Masquerade.
仮面A:本名、ミランダ。新しい出会いを求め、マスカレードに参加した。
仮面B:本名、ジョージ。ミランダを追いかけ、マスカレードに参加した。
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仮面A:たどたどしい足取りで踊るあの人に惹かれた。
仮面B:ワインレッドのドレスが似合うあの子に惹かれた。
仮面A:それは、昔から知っている人みたいで。
仮面B:それは、ずっと一緒に居るような感じで。
仮面A:だから、あなたに焦がれた。
仮面B:だから、君に焦がれた。
【間】
仮面A:ねぇ、もしもし?
仮面B:はい、素敵なお嬢さん。
仮面A:良かったら私と踊らない?
仮面B:僕とですか?!
仮面B:……生憎、僕は踊りが下手でね?
仮面B:見ての通り……僕の周りには人が居ないだろう?
仮面B:皆、一緒に踊るのが恥ずかしくて……離れて行ってしまうんだ。
仮面A:私、人目は気にしない主義なの。
仮面A:なんなら私が踊りを教えて差し上げても良いのよ?
仮面A:あなただけ……、特別に……。
仮面B:良いのかい?
仮面B:……それなら……よろしく頼むよ。
仮面A:では、一曲。
仮面A:ほら、アンドゥートロワ、アンドゥートロワ。
仮面A:本当にあなた、リードが下手ね?
仮面A:でも……そこが可愛らしいわ。
仮面B:いやいや、すまない、本当に。
仮面B:君はとても映えるドレスを着ているから……皆に注目されているね……恥ずかしいな……。
仮面A:あら?このワインレッドのドレス……お嫌いで?
仮面A:私は今日のマスカレードの為に、貯金をはたいてこのドレスを買ったの。
仮面A:ワインレッドって大人なイメージがあるじゃない?
仮面A:少しでも大人な女性に近づきたくて……ね?
仮面A:……似合わないかしら?
仮面B:そんなことない、凄く似合っているよ。
仮面A:仮面の下のバイオレットの瞳が真っ直ぐ私を射抜く。
仮面A:その眼差しに、胸が熱くなる。
仮面A:あなたのその瞳……素敵ね?
仮面B:ははは、よく珍しいと言われるよ。
仮面B:……ほら、踊ろう?
仮面B:君のおかげでだいぶ上手くなっただろう?
仮面A:あら、ほんとね!
仮面A:うふふ、調子に乗って私の足を踏まないで頂戴ね?
仮面B:大丈夫、そんなヘマはしないさ。
仮面B:君こそ……僕の瞳ばかり見て……照れるじゃないか。
仮面A:このマスカレードが終わったら、あなたに会えなくなるんだもの。
仮面A:少しでも……この目に焼き付けて置かないと……。
仮面A:……私、あなたを知っている気がするわ。
仮面B:……僕もだよ。
仮面B:僕も、君を知っている気がする。
仮面A:もしかしたら、何処かで会っているのかも知れないわね?
仮面B:そうだね。
仮面B:さぁ、踊り明かそう!
仮面B:君を今宵は離さない。
【間】
SE:雀の鳴き声。
仮面A:あぁ……朝が来たわ……。
仮面A:……マスカレードが終わる時間ね……。
仮面B:今宵は楽しかったよ、ワインレッドの君。
仮面A:私も……楽しかったわ、バイオレットのあなた。
仮面B:僕の素顔を見せる時が来たね?
仮面A:……。
仮面B:(SE:髪をおろす音)……ふぅ。
仮面B:どうかな?君の理想の人だったかな……?
仮面A:あなた……。
仮面A:(SE:髪をおろす音)私よ……ミランダよ。
仮面B:ミランダ!?なぜ君が……!?
仮面A:あなたこそ……。
仮面B:君がお金を下ろしているのが不思議でね?
仮面B:浮気を疑って、僕はこのマスカレードに来たんだ。
仮面A:あらやだ……ジョージったら……。
仮面A:確かに出会いを求めて、このマスカレードに来たわ。
仮面A:だって、あなたったら私に愛の言葉一つもかけてくれないんですもの。
仮面A:浮気だってしたくなるわ。
仮面B:……ごめんよ。
仮面A:良いのよ。
仮面A:結局私はあなたに恋焦がれてるって解ったから。
仮面A:だって、あなたを無意識に選んでしまったもの。
仮面A:やっぱり、ジョージ……あなたが一番なのよ。
仮面B:ミランダ……。
仮面B:僕と踊るのは、恥ずかしくなかったかい?
仮面B:僕はこういうのは苦手でね、緊張したよ。
仮面A:楽しかったわ。
仮面B:それは良かった。
仮面A:でも、仮面を外して私じゃない女が居たらどうしてた?
仮面B:ふふっ、秘密さ。
仮面A:あなたも浮気目的?
仮面B:そう考えたけど……僕にとって君が一番だと感じたよ。
仮面B:だって、素顔がわからなくても、僕は君を選んだ。
仮面B:もうこれは運命だ。
仮面B:僕の赤い糸は、ミランダ、君に繋がっているようだ。
仮面A:ジョージ、本当ね。
仮面A:何だかんだであなたを選んでしまう。
仮面A:ねぇ、今私が欲しい言葉……解るかしら?
仮面B:もちろんだよ。
仮面B:……僕と結婚して下さい。
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