「DESIGN CAMP @奥大和 2022」開催レポートVol.3【day15/大橋茶屋】
2022年8月22日(月)〜9月5日(月)、「DESIGN CAMP @奥大和 2022」を開催しました。
今回は、大橋茶屋チームのプレゼンテーションをご紹介します。
「大橋茶屋/Ohashi chaya」とは?
大橋茶屋/Ohashi chaya (天川村)
奈良県吉野郡天川村洞川に住む山好きで大工。 1300年以上前から続く修験道の聖地「大峯山」登山口で、登拝する山伏の方々へ安らぎと楽しみを提供する場所として、また行者の方々を見送り、見守る場所として大橋茶屋を運営している。
https://www.instagram.com/ohashichaya/
チームメンバー
続いて、大橋茶屋チームを担当したデザイナー、通訳・コーディネーターをご紹介します。
松村邦明 (生駒市)/しろくまデザイン
Kuniaki Matsumura / Ikoma
1981年生まれ。奈良県生駒市在住。しろくまデザイン代表。
神戸芸術工科大学卒業後、救命器具メーカー、パソコン周辺機器メーカーにプロダクトデザイナーとして勤務。
商品開発や自社ブランド構築に携わる。事業にWebの知識は必須と痛感し、Web制作業界に飛び込んだ後、しろくまデザインを開業。
ホームページ、ロゴ、パンフレット、チラシ、メニュー、タペストリーなど、様々なデザインを制作している。
Li Jing & Xiu Mei (シンガポール)/SECTION
Li Jing(シンガポール/ Singapore)
SECTION のソーシャルチームの メンバー。広告のバックグラウンドを 持つ彼女は、デジタルから実地での 有効化まで、アイデアのブレイン ストーミングを得意とする。
Xiu Mei(シンガポール/ Singapore)
UI/UX デザイナー。 インタラクティブなWebサイト、モバイル アプリケーション、およびサービスの 形で、シンプルで魅力的な体験を デザインしている。
Section
創業10年目、全ての領域の専門分野に特化した若く現代的なデジタル&クリエイティブ エージェンシー。より楽しいつながりを作るために、 複雑な専門用語を取り除く デジタルクリエイティブ パートナー。
<通訳・コーディネーター / Translator Coordinator>
福井晴浦(Seiho Fukui)
大阪出身。2019年、奈良に移住。
2022年4月に独立し、日本製品の輸出、インバウンド向け旅行業、通訳案内業、映像制作事業などを手がける。「日本に人とお金を招く」をテーマに、日本を幅広く海外に売り込んでいくために仕事をしている。
大橋茶屋の課題、考えるべきこと、強み
初日は天川村ツアー、2日目は大峯山参拝、そして3日目にチーム全体で意見交換を行った大橋茶屋チーム。
3日間の体験を踏まえて、大橋茶屋チームは課題や考えるべきこと、強みを整理しました。
<課題>
修験者の減少に伴い、売り上げは下がっている。運営費の捻出で精一杯。
近くの洞川温泉は、温泉で集客に成功しているが、大橋茶屋まで行く観光客は少ない。→大峯山のことを知らない。山を歩く「良さ」を伝えられていない、ほかに魅力的なコンテンツがない。
修験道の歴史や女人禁制の理由を、観光客に一言で伝えるのは難しい。理解されにくい。
地域内での連携はあまりとれていない。
<考えるべきこと>
費用をあまりかけずにできる施策が望ましい
男性向けのみの解決策を探すか
女性や家族層に対してのアプローチも考えるか
この山について、ネットやSNSを利用して身近に感じてもらうにはどうすればいいか
茶屋まで足を運んでもらうにはどうすればいいか
<強み>
大峯山に登る人は、ほぼ大橋茶屋の前を通る。
ここに来れば行者さんが居る。話を聞かせてくれる。
行者さんのアイテムがたくさんあり、興味を引く。
小屋さんの人柄。個性のある移住者を迎え入れ、仲間にする力。
続いて、大橋茶屋チームは目標を下記、3つのステップに分けて考えました。
大橋茶屋に来る人が増える
大橋茶屋と大峯山の歴史を知ってもらう(歴史と理念)
大峯山に登る人が増える(山伏が増える)
目標1 ・大橋茶屋に来る人が増える
チームが提案したのは、大橋茶屋の活動やプロジェクトに付けることができる #タグライン(キャッチコピー)です。
「#タグラインがついたモノやコトが増え、シェアされるごとに大橋茶屋の物語とコミュニティーが形成されていきます。大峯山の存在、修験道1300年の歴史、小屋さんの人柄を表すような包括的な言葉。 人々の気持ちを駆り立てる言葉を考えました」(松村さん)
そのコンセプトのベースになるものとして、「歴史」、「絆」、「精神」、「体験」の4つの要素を挙げた松村さん。
「ここには1300年分の祈りや願いや愛が落ちている。 歴史があるからあなた・私がいる。 1300年分全ての人に家族がいて、 仲間がいるから共感できる。 1300年分の全ての人に迷いや願いがあると考えました」(松村さん)
そこで、提案されたタグラインが、『#いつ来てもええすよ』。
「大峯山と歴史と小屋さんの包容力。小屋さんの言葉で、いつ来てもいいよというメッセージを伝えます」(松村さん)
また、英語のタグラインとして、『#WhatAreYouWaitingFor?』を提案しました。
目標2・大橋茶屋と大峯山の歴史を知ってもらう(歴史と理念)
2つめの目標は「大橋茶屋と大峯山の歴史を知ってもらう」こと。
そのために、大橋茶屋チームは茶屋を活用したコミュニティ案と、大橋茶屋のストーリーを伝えるためのプロモーションビデオを作成しました。
シンガポールのデザイナーLi Jing & Xiu Mei は、「山の美しい景色や山に登る映像で、山に登るきっかけ作りたい」と話しました。
加えて
大橋茶屋や大峯山など、さらに奥へ進むための道しるべとして、 ポスターやペイントなどで導線を作る。
タグラインの入った温泉タオル、エコバッグ、Tシャツなど大橋茶屋 グッズを作る。それをコミュニティに参加した人が自分の家や国に 持ち帰って、周りの人にメッセージを伝えるアイテムにしたい。
と話しました。
「グッズやポスター、プロモーションビデオなどで大橋茶屋を知ってもらったあとには、実際に来てもらい、物語を紡いでもらいます。そうすることで、後世に伝えていくことができるのではないでしょうか」(Li Jing & Xiu Mei )
そのためには、大橋茶屋や大峯山での瞬間を共有することが必要で、たとえば、ハッシュタグをつけてSNSでシェアしてもらったり、ポストカードや絵馬を作って張り出したり。
そして、それらをインスタグラムに投稿することで、認知を作り出したいと話しました。
大橋茶屋を知ってもらうためのコミュニティ活動
もう一つ、Li Jing & Xiu Mei から提案がありました。
それは、大橋茶屋でのコミュニティ活動を通して、修験道の文化をより多くの人に広め、さらに多くの人に来てもらうきっかけを作ることができるというもの。
「茶道、書道、アート&クラフト、瞑想など、大峯山や修験道の哲学に触れるコミュニティ活動を通じて大橋茶屋での思い出を増やしていきます」(Li Jing & Xiu Mei)
さらに、この提案相手は女性も含み、老若男女すべての人を迎える場所に生まれ変わることを目指したいとしました。
「目標1、2を踏まえると、目標3の『大峯山に登る人が増えます』」と話す松村さん。
そして、チーム全員で「いつ来てもええすよ」と声を合わせ、プレゼンテーションを締めました。
1300年の修験道の歴史を守っていきたい
大橋茶屋の運営をしている小屋さんはプレゼンテーションを受けて、
「修験道は1300年の歴史があるが、日本人にすら浸透していない伝統や文化があって、私はそれを守っています。そんな日本人にすら難しい表現を国を超えて、シンガポールのデザイナーが考えてくれたことがとてもありがたいです」と話しました。
【プレゼンテーション資料は下記よりご覧いただけます】
次回のレポートVol.4は、マルサンフットウエアーのプレゼンテーションをお届けします。