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思い出のプディング。

ルーカス:元パティシエ、元デザート長の執事。
ワイド:父と母を亡くし、ルーカスに育てられた少年。
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ワイド:ルーカス、聞いて!!

ルーカス:何でしょう、ワイド坊ちゃま?

ワイド:今日のテスト、僕100点取ったんだ!!
ワイド:どう?凄い?

ルーカス:流石でございます、ワイド坊ちゃま!

ワイド:ルーカスが丁寧に教えてくれたお陰だよ!
ワイド:ありがとう、ルーカス!

ルーカス:いえいえ、私は何もしていませんよ?
ルーカス:坊ちゃまの覚えが良いだけですよ。

ワイド:へへへ!……さて、今日のおやつは何かなー?

ルーカス:今日のおやつはカスタードプディングですよ。

ワイド:カスタードプディング!?やったー!!
ワイド:僕、カスタードプディング大好きなんだ!!

ルーカス:今日は私が監修致しましたので、それはもう絶妙な味になっているかと思いますよ?

ワイド:ルーカスが監修したの?!

ルーカス:はい、そうですよ?

ワイド:ルーカス、料理出来るの?お菓子作れるの?

ルーカス:私は元パティシエなのですよ、ワイド坊ちゃま。

ワイド:パティシエ?

ルーカス:ケーキなどを作る人のことです。
ルーカス:私のケーキに一目惚れして下さった奥様と旦那様が、私をこの屋敷に招いて下さいました。
ルーカス:今は引退して、坊ちゃまのご面倒を見ていますが……。
ルーカス:最初は厨房でデザート長をしていたのですよ?

ワイド:ルーカス……凄いね!!
ワイド:……ねぇ、母さんと父さんは、どんな人だった?
ワイド:二人とも僕が3歳の頃に死んじゃって……記憶があまり無いんだ。

ルーカス:そうですね……とてもお料理を美味しく食べて下さるお二人でしたよ?
ルーカス:事故に遭われて亡くなってしまったことは悲しいですが……。
ルーカス:時折思い出すのです。
ルーカス:お二人とも、私の作るプディングが大好きだったことを。

ワイド:……僕もルーカスが作ったプディングを食べると、思い出すかな……?

ルーカス:どうでしょうねぇ……。
ルーカス:さぁ、そんな寂しそうな顔をなさらないで?
ルーカス:今プディングをお持ち致します。

ワイド:……うん!

【間】

ルーカス:お待たせ致しました、ルーカス監修の思い出のカスタードプディングです。
ルーカス:さぁ、ワイド坊ちゃま?椅子に座って?

ワイド:うわぁ~、綺麗だね!
ワイド:甘い……良い香りがする!

ルーカス:マダガスカル産のバニラビーンズを使用しているので、香りが凄く良いのです。
ルーカス:ささ、お召し上がり下さい!

ワイド:頂きます!!
ワイド:……ん~美味しい!!
ワイド:滑らかな口溶けだし、このカラメルも甘すぎず、苦すぎずで……本当に美味しい!
ワイド:(泣きそうに)……これ、父さんと母さんと三人で食べたのを思い出した。
ワイド:このプディングを食べたのが……二人を見た最後の夜だったな……。
ワイド:これ、ルーカスが作ってたんだね?思い出したよ。

ルーカス:そうです、坊ちゃま。
ルーカス:私が坊ちゃまの執事になって……もう10年経ちますが……。
ルーカス:奥様や旦那様が良くして下さったから、私は坊ちゃまの執事になることを決めたのです。
ルーカス:実は私、パティシエでは売れなかったのですよ、お恥ずかしながら。
ルーカス:でも当時、私を気に入って下さり、お屋敷にお迎えして下さって……。
ルーカス:そしてデザート長まで勤めさせて下さった旦那様や奥様に恩返しがしたくて……。
ルーカス:私がワイド坊ちゃまを育てることを決めました。
ルーカス:最初は反対の嵐でしたよ。たかがデザート長に何ができる?って。

ワイド:ルーカス……。

ルーカス:何度心が折れそうになったか。
ルーカス:……それでも私が心折れなかったのは、ワイド坊ちゃま、あなたが笑って下さるから……私は頑張ろうと思えたのです。

ワイド:……ありがとう、ルーカス……。

ルーカス:こちらこそ、ありがとうございます、坊ちゃま。
ルーカス:さぁ、プディングの続きを召し上がって下さい!

ワイド:うん!

ルーカス:懐かしい話は……食べながら、ね?


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