何に使ってもよい訳じゃない? 使い道も守るべし
フォントざっくり解説⑳
フォントに興味はあるけれど細かい事が不安で何となく購入に至ってない方、仕事で入手する必要ができてしまったけどイマイチ選び方に自信がない方のための、ざっくり解説。
厳密すぎる説明で途方に暮れてしまわないよう、選ぶ・買うのに必要な知識を、ほどほどに端折りながら解説します。
※2016年10月時点の情報です。
正規に購入しライセンスを得たフォントであっても、その「使用可能な範囲」は無限ではありません。その範囲は業界で統一のルールが存在するわけではなく、メーカーごとに独自にルールを定めています。
使える範囲はメーカーによってまちまち
家庭で私的に作る印刷物もあれば、ビジネスに使う販促物やWebサイト、商品やそのパッケージ、書籍、映像作品まで、フォントの用途は実に多様。ですが、フォントメーカーはあくまで「特定の条件のもとでの使用権」をユーザーに提供しているのであり、フォントを利用したすべての行為を許している訳ではありません。
実際のところ、あるメーカーでは許されている用途であっても、別のメーカーのフォントでは使用できなかったり、別途契約や料金が発生するというような場合も数多くあります。
そのため、フォントを購入する際は、メーカーごとに定められた「使用許諾」を確認することが重要となります。
とはいえ、主な傾向としてはこんな感じ
メーカーによってフォントの使用許諾は大きく異なりますが、ある程度は各メーカーに共通する傾向もあります。以下におおまかな表を用意しましたので、参照ください。
ほぼ全てのメーカーで使用可能としている用途
私的印刷物やPDFファイルへの使用
紙媒体の広告物への使用 (チラシ、カタログ、パンフレット、DM、etc.)
フォントを使用したデザインを画像化して、購入者 (個人または法人) 自身のWebサイトで表示
メーカーによって可否や条件が異なることが多い用途
販売物 (販促物ではなくそれ自体が商品として販売される) への使用 (例:Tシャツ、カレンダー、ポストカード、雑誌、書籍、etc.)
商品パッケージ、ラベルへの使用
プリントサービスや名入れサービスでの使用 (例:年賀状テンプレートへの適用、印鑑の制作販売)
商標登録・意匠登録など法的保護を受けないロゴデザインへの使用
フォントを使用したデザインを画像化して、購入者以外の第三者のWebサイトで表示
映像、デジタルコンテンツ (テレビ、映画、DVD・Blu-ray、デジタルサイネージ、PDF、電子書籍、ゲーム、アプリ、etc.) においてフォントを画像化したフォントを使用
ほぼ全てのメーカーで使用禁止や別途契約が必要としている用途
フォントファイルの頒布および貸与
複数人でのフォント使用 (複数台のPCへのインストール、共有サーバーへの組み込み、etc.)
サーバーフォントとしての使用、Webフォントの生成
商標登録・意匠登録など法的保護を受けるロゴデザインへの使用
映像、デジタルコンテンツでフォント機能を有した状態 (例えばユーザー名を入力できるなど) での使用
電子機器、アプリケーションソフト、携帯端末等へのフォントデータ組み込み
営利目的のものに関しては、印刷物として配布される広告物まではどのメーカーのフォントもほぼ問題なく使用できる一方、デジタルサイネージによる広告配信や商品そのものへのフォント利用は制限される可能性があります。
また、有償無償に関係なく、ゲーム・映像・電子書籍等のコンテンツでのフォント使用もメーカーによって制限される可能性が高いと言えます。
これらの用途をお考えの方は使用許諾をしっかり確認の上、必要に応じメーカーに問い合わせるなど、十分にご注意ください。
同じメーカーのフォントでも、入手方法で使用許諾が異なることも
同じメーカーのフォントでも、入手方法によって使用許諾が異なり、使用できる範囲に差がある場合があります。
例えは、さまざまなアプリケーションソフトにバンドルされていることで、広く一般のパソコンユーザーにもお馴染みのダイナフォントを例に挙げると、フォント単品のダウンロードやパッケージ商品として購入したフォントでは第三者のWebサイトのデザインに使用することはできず、別途契約が必要となります。
一方で、同じダイナフォントを使用できる年間契約プラン DynaSmartV では、別途の契約なしに第三者のWebサイト制作にそのフォントを使用することが可能となっています。
このように、用途に関する制約はとてもデリケートです。法的トラブルを避けるためにも、フォントを購入する際は使用許諾を必ず確認し、判断がつかない場合は、直接メーカーに問い合わせることが大変重要です。
問い合わせの際はできるだけ具体的な用途を伝えて確認するようにしましょう。
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