篠﨑美絵

トリニティ株式会社(https://trinitydesign.jp/)にてコンセプト…

篠﨑美絵

トリニティ株式会社(https://trinitydesign.jp/)にてコンセプトシナリオ策定やトレンド分析を行うデザインコンサルティング業務に従事。NewsPicksトピックスにて連載中。DMはこちらへ✿ mie_shinozaki@trinitydesign.jp

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  • 観た映画の健忘録🎬️

    自分で後から思い出せるように観て印象的だった映画の感想を書き記そうと思います。映画好きのみなさんと感想をシェアできたら嬉しいです🐷

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はじめましてのご挨拶

はじめまして、篠﨑美絵と申します。 トリニティ株式会社でデザインコンサルティングの仕事をしています。 だいぶ昔の話ですが、前職はインテリアデザイナーです。 その当時、主にブティックの内装設計を担当しておりましたが、美しく完成させた(つもりの)カウンターに店員さんがシフト表をセロテープでベタッと貼っているのを目の当たりにし、ショックを受けると同時に、これがリアルなユーザーのニーズなのだ!と思い知りまして、デザインをユーザー起点、ビジネス視点で考える「デザイン戦略」をリスキリン

    • 創業者の思いが込められる「ロゴマーク」のデザイン考察

      最近、メディアを賑わせたことで目にする機会が激増したOpenAIのロゴマーク。そのお家騒動の行方に人々の関心が集まる中、わたしはこのお花のように見えるロゴマークのことが気になってしまった。どういう意味なのか、さっそくネットで調べてみたが、残念ながら公式に発表されていないようで正確な情報は得られなかった。 そこで、ChatGPTに聞いてみた。 とのこと。お花ではなく「脳」がモチーフだった。 OpenAIのサイトの ”About” のページには、 とあるので、ChatGP

      • 【日本の美意識】かわいいもの好き考察|デザイン編

        キャラクター天国である日本特有の「かわいいもの好き」は、一体どこから来ているのか? 前回の「価値観編」では、その理由を書籍も参考に様々な角度から考察してみた。 【前回の価値観考察のポイント】 冒頭から余談だが、かわいいもの好きの筆者が最近かわいい!と心の中で叫んでしまったものに「ミスドポケモンドーナツ」のコダックがある。 ポケモンスリープで主役のカビゴンの方が再現しやすいだろうに敢えて難易度の高いコダックにチャレンジし(しかも横顔)、その結果、本物を超えるゆるキャラにな

        • 【日本の美意識】かわいいもの好き考察|価値観編

          SHBUYA 109 lab.トレンド大賞2023が発表された。 15~24歳の女性510名を対象に行なった調査の結果だ。今年も調べないとわからないものが幾つかある中、わたしは自分も密かに面白いと感じている「んぽちゃむ」がコンテンツ部門の3位に入賞していることに目が留まった。 んぽちゃむは、若い女性たちに人気を博した「おぱんちゅううさぎ」の作者、可哀想に!さんが昨年からSNSで発信しているギャグアニメである。 んぽちゃむ 主人公のんぽちゃむ(右)は、計画性がなく失敗ば

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        はじめましてのご挨拶

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        • 観た映画の健忘録🎬️
          6本

        記事

          常識を覆す発想でまだ見ぬ価値を作り出す「アート思考のデザイン」とは?|後編

          昨今注目される「アート思考」についてデザインの視点で考えてみた。 この思考法は、既成概念に囚われない閃きを歓迎し、事実の観察や洞察からはなかなか生じ得ない発想の飛躍があることも特徴である。それ故に、イノベーティブなアイデアを生み出す可能性がある。 作り手があったらいいと思うものが実現された、昔のプロダクトアウト(⇔マーケットイン)型の製品開発も今思えばアート思考だった。顧客ニーズや市場性を発想起点とするのが主流となった2000年以降は、客観性が重んじられ主観的な思いつきは封

          常識を覆す発想でまだ見ぬ価値を作り出す「アート思考のデザイン」とは?|後編

          常識を覆す発想でまだ見ぬ価値を作り出す「アート思考のデザイン」とは?|前編

          「デザイン思考」の思考法があらゆる分野に行き渡り、最近では「アート思考」が創作活動において注目されている。前者が顧客のニーズを起点に解決策(答え)を導き出すのに対し、後者は既成概念に囚われず、自分が主体となり「問い」を立てるところから始まる提案型の発想法である。 ChatGPTなどの生成AIの急速な発展も影響していそうだ。人間が答えを出す必要が少なくなる可能性がある一方で、「問う力」が求められている。精度の高い回答を引き出せるかは、プロンプト次第だからだ。 また、先の予測

          常識を覆す発想でまだ見ぬ価値を作り出す「アート思考のデザイン」とは?|前編

          【映画感想】互いの光になった「ぼくのお日さま」の三人模様

          深く雪が積もる冬の北国の透明な日差しに象徴される「眩しい人」の存在。 選手の夢を諦め田舎町で子供たちのコーチを務める元フィギュアスケーター荒川にとっては、夏場の野球でも冬場のアイスホッケーでもいいとこ無しだが恋心からフィギュアに目覚める少年タクヤがお日さまに、 タクヤにとっては、銀盤を滑る姿が美しく想いを寄せる年上の少女さくらがお日さまに、 さくらにとっては、自分を丁寧に指導してくれる荒川がお日さまになり、 荒川がタクヤとさくらにアイスダンスのペアを組ませ、自身の夢も馳

          【映画感想】互いの光になった「ぼくのお日さま」の三人模様

          【映画感想】幸せになれなかったジョーカー

          「ジョーカー・フォリ・ア・ドゥ」を観てきました。 観る前に想像していたのは、ジョーカーに狂信する女性との出会いを機に閉塞した社会にジョーカー旋風をさらに巻き起こす展開。ジョーカーチルドレンが増殖する世界を思い描いていました。 実際は、恋する❤ジョーカーの物語。人並みの幸せを夢見る普通の男だったアーサー・フレック。意外な展開でした。 自分自身と世間が作り出した偶像が独り歩きする世界。ジョーカーに感化され寄り添うリー(レディ・ガガ)をはじめ、彼に熱狂する人々はアーサーが一人の男

          【映画感想】幸せになれなかったジョーカー

          省エネ・オフグリッド・電気不要、小さなことからコツコツと始める「節電デザイン」

          東京ミッドタウンで2009年に行われたDESIGN TOUCHの展覧会で、デザインファームIDEOが出展した「Change Lamp」は、面白いアイデアだった。 「より良い未来へ、小さな一歩」をテーマにIDEOのデザイナーたちが考えたプロダクトの一つで、お金を入れないと点灯しない節電プロダクトだった。電気の有り難みを感じ、大切に使うようになると同時に、お小遣いも貯まって一石二鳥だ。キャッシュレス決済が普及した今となっては、小銭の持ち合わせがなく使えないこともありそうだが、ダ

          省エネ・オフグリッド・電気不要、小さなことからコツコツと始める「節電デザイン」

          "デザインの敗北" から考えてみる「ユーザーフレンドリーなデザイン」

          先日、「デザインの敗北」がX(旧Twitter)でバズっていた。 テプラ攻めにされたことが話題になったセブンイレブンのコーヒーメーカーを発端に、見た目を優先したがためにわかりづらくなってしまい残念な結果となるデザインに、このレッテルが貼られるようになってしまった。 これは、デザイナーにとって屈辱的だ。特に、補足のために貼り紙をされるのは、たとえデザインに非があるとしても気の毒に思う。 だが、デザイナーにとっての良い教訓になる。 自分たち(設計者)にはわかりにくいと思わない

          "デザインの敗北" から考えてみる「ユーザーフレンドリーなデザイン」

          "これでいい"がこれがいいになる、満ち足りた今に必要な「引き算のデザイン」

          使わない機能がたくさんあるスマホを利用している。読まない情報が商品にたくさん表示されている。作り手も使い手もそういうものとしてその状況を無意識に受け容れているが、そろそろ引き算の思考に頭を切り替えても良いのではないか。 引き算と言っても、無駄を極力省く禁欲的なものではない。ましてやミニマリズムやわびさびのわびのような不足の美学でもない。「それで十分」の十分な状態にすることである。最近は、環境意識の高まりも味方に付け、むしろ「これがいい」と思える「これでいい」表現が、現れてき

          "これでいい"がこれがいいになる、満ち足りた今に必要な「引き算のデザイン」

          やみつきになる触感で魅了する、デジタル時代の「物理的なUXデザイン」

          昔、「∞(無限)プチプチ」という商品があった。荷物の配送時に使う気泡緩衝材のプチプチを潰す快感を無限に味わえるようにした「触感玩具」だった。と、過去形で書いているが、調べてみたら何と2021年に「∞プチプチAIR」に進化を遂げていた。公式サイト情報によると、旧モデルは2007年の発売以降、累計260万個以上販売している大ヒット商品だったのだ。 バンダイが、東北大学+日立ハイテクによる脳科学カンパニーNeUと共同で、20~30代男女33名を対象に行なった実験では、∞プチプチA

          やみつきになる触感で魅了する、デジタル時代の「物理的なUXデザイン」

          身近なバリアを取り除き、みんなをハッピーにする「インクルーシブデザイン」の新機軸

          身体的な障がいを持つ人たちをはじめとする特定の人々の障壁を取り除き、社会的不利を是正する設計思想がある。その考えは、バリアフリー(障壁の除去)に始まり、ユニバーサルデザイン(普遍的な設計)に広がり、インクルーシブデザイン(包摂的な設計)に発展している。この3つの言葉が共存しているため、どれが何だったのか筆者も時々混乱する。が、それぞれの意味は異なり、対象者や具体策も異なるので、前フリが少し長くなるが、本題に入る前にまずおさらいしてみる。 バリアフリー(障壁の除去)障害のある

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          後からジワる、映画「憐れみの3章」が描く支配と依存

          ヨルゴス・ランティモス監督の最新作「憐れみの3章」を観てきました。 前作の「哀れなるものたち」では、人工的に蘇生させられた主人公女性が、自立の過程と共に父親・恋人・元夫の庇護・束縛・支配から力強く解放される姿が描かれていましたが、今作は支配されることに安住する人々に焦点が当てられていました。 観終わった直後は消化不良で、今回はハズしたかと思いました。 ですが、帰り道に考えているうちに頭が整理されてきて、家に着く頃には、ランティモス監督、今回も目の付け所がシャープだったなと考

          後からジワる、映画「憐れみの3章」が描く支配と依存

          中身は変えずに満足度を上げる!「健康的な食生活」を実現させるデザイン

          食器に微弱な電気を流すことで、飲食物の味覚を変える「電気味覚」の研究で、明治大学・宮下芳明教授と東京大学・中村裕美特任准教授が2023年のイグノーベル賞の栄養学賞を受賞された。電気味覚とは、味を感知する舌のブツブツの味蕾に電気が伝わると起きる「味変」のことで、両者はその仕組みを工学的に活かし、減塩食の塩味を実際の1.5倍に感じさせる箸などを発明している。 イグノーベル賞のオンライン授賞式での受賞者の宮下氏と中村氏。宮下氏が手にしているのは、昨年、同氏の研究室(明治大学先端メ

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          アテンションは控えめ、生活に溶け込む穏やかな情報通信技術「カームテクノロジー」

          2000年代後半にスマホが登場し、2010年代にはSNSが普及した。その後AIが実用化され、家電や自動車など様々なプロダクトもインターネットに繋がり、私たちの暮らしは常に情報に包囲されるようになった。 スマホの着信音から音響製品の「Bluetoothに接続しました」に至るまで、一日中何かしらの通知を聞かされている。「お風呂が沸きました~♪」や電子レンジのチンのように便利な呼び掛けであれば良い。究極は、緊急地震速報の警報音だ。安全のために必要不可欠なことは重々承知だが、あの不

          アテンションは控えめ、生活に溶け込む穏やかな情報通信技術「カームテクノロジー」