良かった同僚は、会社のバナーとポスターの作成をしていました。当時、彼女は手作業で一日に何枚もバナーと宣伝ポスターを担当していました。その会社にとって、バナーのニーズはAlibabaと比べると圧倒的に少なかったのですが、いつかそんなに多い量があったとしたら、会社は人間のデザイナーとAIデザイナーのどちらを選んでいたでしょうか。

Lubanの開発について、AIビジュアルデザインの理論は4つのステップに分けられるでしょう。「模倣ができる」、「シーンを理解できる」、「デザインのインサイトを生み出せる」、そして「トレンドを生み出せる」。いまのAIデザイナーはすでに3番目までが可能で、スピードも人間は全然及ばない程速いです。

でも、怖がらなくて大丈夫!この先、どんな分野にもAIを選択肢に入れて上手く運用すればいいと思います。我々のような人間のデザイナーは、常に斬新なアイディアを持つわけではないですが、デザインの柔軟性もインサイトも持っているし、ユーザーのこともできるだけ理解しながら、自らも常に進化していくことができるんですから。

Lubanの開発チームは、AIに対して以下の定義で解釈しています:コントロールができる。私たちはコントロールできる範囲内でビジュアルデザインの作成をします。「制約」はビジネス側の業務ニーズによって賢くコントロールできるものです。Lubanは0から1を創りだすデザイン課題のために開発されたプロダクトです。そして、この「制約」を決めたのは、ほかでもない我々人間と目に見えないマーケットなのではないでしょうか。

AIという技術はまだ一般的には普及してないけれど、認知されつつある技術です。面白いのは、この技術はみなさんからデータを集める必要があり、AIとユーザーが互いに理解するために、UIUXデザイナーがその架け橋となるという重要な役割を担っているという事実です。


I see AI as a tool. When designers master that tool, they can expand their ability.

Design responds to needs—needs that exist, or will exist. It is interesting to consider completely useless objects like the Tamagotchi. People clearly had a need for anguish in their lives (and a need to relieve that anguish), and the Tamagotchi responded to those needs.

Paola Antonelli, Senior Curator of Architecture & Design and founding Director of Research & Development at the Museum of Modern Art (MoMA) in New York

最後に

AIといえば、多くの人は「感情」、「温度」、「コミュニケーション」の欠如した只の機械と思っているでしょう。正直、私もそう思っていました。でも私がこの技術を嫌っているというわけではないですよ。今後AIツールがいまよりもっと発達したとき、デザイナーにはどんな役割が残されているのでしょうか?この状況下でどうやって生きぬいていくかは、よく考えていかなければいけないと思っています!!

ちなみに、最近では社内のエンジニアもデザインに積極的に関わってくれるようになったので、AIデザイナーの登場を待たずとも、すぐにわたしの仕事が奪われてしまいそうです😇(汗)

今週はちょっと固いテーマでしたね...でも、もしあなたもこのテーマに興味を持ったら、是非CrowdWorks遊びに来てください!!!!

最後まで読んでくれてありがとうございました!

Ref

*1:私は3年くらいFBアカウントを持っておらず、Instagramは多分何か月かに一度だけ更新し、Twitterはほぼブックマークみたいな存在です。

*2:現在はAlibaba AI Design Labに変更されています

*3:11/11は中国で一番盛大なセールで、2017年に1日当たりの売上高としては過去最高を更新したと発表された。なんと約2兆8777億円に達したそう。(怖い・・・・